第33話 この世界の第二次世界大戦の終結と僕達親子の関わり
こうして、第二次世界大戦勃発に伴い、僕は子ども達と共に欧州に赴くことになり、更にアランやファネットと、千恵子と総司は、初めて直接にお互いが顔を合わせる事態が起きた。
そして、第二次世界大戦の間中、僕達親子は欧州の戦野で戦い続ける事態となった。
独仏国境で戦い、ライン河を渡河して、独本土制圧を目指し、ベルリンを占領して、独を降伏させた。
更に、ソ連本土へ攻め込み、アルハンゲリスクとアストラハンを大まかに結ぶ線を確保して、ソ連が崩壊するまで、連合軍の一員として、僕達親子、僕と千恵子、総司が所属する日本海兵隊は戦い抜くことになったのだ。
そして、アランは仏陸軍の一員として独降伏までは戦い、独降伏後はスペイン軍に派遣されて、青軍団の一員となって武勲を挙げることになった。
そう、大まかな第二次世界大戦の流れは、史実とそう変わらなかったといえるかもしれない。
だが、史実と違い、僕がスペイン内戦の際に、陰謀を巡らせて、ソ連の赤軍幹部の大粛清を引き起こしていたことは、それなりに影響があった。
それによって、ソ連赤軍は史実より弱体化し、また、ソ連は内部の民族、宗教弾圧を強めており、史実以上の内部弾圧が引き起こされることになったのだ。
そのために独ソ中は、史実以上の死傷者を出すことになり、逆に連合国側の被害は少なくて済んだ。
だが、それを知っているのは、僕だけだ。
それに結局のところは、ほぼ本土が戦災に遭わなかったといえる日本でさえ、それなりに第二次世界大戦の結果、民間人にまで死傷者を出す事態が生じた。
第二次世界大戦勃発直後に行われたソ連空軍による日本本土への空襲、また、独ソの潜水艦を中心とする通商破壊戦、更に機雷による港湾封鎖の試み等々。
そして、被害が出れば、それ以上の報復を叫ぶ声、世論が高まるのは、半ば当然の話で。
大量の民間人にまで犠牲者を出して、第一次世界大戦を上回る大量の戦死傷者を出した末に、第二次世界大戦は終わったのだ。
僕は、第二次世界大戦終結時に、少将にまで昇進しており、第3海兵師団長を務めていた。
そして、総司も順調に武勲を挙げて大尉にまで昇進し、海兵中隊長を務めていた。
だが、千恵子やアランの方が、名を売ってしまい、僕や総司は苦笑いし、忠子は
「全く、妾の子が何で本妻の子よりも名を挙げるのよ」
と陰で愚痴る事態が起きた。
千恵子は、第二次世界大戦終結時、軍医大尉にまで昇進を果たした。
そして、女性ということも活かして、ドイツ軍が遺した慰安所問題解決に積極的に取り組み、また、ソ連の女性兵の捕虜の保護に奔走して大いに名を売った。
(これは、日本を始めとする連合国上層部の思惑にも、実は合致していた。
独ソは、女性を積極的に戦禍に巻き込んでいる悪逆非道な存在だ、という宣伝をしたかったのだ。
また、千恵子には、僕や土方伯爵家といった存在がいたのも、告発に有利な点だった。
それにこういったことは、やはり、女性が聞く方が女性も語りやすかったのも良かった点だった)
一方、アランは、史実通りの活動をほぼ行った。
フランス陸軍士官として対独戦中は武勲を挙げ、対独戦終結後は、スペイン軍に派遣されて、青軍団の一員として、スペイン陸軍少佐の地位を与えられ、青軍団司令部の参謀を対ソ戦終結まで、基本的には務めて功績を挙げた。
余りに若い出世(何しろ、スペイン陸軍少佐に任官した時、25歳にまだなっていなかった)から、周りから依怙贔屓による出世とかなりやっかまれたが、スペイン内戦以来の武勲で周囲を黙らせ、グランデス将軍の陰の片腕と呼ばれる活躍をした。
かくして、第二次世界大戦は終わったが。
まだ、僕の人生は終わっていなかった。
これで、事実上の第3部を終わり、次話から第二次世界大戦終結後、主人公からすれば、末娘や孫が主に描かれる第4部になります。
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