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キャサリン編 自分じゃない人間の感覚

『アスリートの世界でも、少し前までは『不可能だ』と思われていたパフォーマンスを実現してしまうことがある』


それを否定する人間はまずいないと思う。<記録更新>なんて事実がある以上は、


『それまで誰も成し遂げなかったことを成し遂げた者がいた』


ということなわけで。実はAIの世界でもそうらしい。それまでは不可能だと思われていた仕草や表情をロボットにさせることができたりして、その度にロボットは、特にメイトギアは進化していったんだ。それでもやっぱり『人間じゃない』からどこかに違和感はあって、それを感じ取ってしまう人間はいる。かつての俺のように。


だがそこに違和感を覚えない人間も少なくないんだ。むしろ<不気味の壁>は遠い過去のものとなりメイトギアの振る舞いは本当に人間とほぼ変わらないものになっているのもまた事実。これもやっぱりいかんなく才能を発揮し不可能を可能にしてきた者達の積み重ねがあってのことだと俺も思う。そこは素直に認めたい。それでもなお違和感を覚えてしまうのはあくまで俺個人の問題なんだ。別にメイトギアが悪いわけじゃないしましてやメイトギアのAIを作ったエンジニアが悪いわけでもない。認めるべきところは認めなきゃただの理不尽でしかないだろうさ。


サディマがどれほどのAIエンジニアであるのかは俺にはまだ実感ないもののシモーヌは、


「大丈夫、彼は超一流のエンジニアだよ」


と太鼓判を押してくれている。まあ、


『その太鼓判をどこまで信用するか?』


という話もありつつ過剰な期待まではしないにしてもシモーヌ自身を疑う必要は感じていないな。


彼女は俺にとって<信頼に値する相手>だし。なおこの<信頼に値する相手>というのは、


『その人の言うことは無条件に何もかも鵜呑みにする』


のを意味しない。と言うか厳密には、


<その人の言うことがたまに間違っていたとしても目くじらを立てる必要がないと思える相手>


と言った方がいいかもしれない。本当に些細なことでも許せないと感じてしまう相手というのもいるだろう? つまりそういう相手は自分にとってはそうなんだということだと思うんだ。


なにより自分じゃない人間の言う<超一流>がそもそも自分がイメージしてるものと果たして合致しているかどうかすら定かじゃないわけで。


<自分じゃない人間の感覚>


なんて結局は想像するしかないしその想像が正しいかどうかを事前に確認する術もない。


<電脳化技術>が実用化された時に<脳に伝わる情報の共有>も試みられたことがあるらしいが。



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