表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2553/3014

閑話休題 命の残り時間

(ほまれ)が亡くなったことで<錬是(れんぜ)の子>は、(ひかり)(あかり)錬慈(れんじ)(ほむら)(かい)(さい)(すい)を残すだけとなった。


単純に数だけで見ればまだ半分が生きているとも言えるわけだが、(ひかり)(あかり)錬慈(れんじ)は地球人としての形質が前面に出ていることでそもそもの寿命が<獣人>達よりもずっと長いと推測されていた。


それは、治療カプセルを用いた<人間ドック>でも確認されており、病や事故でもなければこの三人が錬是(れんぜ)よりは長く生きるであろうことはほぼ確実だった。


一方で、(ほむら)(かい)(さい)(すい)については一見しただけでも相当な高齢であることは明白であり、もってあと数年、それどころかこの瞬間にも命の幕を下ろしたとしても何ら不思議ではなかった。


事実、そういう形ではっきりした予兆もなく亡くなった者も少なくない。これはより野生に近い生き方をしていることで自身が弱っているのを周りに悟られないように振る舞っているのが影響している可能性があるだろう。群れで暮らす者の場合は<足手まとい>と見做されるからかもしれないし、単独で暮らす者の場合は天敵に狙われやすくなるからかもしれない。


いずれにせよ地球人社会で暮らす地球人の場合は弱っていることを周囲に悟られたとしてもすぐさま命の危機に曝されるわけじゃないことでそれを隠す必要がなくなったのとは大きく違っているのは事実だろうと思われる。


だからこそ、(ほむら)(かい)(さい)(すい)に残された時間も極めて限られているのが分かってしまう。


極力隠そうとしているにも拘らず見た目に衰えてきているのが分かってしまうからだ。『もう隠しきれなくなってきている』とも言えるだろうか。


まあ、その四人の中では(すい)が最も若く<衰え>についても他の三人ほどの印象はなかったりするが。これは(すい)が<捕食者(プレデター)>としての生き方を貫いているのが影響しているのかもしれない。捕食者(プレデター)の場合は衰えて<狩り>ができなくなればそれが死に直結するがゆえに。


その意味では(さい)も種族自体はレオンなので捕食者(プレデター)側ではあるものの、パートナーである(ほむら)がパパニアンだったことでそちらの生態に合わせたらしく、姿こそレオンだがその暮らしぶりはパパニアンそのものだった。


遺伝子の基本が地球人のそれであったがために、レオンであってもパパニアンと同じ雑食でも十分に肉体を維持できたのも幸いしたのかもしれない。なので事実上<パパニアン>として(さい)は生きてきたということだ。


野生の動物の場合はなかなかそうはいかないかもしれないが、本来はクマの一種であるはずのジャイアントパンダが笹を主食にするようになったような事例は他にもあるのだろうと思われる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ