未来編 粗悪な人間
『自分の好みに合わないものをとことんまで貶す。こきおろす』
そんな行為をまるで<権利>のように考えてる人間も少なくなかったよな。特に<創作物>の場合はそれこそ作者を死ぬまで追い詰めようとするかのごとく苛烈なものが少なくなかった。
それが今でも本当に不思議で仕方ない。たかが創作の出来一つでそこまで他人を攻撃できる奴の人間性が俺にはまったく理解できないんだよ。妹の光莉の件で俺も、
『人間なんかみんな死ねばいい!!』
とまで本気で考えてた時期もあったが、それはあくまで光莉の病気の件があってのことだ。それ以前は、
『人間なんてこの世に存在する意味あるか? 絶滅した方がいいんじゃないのか?』
的に考えてたことはあってもただの妄想止まりの<中二病>みたいなものだったと思う。だが光莉が怪物のようになってしまってた頃のそれは、俺に<地殻反応弾のスイッチを押せる権限>があったら押さずにはいられなかったであろうほどに追い詰められた状態だったからだ。
ネットで他人を攻撃してる連中はそこまでの事情があってそんなことをしてたのか? 中にはそういうのもいたかもしれないが、たかが創作物に執着してられるだけの余裕がある以上はそこまでとは到底思えないな。実際俺も、あの当時は創作物に意識を向けられるような精神状態じゃなかったし。
じゃあネットで他人を攻撃してるような連中はやっぱりただ感情に振り回されて礼儀も礼節も捨て去った<粗悪な人間>ってことじゃないのか?
まあこんな言い方自体が<好ましくないもの>だとは俺も思うし子供達の前では使わないようにしなくちゃと思うものの、正直な印象ではある。
俺自身もこんなことを思うくらいだから『思うだけ』なら別に構わないと思うし内心にまで口出しするのは違うと俺も感じるにせよそれを実際に他人に向ければ何が起こるかくらい想像もできないのか? 親は教えてくれなかったのか?
創作物の登場人物が親を蔑ろにするような振る舞いをすればそれに憤るクセに自分はそれか? そんな奴が創作物の登場人物の振る舞いを批判するのか? どこまで自分自身を省みることができないんだ?
そして登場人物にそんな振る舞いをさせた創作者を攻撃する。そんな人間に誰がしたんだ? それは結局、お前の親だろう? 俺は自分の子供達がそうやって他者を攻撃することを許すつもりなんか毛頭ないな。
物事を自分に都合よく解釈し、他者を攻撃する言い訳にばかり頭を使う。学校で学んだ知識の使い道がそれなのか?




