表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2928/3014

キャサリン編 気にしすぎるのも違う

地面もぬかるんでいるし何よりサディマに負担を掛けないようにするために車椅子ロボットは時速二十キロ程度の速度でコーネリアス号に向かって走った。このペースであっても一時間とかからずにコーネリアス号に到着できるはずだ。


一方、キャサリンは時速四十キロ以上の速度で走り、雷雨を振り切ってビクキアテグ村まで戻ってきた。そして、


「……」


僅かにサディマがいる方向に視線を向けた後、いつも通りの仏頂面のままで自分の家に入って行った。もちろんドウも一緒にだ。


自分の家に戻ったキャサリンは、ドウが冷蔵庫から取り出して電磁調理器で少し温めた肉の塊を丸かじりする。狩りができなかったからだ。


しかし骨を除けば重量二キロほどのそれを食べ切ったところで興味を失ったかのように放り出した。地球人の感覚だと食べ過ぎにも思えるが普段は十キロ以上食べるのに比べればあまりにも少ない。おそらく<おやつ>程度の量でしかないだろう。だが別に『体調が悪い』などでないことは分かる。彼女は基本的に狩りで得た新鮮な獲物でないと食欲が湧かないようで、いつものことだった。


だから心配は要らないと思う。ドウのセンサーが捉えているキャサリンのバイタルサインにも異常は見られないし。


ドウにはコーネリアス号にストックされていて今は主にアリスシリーズとドライツェンシリーズに使われている高性能なセンサーを装備してあるんだ。エレクシアが備えているそれに比べると若干劣るが、セシリアやメイフェアやイレーネが備えている物とほぼ同等品だった。他のドーベルマンMPMやドーベルマンDK-aには装備されていないものだ。


そういう意味じゃドウは<特別な機体>ではあるものの他のロボットは彼女に近付けないからそうしただけで、それ以前からキャサリンはドウと他のドーベルマンMPMの区別がついてた。なのでそれも関係ないと思う。


むしろそういう小改造を施してもドウだと認識できるというのが確認できたと言うべきか。


本当に不思議だよ。サディマのことを察知できたのかもしれないのも併せてアラニーズの能力にはまだまだ謎が多いと感じる。まあ素になった<例の不定形生物>由来の個体は<物理書き換え現象>により透明な体を得ているわけだからそもそも非常識な存在ではあるし、そこから生まれた種だから地球人の知識では説明のつかない何かがあったとしてもそれほど不思議じゃないのは確かだと思う。


だからその辺りを気にしすぎるのも違うんじゃないかな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ