判明したこと(やっとここまで分かった)
改良が進みいよいよ完全な自立行動が可能になった、ソーラーパネル搭載型の母艦ドローンを放ったことで、俺達がいるこの地域について大まかなことはますます分かってくるだろう。
が、その前に、
「映像の復元が完了したようです」
エレクシアが俺に報告してきた。
<映像の復元>
俺がこの惑星に不時着した際、降下中に記録していたはずの映像や各種データが夢色星団の電磁波異常やらの影響を受けてか再生できなかったんだが、それがようやく復元されたそうだ。光莉号のAIが、地道に一ビットずつ修復してくれてたらしい。だからこんなに時間がかかってしまった。
それでも、人間と違って<諦める>ということもなく<苦痛>も感じないAIだからこそのそれに、感謝感謝だよ。
で、復元された映像を確認してみると、やはり、ある程度は予測してたが、ここは、標高一千メートル、広さは日本の本州が丸ごと入ってしまうほどの大きさの、高低差一千メートル未満のほぼ平らな<台地>の上だったんだ。
さらに数日後、ここから最も近い<台地の端>まで母艦ドローンが行き、実際に映像として記録して戻ってきたことで裏付けも取れた。
台地の端は切り立った高さ数百メートルの断崖絶壁で、地球にあるという<ギアナ高地>を思わせる光景が広がっていた。
その断崖絶壁には、波による浸食の痕と思われる痕跡が見られ、ここがかつて周囲を海に囲まれた<島>だった時に、非常に硬い岩盤でできた部分が残ったことで断崖絶壁になったのだと思われる。その後、地殻変動により隆起したか逆に海面が下がったかしたことでこの特異な地形が形成されたということのようだった。
しかも、台地の麓まで降下した母艦ドローンが集めたデータによると、海抜ゼロメートル辺りまで降りるとそれだけ大気が濃くなり、逆に俺達にとっては適応しにくい環境になることが分かった。この惑星は元々大気が濃くて、標高一千メートルくらい上がってようやくちょうどよくなるという状態だったんだ。上手い具合にそこに不時着できたという訳だ。
と言うか、映像と共に修復された光莉号のログを改めて確認すると、危険度が高そうな巨大生物の姿が不鮮明ながら確認できたことで、それが見えなかったここを選んで不時着したという記録が見付かった。
光莉号の頭脳体であるエレクシアに記録される前にデータが破損したせいで、確認できなかったんだな。
だからこの環境は、ある意味ではこの<台地の上>だけの特殊な環境らしい。なにしろ基本的には、体長数十メートルの恐竜型の生物がうようよと闊歩してる<恐竜(に似た生物)の惑星>である。だから、角の住処となってる巨大生物の死骸は、元々ここにいた生物の遺伝子を取り込んだ不定形生物がそれを再現したものが基になってる可能性が高い。
高さ数百メートルの断崖絶壁に囲まれていることで大型の<恐竜(に似た生物)>の侵入が阻まれ、それによりこの台地の上では他の地域とは違った生物の進化が進んでいるらしい。薄い大気に適応できた小型の<恐竜>が残ってオオカミ竜やボクサー竜、サイゾウの基になったのかもしれない。
そして独自の進化にさらに拍車をかけたのが、あの不定生成物ということなんだろう。
ちなみに、恐竜(に似た生物)達の世界では、上空からでもすぐに見付けられるほどの巨大な<蛇に似た生き物>の姿も確認された。蛟の基になった生物ということだろうか。




