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閑話休題 ドウの役目を編集

<ドウ>は、ロボットである。


正式名称は、


<ドーベルマンMPM十六号機>


だが、いささか特殊な扱いを受けていることもあり、ペットネームを与えられたのだ。


そんなドウの役目は、


<キャサリンと共にいること>


だった。もちろんそれは身辺警護なども含んだものではあるものの、実質的にはもっとプライベートに踏み込んだものであり、むしろ<家族>や<仲間>と言った方がその実態に則しているかもしれない。


何しろ当のキャサリンがそう振る舞っているのである。普通の地球人のように分かりやすく親しげにしているわけではない。笑顔を見せたり和やかな様子で話し掛けたりするわけでもない。あくまでも、


『群れを作る昆虫が同じ群れの他の個体に接するように淡々と』


したそれだった。基本的に昼間に行動するキャサリンが<住処>にしている家の中で目を覚ましてドウを見ても『おはよう』などと声を掛けることもない。ただちらりと視線を向けてから家を出ていくだけだ。ドウもそんな彼女に対して声を掛けるでもなく淡々と従う。


<アラニーズ>であり、地球人そっくりの形状を持つ部分は<アラニーズの頭部>であって地球人の手足に見える部位はあくまでも<触覚>でしかない彼女の<脚>はクモのそれによく似たものが六本。対してドウの<脚部>は四本ではあるものの、遠目にパッと見た印象は結構似通っているとも言えるだろう。


もちろん生身の肉体のキャサリンといかにも人工物で構成されたロボットであるドウは、その違いを理解できる者にとっては似ても似つかないものであるのも事実である一方、ロボットというものを知らない者にとっては<同種>のように見えても不思議ではないくらいには近いシルエットを持ってもいた。まあ、同じ種でも雌と雄とではもはや同種とは思えないくらいに形状が違うものもいるので、キャサリンとドウもそれだと思われても無理はないだろうか。


だがそんなことすらキャサリンにとってはどうでもいいことだった。彼女の認識としてはそういう理屈は意味を持たないのだろう。


『こいつは私の仲間だ』


それだけが彼女にとっては重要なのだと思われる。


そんなキャサリンと共に草原へと走り出したドウは、今日も彼女のパートナーとしての務めを果たすべく自身の機能のチェックを行っていた。ドウに備えられたAIがチェック項目を順に確認していく。


それらすべてに問題がないことを確かめつつ前を走るキャサリンを追ったのだった。



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