陽編 親子関係にも当てはまる
生身の人間は、
『自分が認めてない相手に対してはどうしても親身になれない』
みたいなところがあるよな。たとえば<コーチ>として<選手の指導>を行う場合でも『自分が認めてない選手への指導には熱が入らない』なんてこともあるらしいし。逆に自分が認めてないコーチの指導は頭に入らない選手も多いのか。
これは結局<親子関係>にも当てはまると思う。子供が親の言葉に耳を貸さなかったりするのは『認めてない』からであって、自分の子供に認めてもらえない親というのは『自身の人生経験をどこに置き忘れてきたんだ?』と思うよ。『どうしてつまらない見栄を張って墓穴を掘るんだ?』とも思う。見栄を張りたいのかもしれないがそんなことをしなくても親には子供にできないことが普通にできる。幼い子供が親を抱き上げられるか? 普通の子供は働いて家庭を維持するなんてできないぞ? たまに一芸に秀でた子供がそれを活かして金を稼いでたりするが誰でもはできないわけで。それに対して多くの親は当たり前のように働いて子供を養ってるよな。
とにかく親は幼い子供にはできない多くのことができるんだから、普通にしてるだけでも子供からすればヒーローみたいなものだろう。なのに余計なことをしてせっかくのアドバンテージを台無しにしているのが本当にもったいないと俺は思う。
なにしろ光や灯はまだ十歳くらいの見た目の頃には身体能力の点ですべて俺を圧倒していたよ。それでも光も灯も俺を慕ってくれてた。あの子達にとって俺は<慕うに値する親>でいられたんだ。と言うか、
『嫌われる振る舞いをしなかった』
と言うべきか。それは決して、
『子供の前で失敗をしなかった』
とか、
『子供の前でだらしない姿を見せなかった』
とかじゃない。何度も失敗もしたしだらしない姿なんて見せてない日の方が少なかった。あくまで光や灯が『俺とは別の人間なんだ』というのをわきまえてその人格を貶めるようなことをしなかっただけだ。自身の人格を貶められるのがいかに精神の安定を乱されて相手への信頼を損ねるか、知らない人間の方が少ないと思うのに、なぜか親は子供に対してわざわざ<信頼を損ねる行為>をしてしまうんだよな。俺が実際に目撃した範囲だけでも、
『そんなことをすればそりゃ子供に反発されるだろ』
と感じる行為は当たり前のようにされてたな。だから俺はそんな振る舞いをしないと心掛けてただけだ。その結果、光も灯も俺のことは今でも嫌ってないよ。




