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キャサリン編 無茶はもうできない

サディマが保護されて三日。彼の様子は実に落ち着いたものだった。と同時に、<朋群(ほうむ)製AIのアルゴリズム作成>についてはとんでもない速さで進めていく。なのに間違いなく落ち着いた様子なんだ。彼にとってはそれこそが<リラックス法>なんだと実感させられる。まあ俺がこうやって自身の考えを延々と綴っていると落ち着けるのと同じようなものなんだろうと改めて思うよ。


ルイーゼも寝食を忘れて鉱物に向き合っている時がバイタルサイン的に一番リラックス状態にあるそうだ。肉体には負担なはずなんだが、精神面ではすこぶるいい状態であると。


まあそれはルイーゼだけじゃなくシモーヌやシオやレックスにもその傾向があって研究に打ち込んでいる時が最も安定してるらしい。が、実は俺もそうだと判明してる。自分の考えを綴っている時が一番いい状態という。次いで赤ん坊だった頃の錬慈(れんじ)を膝に抱いてた時と。


自分じゃ錬慈(れんじ)を膝に抱いてた時が一番だと思ってたが、自身の実感とは意外と違ってるものみたいだな。ちなみに(ひかり)(あかり)を膝に抱いてた時のデータは今とは大きく状況が違うのであまり参考にはならないが、錬慈(れんじ)を膝に抱いてる時よりも若干緊張状態だったようだ。まだ親として新米だったからかもしれない。なるほど言われてみればそうかもとは思う。


加えてあの頃はまだまだ行き当たりばったり(今もそう変わらないが)で常に緊張状態と言うか<躁状態>に近かったんだろうなとも感じるか。それに比べれば今は確かにずっと落ち着いてるな。『人間社会を作っていく』なんて途方もないことを目論んではいても別に俺一人でやろうとしてるわけじゃないし。シモーヌや(ひかり)(あかり)やビアンカや久利生(くりう)やシオやレックスがいてくれるなら俺はただの<神輿>でもいいくらいじゃないかと感じてる。俺が気負っても仕方ないさ。


ただそれで言うと、俺がやってきたような<無茶>はもうできないよなあ。(ひそか)はともかく(じん)(ふく)との馴れ初めはかなり無茶と言うか<無謀の産物>でさえあった。それが結果として彼女達に認められたんだとしてももう一度同じことをしろと言われたらさすがに断ってしまうだろう。つまりサディマにもあの頃と同じようなことはさせられない。キャサリンと親しくなるために無茶をさせるなんてできないということだ。


なにより俺にはエレクシアがいた。俺がエレクシアを『従えて』いたから彼女達は俺を<強い雄>と認めてくれたんだよなあ。


<あんなすごいのを従えてる強い雄>


と。



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