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ルイーゼ編 刑罰の一つ

そうだ。人間(地球人)という生き物は<野生として生きていく力>を捨ててしまった。その上で、自力では野生で生きられなくなった自分達を生かすために社会を築いてきたんだ。その現実がある限り、『人間を見捨てる』というのは、<自分達が人間(地球人)であることを否定する行い>であるというのは厳然たる事実だと俺は思うんだよ。


そして今ではそれを自覚している人間も少なくない。ゆえに地球人社会は成り立っているとも言えるだろうな。ただ自分の欲求ばかりを追求するだけじゃなくなってるんだ。


しかし同時に今でも自分の欲求ばかりを優先する人間だって決して少数派ってわけでもない。むしろ数だけで言えば多数派だろう。あくまで限度をわきまえなければ法に触れることもあるからある程度は自制できてるだけで。が、自制できてない人間も中にはいる。そうやって他者に危害を与えるような奴は自分で自分が人間(地球人)であることを否定してるよな。本当に愚かだと思う。


だからこそ<人権>も制限されるんだよ。<刑罰>ってのは人権が制限されてるがゆえに課すことができるものなわけで。しかも<死刑の代わり>として導入された刑罰の一つに、


『超AIが見せる仮想現実の中で改めて人生を経験し、<失いたくない大切な相手>を作らせてからそれを失わせる』


なんてのが存在するのも『人権が制限されている』からなわけで。そうじゃなきゃ、


『残酷すぎる』


という反対意見にも合理性が出てきてしまう。加えて、


『たとえ仮想現実の中のシミュレーションとしてであってもそこには人間が生きているんだからそれを守るべきだ』


なんて意見もあってかなり面倒な話になってくるしな。とはいえ、<シミュレーションの中の極めてリアルな人間達>はあくまで<データ>でしかないんだよ。これまでAIが蓄積してきた膨大な<人間(地球人)のデータ>を基に『生きた人間としか思えない振る舞いをする』ように作り上げられただけのデータなんだ。だからこそたとえシミュレーションの中で死んでもすぐさま生き返る。


ある意味、<ドラマの中で役者が演じているキャラクター>のようなものか。ドラマの中でそのキャラクターが死んでも誰かが本当に死ぬわけじゃない。


まあそれでも<熱狂的なファン>なんかはそのキャラクターの葬式をあげたりするらしいが。俺にはその感覚は理解できないもののだからといって強く否定はしないさ。否定はしないが、肯定もできない。



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