キャサリン編 ロボットに守ってもらってた
だから、
『人間か。人間以外か』
の話についてはまだまだこれから煮詰めていかなきゃいけない話だろう。焦っても仕方ない。<完璧な答>が天から降ってくるわけじゃない。あれこれ実例を詳細に確認してデータを蓄積していくことで醸成させていくしかないとは思う。
まあ今の時点では、誉や按が<獣人>でキャサリンが<人間>であってもこれといって問題も生じてないし。キャサリンが家族や仲間に対して攻撃的だったら話は別でもそれもないわけで。
しかしその一方で、ドウが捉えた獲物にとどめを刺しその場で道具も使わずそのまま歯を立てて顔も体も血塗れにして貪っていく姿を見る限りじゃ人間と認めたくない者もいても不思議じゃないとは思うかな。
でもなあ、その辺は未来も黎明も蒼穹も土竜とかを捕まえておやつ感覚で調理もせずに食ったりするから何とも。ただしそこも、地球人にも『生きた小動物や昆虫をそのまま食べる』という食文化があったりするしで、線引きは難しいかな。そういうのは『野蛮だ』『残酷だ』として敬遠される傾向にありつつも不思議と完全にはなくならないんだよ。
実に謎だ。
この辺りはやっぱり『人間も動物の一種なんだ』ということだろうか。
それはそれとして『人間らしく』ロボットをしっかりと活用して今日も確実に食事にありつけたキャサリンを頼もしくも思う。これはビアンカも久利生も同じ。野生の獣のような生き方をする<娘>を案じつつも逞しく生き延びていることについては素直に称賛してるとのこと。まあドウがついてくれてるからそれが安心材料になってるのは確かだろうが。
俺の子供達もなんだかんだでロボットに守ってもらってたしな。誉はメイフェアが必ず守ってくれると思えてたし、実際に守り切ってくれたし。
そういえば誉のパートナーの碧も、いよいよ人生の幕引きの時間が迫ってきてるようだった。日がな一日、誉と一緒に過ごしてた木に体を預けた状態でぼんやりしてるんだ。誉を見送り、子供達も立派に育て上げた彼女には感謝しかない。このまま穏やかに休んでもらえたらと思う。今まさに激しく命の炎を燃やしているキャサリンとは本当に対照的な姿だ。
もっとも碧がそうやって平穏な余生を送れているのもメイフェアが群れを守ってくれてるからだというのは間違いなくある。もしマンティアンやパルディアに襲われたらひとたまりもないわけで。
食料集めや縄張りの見回りに出ている者達全員まで守ることは難しいにせよ、群れの拠点については鉄壁の守りになっているんだ。




