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機械は人間じゃない(だから噛み合わない)

俺はロボットの専門家じゃないからあまり詳しいことは知らないが、ロボットやAIというものが本格的に運用され始めた頃、人間がやってたことの多くをAIとロボットに任せてしまおうとした時期があったらしい。その時点で既にAIは下手をすると人間を凌駕する能力を獲得してたそうだし。


ただそれに強い反発を感じた人間も当時は今よりずっと多くて、ロボット排斥を訴えたテロが横行したなんてこともあったそうだ。


そのテロについてはもちろん本当に支持を得ることもなく下火になっていくものの、同時に、様々な試験的な運用が行われ、それぞれ問題点もあらわになり、結果として、


『AIやロボットはやはり人間の道具であるべきだ』


っていう論調が主流になり、何でもかんでもAIやロボットに任せてしまうという選択は行われなかったって話だ。


まあ要するに、危険な作業とか、人間にとっては肉体的精神的に負担が大きすぎる作業とかだけをAIやロボットに任せ、『道具としてのAI及びロボット』っていう存在が確立されていった訳だな。


人間の代わりに戦争をしたり、パンデミックを封じる為に惑星を封鎖したりっていうのもその一つってことか。


しかも、何度も試されては結局導入されることはなかった、『ロボットに人間の感情を再現する』というものも、『道具と、それを使う者』という線引きを残す為に最終的には踏み切られなかったって話かもしれない。


感情を持ったと思しきAIやロボットについての話はいくつかあるものの、どれも最後には悲しい結末に終わってるからっていうのもあるんだろうか。


なにしろ、『機械は人間じゃない』からな。心を持ったことで、それを余計に思い知らされてしまう結果になるんだと。


心を持って人間に恋しても、AIやロボットは人間と同じ時間は過ごせない。部品さえ交換すれば何千年も存在できてしまうAIやロボットと、やっと健康寿命が二百年を超えたってだけの人間じゃ、やっぱり噛み合わないんだよ。


俺も、今後、それに近い例を味わうことになるだろう。俺の寿命はまだ六十年から長くて百年近くある。それに対して(ひそか)達の寿命は、恐らく四十年ほどとみられてる。(ひそか)(じん)(ふく)(しょう)だけでなく、子供達さえ俺より先に逝くことになる筈だ。


AIやロボットに心を持たせたら、そういう悲しみを与えることになるんだ。だったら、ちゃんと<道具>と割り切らせてやった方がいいんじゃないかな。


人間がAIやロボットに入れ込んで悲しむのは、作りだした側の責任として負うべきことだと俺は思うんだ。


でも、人間の勝手で作り出したものにそれを負わせるのは、さすがに違うんじゃないかなって気もするな。



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