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第47話 ファネットとピエールの結婚、更にアランとカサンドラの結婚

 何故なら、この世界では既にピエールの傍にはファネットがいたからだ。

 アラナとピエールとの間に、手紙のやり取りこそあったが、実際に二人が逢った時には。

 既にピエールとファネットの二人の仲は、周囲から、いい加減にサッサと結婚しろよ、ケッ、と陰で言われる程の状況になっていた。

 そういった状況にあったことから、後でアラナ本人に僕が聞いた際には。


「もうね。私が直接にピエールと顔を合わせた瞬間、私に電撃が奔って、ピエールと何としても私は結婚したいな、と思わなかったと言うと大嘘になるけど。何しろ、ファネット叔母さんが既にピエールの傍に完全に寄り添っていたでしょ。だからね、幾ら何でも、よく知っている実の叔母相手に略奪婚、何て私はできない、と諦めちゃったの」

 と素面ではどうにも言い難かったのか、アルコール度96度のスピリタスの未開封だった新品の瓶を半分以上もストレートのまま、半ば一気飲みした末に、アラナは僕相手に愚痴って酔い潰れてくれた。


 幾ら実の祖父が相手とはいえ、悪酔いにも程がある、と僕自身が半ば呆れたが。

 それだけ、アラナにしてみれば、この初恋した瞬間の失恋のショックが大きかったのだろう、と僕は想わざるを得なかった。


 そして、史実に準じて、カテリーナは病に倒れたことから、ピエールとファネットは本心としては、もう少し結婚は先延ばしして、と思っていたらしいが、ピエールからすれば実母、ファネットからすれば義姉に結婚式に列席してもらおう、と急きょ、結婚することになった。

(更に僕はこの時に、心底、後悔する羽目になった。

 もし、この世界の先行きが詳細に僕に分かっていれば、カテリーナの体調不良が分かった時点で、精密検査等を勧めただろうが、先行きが詳細に分からない僕は、カテリーナの大丈夫ですから、休んでいれば良くなります、という言葉を鵜呑みにしてしまい、カテリーナが病死するのを止められなかったからだ)


 更に、カテリーナが病死した後、1年近く経ってから。

 アランはカサンドラと再婚に踏み切った。

 

 カテリーナがいなくなったことから、精神的な歯止めが効かなくなったのか。

 カサンドラは、アランの傍に仕事を辞めて引っ越してきたのだ。

 この世界では、アラナがスペイン空軍士官になっているし、それにアランがアラナを認知していることもありで、自分の事が最優先に、この世界のカサンドラはなってしまったらしい。


 史実世界では、娼館を経営していたので、今更、アランと結婚なんて、という思考にカサンドラは流れたのだが。

 この世界では、第2次世界大戦直後に、カサンドラは経営していた娼館を譲渡して、正業に就いて20年近くが経っているのだ。

 だから、アランに猛アタックして、結婚しよう、とカサンドラは考え。

「ちゃんと穴開きコンドームを準備しましたから」

 とどこまでが冗談なのか、本当に笑えない冗談まで言って、カサンドラはアランの子を妊娠して、出来ちゃった結婚に漕ぎ着けてしまった。


 それこそ、カサンドラの娘のアラナが、カサンドラの所業について。

「本当に思い立ったら止まらない母で、本当に娘として心から謝罪します」

 と陰で、僕やジャンヌ、ピエールやファネット、そして、サラにまで頭を下げて回る始末になった。


 そんな史実とかけ離れた事態まで引き起こされたが。

 史実と異なり、カサンドラが正業に就いて20年近くが経っていた、という事実は重い。

 だから、今更、カサンドラの過去を掘り返そうとする動きもほぼ起きず。

 アランは史実とは異なり、停年まで軍人として生涯を送り、最後にはNATO軍総司令官という顕職を務め挙げた上で、フランスの英雄として無事に退官することができたのだ。 

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