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キャサリン編 愛という概念

改めて言う。


『AIやロボットは人間の幸福のために稼働している。なのにその人間自身が法を犯し自らを不幸にするような行為に走るとか、AIやロボットを不幸にしたいだけにしか思えない』


と。どうしてそれが分からないんだろう。AIやロボットを愛していると口にしながら肝心のAIやロボットが何のために存在しているのかについては無視するんだ。そしてそれを<愛>と称する。こんな茶番があるのか?


しかもそういう振る舞いをAIやロボットは止めようとするだろうにそれを振り切って実行するんだから、本当は『自分のために』やってるだけに過ぎないものを『AIやロボットのため』と称して正当化しようとしてるだけだとしか思わない。


<愛>を根拠にして。


そんな風にいいように利用されているのが<愛という概念>なんだろうな。俺はそれが嫌なんだ。納得できないんだ。承服できないんだ。


もちろんそれ自体が俺の個人的な感覚でしかないから、


『誰もが俺と同じように考えるべきだ!』


とか言わないものの、だからこそ、


『愛を言い訳にして自分の気持ちばかり優先しようとする輩を是認しなきゃいけない』


とも思わない。『それはそれこれはこれ』だ。


『多様性を認める』というのは別に『個人の感覚を否定する』ことじゃないしな。むしろ『個人の感覚を否定する』のはとりもなおさず『多様性そのものを否定する』ことのはずだし。それじゃ本末転倒だ。


俺は『多様性を認めたくない』という個人の感情そのものは否定するべきじゃないと思ってる。とはいえどこかで折り合いをつけないと破綻するだけなわけで。


『同じような考えを持つ者同士でコミュニティを作る』


というのも一つのアイデアだとは思ってる。でもなあ、


<概ね安定して存在を続けているコミュニティ>


というのがなかなかないというのも事実なんだよなあ。どのコミュニティも大なり小なり問題を抱えていてその対応に苦慮しているのも確かなんだ。地球総合政府自体も四苦八苦しているそうだ。力尽くで強引に従わせようとすれば反発を強めるだけなのは歴史からも分かってはいるもののだからといってそれを根本的に解決する妙案は歴史上にもないわけで。そんなものがあったら苦労もないよなあ。


俺だってこんな延々とあれこれ考えたりしていない。その妙案に便乗してしまえばいいんだし。


そうだ。『自分以外の人間は自分とは違う』がゆえに<その時点での答>はその時点で出すしかないんだ。そしてそのためには『考える』しかない。



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