表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

296/3014

生存競争(生き残りをかけてだからな)

「ギャッッ!」


「ギィッッ!」


「ガヒッッ!」


(ひかり)が自動小銃を斉射した辺りで、そんな悲鳴が次々と上がった。それと同時に、バタバタと大慌てで密林の中を走り抜けていく気配がある。スタン弾の洗礼を受けたボクサー竜(ボクサー)が逃げ出す気配だった。


さすがに手慣れたもんだな。


ボクサー竜(ボクサー)は凶暴だが非常に憶病な獣でもあるので、力の差を思い知らせてやると次からは襲ってこなくなる傾向がある。今回のはその為の威嚇だった。


怪我したのもいるかもしれないが、その辺りは<生存競争>だからな。向こうもこちらを食うつもりで襲い掛かってきたんだし、お互い様だ。


「周囲三百メートル内に気配有りません」


イレーネにそう告げられて、ようやく(あかり)が構えを解いた。その(あかり)に向かって、


「ありがとう…」


と、(ひかり)が呟くように言った。


「うん!」


(あかり)が嬉しそうに笑みを浮かべる。その様子がまた可愛らしい。(あかり)もいい子だよ。


とまあ、ちょっとしたハプニングはあったものの、これも割といつものことなので、(ひかり)はさほど気にしてなかった。(あかり)も、そういうものだというのは知ってるので、大丈夫だろう。


ボクサー竜(ボクサー)がちゃんと襲ってくるんだね。すっごい!」


って感じで興奮はしてるようだが。


家の周りのボクサー竜(ボクサー)は基本的に襲ってこないからな。ましてや駿(しゅん)の群れに至っては、お互いになんか慣れてしまったし。


いつも(ろく)号機から見えるところにいるから、(じん)達ももう襲おうとはしない。で、襲ってこないのが分かったらしく、向こうも平然としたものだ。こうやって距離が近付いていくものなのかねえ。


もちろん危険なのはボクサー竜(ボクサー)に限ったことじゃない。(ひかり)達のいるところにはカマキリ人間(マンティアン)タカ人間(アクシーズ)ヒョウ人間(パルディア)もいる。どれも危険な存在だ。


だから(あかり)は、(ひかり)の傍を離れようとしなかった。興奮しつつも、勝手に行動はしない。おかげで、イレーネも二人を守りやすい。


そんな中、(ひかり)は淡々と調査を行っていた。周囲に油断なく視線を送りつつ、(あかり)に話しかける。


「こうやって植物の種類を確認しつつ、見慣れないものがないか確かめるの」


丁寧な説明がまた彼女らしい。でも(あかり)の方は、


「ほえ~、は~!」


と、興奮しきりな様子できょろきょろしてた。


また、二人の様子を見守りつつ、イレーネも周囲を見回す。こうやって映像として記録するんだ。あとから詳細に見直しできるようにな。


だがその時、


「あれ? お姉ちゃん、あれは…!?」


(あかり)が声を上げ、指をさす。


その先には、見慣れない木の実が生っていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ