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種族の壁(薄々分かっちゃいたんだが)

こうやって次々と子供達が生まれてくるということは、(ほむら)達も当然、大きくなってきてるということだ。


実年齢はあれだが、見た目にはミドルティーンくらいにも見えるような感じで、たぶん、精神的にも思春期真っ最中ってところなのかもしれない。もう十分に巣立ってもおかしくない頃だ。それどころか、(ほまれ)(めい)(しん)は今の(ほむら)達と同じ年齢でもう子供できたもんな。(かい)にいたってはさらに早かったし。


取り敢えず今のところは巣立つ様子もないが、もし巣立つとしたらどうするつもりなんだろうとは思う。


ボノボ人間(パパニアン)である(ほまれ)(あらた)は密林が主な生息地だし、ライオン人間(レオン)(さい)(りん)は草原が主な生息地だ。


(しん)(げん)に合わせてヒョウ人間(パルディア)のような暮らし方をするようになった。木に上るのも今ではお手の物だ。家に帰ってきてからはさすがにボノボ人間(パパニアン)のように屋根に上ったりはしないものの、すでに草原で生きるつもりはなさそうではある。


「冷静に考えると、(しん)の例もあることですから、ライオン人間(レオン)が密林に適応するのはそれほど難しくないようです。木に上るのも割と上手いですし。


ただ、逆に、木に上ることが自らを守る手段でもあるボノボ人間(パパニアン)が草原で生きるのはリスクが高いでしょう。平地を走る速度では、ライオン人間(レオン)には遠く及ばない。ましてやオオカミ竜(オオカミ)が相手だと話になりません」


と、シモーヌは分析する。


「そうなると、このまま密林で暮らす方がまだ安全ということか」


「そうですね。あくまで『比較すると』なだけですが。


ただ、問題はそこじゃないかもしれません」


「<種族の壁>…か」


「はい。この家で暮らしてる限りは種族の違いはそんなに大きな問題にはならなくても、自然の中に戻ればお互いの種族の違いからくる習慣や食生活のズレは無視できないものになるでしょう」


「確かに……


となるとあの子達は、このままずっとこの家で暮らすことになるのかな」


「結論とすればそういうことになるでしょうね。この家と言うか、家は別でもいいかもしれないですが、この環境があの子達には必要かもしれません」


「自然は戻れない…?」


「自然の中ではこの出逢いはなかった訳ですから。あったとしてもこうは上手くいかなかったでしょうね」


「……いずれこういうこともあるかもとは思ってたし、(ひかり)(あかり)も自然には戻れないから、(ほむら)達もってことだな……」


薄々感じてはいたものの、改めて事実を突きつけられると結構くるな。


あの子達がもし、同種をパートナーとして選びなおすのなら自然に戻れる可能性はあるとしても、もし、今のままなら……



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