表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

269/3014

負けた気がする(ペットを飼う気分って)

(ろく)号機を親代わりについて回るボクサー竜(ボクサー)の子供について、変に名前を付けたら余計に情が移ってしまって辛くなると思うのに、つい、<駿(しゅん)>とか心の中で呼んでしまってる俺がいた。


正直、関わり合いになると厄介な獣として疎んでたのは事実だ。なのに、こうしてみると、ペットを飼う人らの気持ちが分かる気がしてしまうんだから、人間ってのは本当に勝手な生き物だと思うよ。


でも、悪い気はしない。ちくしょう、なんか負けた気がするのに。


駿(しゅん)は本当に片時も陸号機から離れようとはしなかった。まあ、はぐれたら命に係わるんだから当たり前といえば当たり前か。しかも、寝る時には陸号機のボディの隙間に入り込んで、しっかりと安全も確保しつつなんて様子を見ると、子供でもその辺は抜け目ないな。


ドーベルマンDK-aは、とにかく簡素化されたロボットだから、可動部に異物が挟まったりしないように最低限のカバーがつけられてるだけなんだが、それがちょうどいい具合に駿(しゅん)が身を隠す為の隙間になっている。しかも、さっきも言った通り可動部には最低限といえどカバーがつけられてるから、挟まれたりする心配もない。


本当に、おあつらえ向きにそれがまた上手い具合に守る為の構造になってるんだ。まったくそんなこと想定もしてなかったのに。


俺達の<縄張り>内を哨戒してる陸号機と駿(しゅん)の姿が、時折、密林の中でちらちらと覗く。


クローラーを備えた自在に動く四本の脚で、木の根が複雑に絡まり合ったそこを危なげなく進む陸号機。


その陸号機の後を、ちょこちょこと、時にぴょんぴょんと、確かに可愛らしい動きでついていく駿(しゅん)


だから駿(しゅん)の動きに合わせて陸号機も進む。ほとんどの獣は、彼らから見たらそれこそ<怪物>のような怪しい陸号機に近寄ろうともしないことで、結果的に駿(しゅん)も守られてる。


それでいて、昆虫はさすがに陸号機そのものを恐れたりもしないから、動きを止めれば、たかってきたリもして、それを駿(しゅん)が巧みに口や手で捕らえて食事にありつく。


途中、()号機や(しち)号機とすれ違っても、不思議とそちらには目もくれない。


ちなみに()号機は、ロールアウト寸前に、材料として使った資材の一部に亀裂が入ってることが分かって完成が遅れた為にコーネリアス号の方に配置されてる。初号機、弐号機、参号機、伍号機がコーネリアス号。肆号機、陸号機、漆号機がこちらという配置だ。


まあそれは余談なので置くとして、とにかく駿(しゅん)が、陸号機を<親>と言うか<仲間>として認識してるのは間違いないと改めて実感させられたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ