五十六話 喝
「お前は本当に……覚悟しろッ!」
「~~~~ッ!」
王の力みは先ほどより明らかに上回っており、その様子からさっきより痛い目に合わせようとしているのは明白であった。
10%の力を20%に引き上げたと言った所か? とりあえずフルボッコにして、無理やり部屋へ連れ戻そうという腹積もりらしい。
『アカン……絶対無理や……』
「くっそぉ……水玉ぁ!」
無論大人しく引き下がるつもりもないし、フルボッコもイヤだ。
とりあえず抵抗しないと始まらない。そこで僕は、「攻撃こそ最大の防御なり」作戦を決行する事になるのだが……
――――ズリュゥ! ズププ……
「水の……剣?」
ハッキリ言って策なぞない。
思いつく事を片っ端から実行しよう。フルボッコにされるのはそれでも遅くはないだろ?
さっきは逃げ回ってばかりで受け身だった。だから、今度はこっちから仕掛ければ活路が見いだせるかもしれない。
――――そう、思ったんだ。
「そんな水遊びで…… フ ン ッ ! 」
パ ァ ン !
生み出した水の剣は構えて間もなく、辺り一帯に飛び散る事になる。
だろうなとは思ったが、鍔迫り合いすらさせてもらえないとは……
一つ目の手段、剣撃――――結果はバツ。
武器の相性もさることながら、破壊の衝撃が手にまで伝わり、ビリビリ痺れて余計に痛いと言う最悪の結果を招いた。
「いっ……でぇぇぇ!」
「水を象った武装……技だけは豊富だな。では、軒並み潰していけば諦めがつくか?」
王は腕を抑え痛がる僕をただ眼前に見据え、次の一手を潰すべく堂々と構えだした。
どうやら、僕の対抗手段を全て真っ向から叩き潰すつもりらしい。
完全に、なめプされている……普段ネトゲで似たような事をやっているが、自分がやられるとこうまでイラつくとは。
「大魔女を君につけさせたのは失敗だったかもしれんな。どうやら、変な癖が移ったようだ……」
「……隙ありゃァ!」
「――――ぬおっ!」
痛がるふりして隙を伺った。腕が痺れて痛いのは本当だが、手のひらでコッソリ水を精製するだけなら簡単だった。
さっき口から吐きかけた目潰しは、一応だが当たった。だから油断を付いた攻撃が有効だと思ったんだ。
あきれ混じりの溜息に合わせ、こっちも今できる”最良”へと合わせた。
「こ、今度は”槍”か!」
水の槍――――リーチが長い分痺れた腕でも十分矛先は向かってくれる。
王から見れば、何もない所から突然出てきたように見えるだろう。
そりゃどこのカッパーフィールドだって話だが、とかく十分隙は突けた……文字通り、長い槍が”突き”となって、王の顔面へと一直線に向かっていく。
――――ジュルゥ!
当たれ――――心の中で何度もそう願った。
そしてその”願いは叶った”。狙いは完璧。隙も十分。槍の先端は、無事目標へと到達した。
…………
「お……ほ、本当に器用な奴だな……」
『防がれた……』
――――王と槍との間にある、薄っぺらい光のヘラに。
「……ちぇい!」
「――――あぎっ!」
そしてヘラの表面に突き刺さった槍は、王の軽い振りほどきでまた辺りに散らばる事になる。
第二手段、刺突――――結果はバツ。敗因は王の反応速度も、マッハレベルで速かった。
「……ん?」
「お、おお……!」
ここで一つ誤算が。
痺れた腕でも動かせるよう長くしたリーチが……逆に遠心力となって反動を倍増させた。
「じ、自爆った……」
『アホかお前わぁ!? ちょっとは真面目にやれよ!』
「小僧は至って真面目だ。機械の従者よ」
「水を用いた器用な技の数々……だが敗因は、それでも”子供の遊び”の域を出ておらん事だが」
(こ、このオヤジ!)
曲がりなりにも必死で考えた技の数々を、「子供の遊びと」断じられてはカチンとくる。
誰のせいであれやこれや出していると思っているんだコノヤロー。
せめて、大人の手品師と言え、このバカヤロウが。
「その子供の遊びに……これはあるか!?」
「むっ」
王と、少し距離を取った。足裏に薄く貼り付けた水で、トントンタンとバックステップを取る。
――――外壁を下るときに思いついた、水馬だ。
無論僕が見せたいのはこれじゃない。水馬を子供の遊びと言われても、特に否定はしない。似たようなおもちゃはたぶんあると思うから。
僕がお披露目したいのは、こっち――――
「これなら……どうだ!?」
「ほぉ……今度は水の”矢”か」
剣、槍とくれば今度は弓矢だ。近距離武器から順に追っているのだから打倒だろう?
だが……ただの弓矢と思うなよ? 僕にしかできない、オリジナルの創作弓矢を見せてやるよ。
「なんと……!」
――――コポポポポポ……
「まだまだ増えるぞ!」
水で象った弓矢。その弓の両先端に、また別の弓を繋げる。
するとちょうどWの字になるのだが、これをひたすら繋ぎ合わせていく。
一本、二本、四本、八本……さらには上に下に。左に右、加えてこれらを傾けた斜めの方向にも……
その形はもはや字と言うより博物館に飾ってそうな恐竜の骨だ。
こうしてあらゆる角度から狙えるよう、ただひたすらに弓と言う弓を三次元的に組み立てていく。
「ぐぅ……!」
「この本数をその棒キレで防ぎきれるかよ!」
ここで初めて王は苦い顔を見せる。限界まで組み立てきった弓矢の本数は、ざっと見積もって24本はある。
中途半端なのでせめて歯切れよく30は行きたかったのだが、これ以上は僕の頭が持たない。
が、ここまであれば十分だろう。どう見ても、そのボロいヘラで防ぎきれる数じゃない。
「…………こい!」
『避けへんのか!?』
「なめやがってオヤジ……」
この技の欠点は組み立てに時間がかかる事。
つまりガチャガチャやってる間に攻撃されれば、水だけに水泡に帰すのだが……
王のプライドなのか持論の教育論なのか、王はただひたすら、完成までじっと見つめているだけであった。
やはりこれも、真正面から叩き潰すつもりらしい……ふざけるな。いくらなんでもなめすぎだ。
「後悔するなよ、オヤジ!」
――――シュル…………シュル…………
「なんと……!」
この技には、少し自信があった。それは弓矢と言う武器の性質上、”回転”との相性がいいと判断したんだ。
例えるなら銃のライフリングに近い。渦状に発射された矢は、自身の回転により威力貫通精密さ、その他もろもろが格段に向上する。
多分、一発だけでも結構な威力のはずだ。避ければ壁を貫通して外に飛び出て行ってしまうかもしれない。
そんな回転矢を計24本全部アイツに……なめプかました罰だ。その体をフリーダイヤルで繋がる養蜂場にしてやるよ。
「食らえ――――」
積みあがっていく弓、発せられる無数の矢、そしてその一本当たりの貫通性能。
これらの点を考慮して、僕はこれをこう名付けた――――
(――――【水蜂】!)
ジュルゥ――――ジュルルルルル!
「ぬぅ……ぅッ!」
発した手ごたえでわかった。やはりこれは回転と相性がいい。近距離武器より遠距離武器。ハハ、なんとも僕らしい。
狙いはドンピシャ。渦巻く24本の矢が全て、寸分違わず王に向かって飛んでいく。
持ち前の豪速で全て叩き落とすか? 本気でやれば可能かもな、アンタなら。
ただ……一本でもしくってみろ。その隙を付いて、今度こそ僕は外へと飛び出るぞ。
「水玉……水蛇の準備だ」
「コポッ!」
ボッボッボッ――――ドジュルルルルルルゥッ!
「く……お……」
迫り来る無数の【水蜂】。王は今きっと、もっと装備を整えるべきだったと後悔しているだろう。
せめて盾。あるいはそれに準ずる防具類があればなんとかなったのかもしれない。
そうやっていつまでも教師目線でいるからそんな目に合うんだ。卒業した生徒が、プロの格闘家になったりとか普通にあるだろ?
(当たる――――!)
やはり、どう考えても棒キレ一本でどうこうなる本数じゃない。一本か二本は絶対ミスる。
僕は膝をぎゅっと落とし、さっき覚えたロケットスタートを再び発動すべく静かに待つ。
シグナルは矢。切られたフラッグは、矢に突き抜かれた王のマント……
「……スゥ」
王は、諦めたように腕をダラリと伸ばし、そして大きくため息をついた。
諦めた……? いやまさかそんなはずはない。
じゃあさっき言った「真正面から受ける」の言葉を、本当にそのままの意味で実行しようとしているのか……?
だとしたらバカだ。全部突き刺されば本気で危ないぞ? 実力の差をわからせたいのか知らんが、こっちはそれでむしろ好都合。
幸いにも自分から全弾受けようとしてくれているのだから、こんなに楽な事なぞない。
一瞬だけ、僕がここを通過できるまで……少しばかり足を止めてくれれば、それでいいんだよ。
(行けッ 行けッ 行けッ――――!)
「…………ゥゥゥウウウ」
――――そして、矢の先が刺突への臨界点を超えた。
「 喝 ッ ! 」
――――王は突如、咆哮を発した。
今まで聞いた中の最大音量「バッカモーン!」を遥かに超えた……
大気を、地を、この場における全てを余す事無く震わす大震動を。
パシャッ――――パシャッ――――パシャッ…………
(嘘……だろ……?)
スタートダッシュを切るべく構えたクラウチングの構え。頭を卸腰を上げた体制……のまま、動けなかった。
それは、ただ目の前の光景に唖然としていたからだ。
王は、予想のさらに上を行った。回転を交えた24本の矢。それらを全て、叩くでもなく、その身に浴びるでもなく……
「フゥ……少し、喉が痛む」
――――ただの気合いで、掻き消した。
「……ゲホ、発想は見事なものだ。だが惜しい。今一歩届かなかったな」
「一本の威力は申し分ないだろう。しかし射角が狭すぎた」
「いくらの矢が降り注ごうと、全てバカ正直に前面から来られては……対処は容易いわ」
王は少しかすれた声でダメ出しを始めた。
いわく折角数を出せるのだから、もっと多角的に発射するべきだったと。
もっと前から、後ろから、上から下からと。360°全面を使って初めて生きる技だと王は語る。
「……ん? 聞いておるのか?」
「――――」
しかしそのありがたい教授は、僕に届くことはなかった。
理由はさっきの咆哮が――――
「……しまった、耳を壊してしまったか」
口を動かしているのは視認できるが、肝心の声が聞こえない。
そしてその代わり、一つだけハッキリと聞こえた――――心が折れる音だ。
「むう……後で救護隊を呼んで治させよう」
「まぁ、ワガママを言った罰だ。しばらくそのままでおるがよい」
――――ピチャ
「……む?」
ポタリ、ポタリ。王の御身に水が数滴垂れ落ちた。
やがてはそれが連続性を帯び、ザァーっと音を立てつつ王の召し物を湿らせた。
突如降ってきた水に、王は思わず上を見上げた。
ここは屋内のはずなのに何故こんなものがと、少しばかりの疑問を感じたのだ。
「雨……?」
雨と呼ぶには少し浅い水の群れが降り注ぎ、ゆっくりと肌を伝う。
雨の正体は、先ほど掻き消した水の矢が遅れて降り注いだ物によると、気が付いた。
そして不意の雨の正体が割れ、見上げた視線を再び前に戻した時。
――――少年は、いなかった。
「逃げられた!? またか……!」
「ぐ……おのれ、やはり大魔女め。変な事ばかり覚えさせおってからに!」
王は少し、苛立ちを覚えた。
この何度も同じ事を繰り返す小僧っ子が、かつて自分を別の意味で苦しめ続けた女児とダブったのだ。
降り注ぐ雨の中に消えた少年。諦めたとは思えない。もし再び立ち向かってくることがあれば……
王の頭の中に、考えたくない”最悪の事態”が少し過った。
――――
……
「あ……う……」
『水玉、もうええぞ』
ピュッ。耳の中が晴れやかな解放感に包まれた。
両耳の穴から飛び出た水は出たと同時に一つに戻り、そしてズムズムと元の大きさへと変化していった。
身を守る為とは言えやはり気持ち悪い物だ。水が、耳の中に溜まっている感覚は。
「……あふっ! あ~気持ち悪かったぁ……」
『あーあーあー、聞こえるかー?』
「ああ、無事だ。さっきまでずっとトントンしたい衝動に駆られたよ」
『文句言うな。水玉のおかげでまだこうやって話せるねんぞ』
ゆるい見た目とは裏腹に、こいつはやはり精霊と呼ばれるだけはある。この戦いが始まってから幾度、こいつのファインプレーに助けられたか。
あのバカでかすぎる声をまともに聞けば、きっと耳から出るのは水ではなく血であったかもしれない。
こいつがとっさに耳穴に入ってくれなければ……そう考えるとちょっと、ゾッとした。
「サンキュー水玉。マジ助かったわ」
「コポポッ!」
『わいも活躍したろーが。褒めろや』
「んな事よりもさ」
『んな事て……』
――――サァァァァァァ…………
「この雨、何?」
『さっきの矢の残り水や。あのおっさんが全部吹き飛ばしたからな』
「そうだ、あのオヤジ……まさかあんな手段があったとは」
あの解決法はマジに予想外だった。
最悪、矢の全てをギリで叩き落とされるかどうかくらいだと思っていたのに。
喝――――ただその一言で、全てを丸ごと掻き消してしまうとは……やはりあのオヤジ、天まで轟く雷オヤジだ。
『しっ! またや!』
「……んぐっ!」
再び柱の影に隠れた僕は、無駄な音を立てぬよう口を塞ぎ、ゆっくりと柱の影からコッソリ前を覗いた。
サァサァと飛び散る雨のせいでやや視界が悪いが、その中で王が一歩一歩確実に近づいているのが見える。
コツ、コツ、コツ……軽いホラー映画のような静かなる接近。そんな王の軌道は、まるで”迷いがない”。
完全に僕へ向けて、探すそぶりすらせずに一直線……
まただ。なんであのオヤジは、僕の位置がああも簡単にわかるんだ?
『なんか……そう言う魔法ちゃうん?』
「昨日オーマが言ってたレーダー魔法かよ」
『ちゃうかなぁ……知らんけど』
王のバカげた身体スペックも去ることながら、不可解なのはあの異常な”索敵能力”にある。
さっきもこうして柱の影に隠れていた。しかし、休む間もなく一瞬で見つかってしまった。
スマホの言う通りそういう魔法があるのだろう。それはわかる。わかるのだが――――
「……やっぱおかしいよ! そんな魔法あるなら、なんで兵士は誰も使わなかったんだ!?」
『しっ声でかいねん……! でもそれは、上位の魔法やからちゃうん?』
「いやでも……」
思えばおかしな所はいくつもあった。
僕が初めてここへ来た時、この正面廊下にいきなり王が立ちはだかっていたんだ。
オーマだってびっくりしていた……なんで王が直々に!? ってな。
――――コツ、コツ、コツ
『うう……やっぱ絶対見つかっとる……』
「……」
王とオーマの追いかけっこはもう一つ見た。昨晩オーマが部屋に潜り込んできた時の出来事だ。
あの時オーマは兵士に追われていた。脱走ついでに近衛兵のマドーワを一機パクったとかなんかで……
でも、兵士は見つけられなかった。
夜中にあれだけドタドタやって見つけられなかったオーマを、王だけが正確に、しかも何故か”ピンポイント”で僕の部屋だと割り出した。
その針を通すような正確さは今もって発揮されている。コツコツコツコツ迷いなく近づいてきやがって。
間違いない、王は”なんらかの手段”で僕の位置を割り出してる――――
――――コツ、コツ、コツ、コツ、コツ…………
『おいっ、ぼけっとしてんとなんとかせえや……!』
「コポポ……」
「……」
ちょっとうるさい、黙れ。今考え事をしているんだよ。
レーダー……あれは確か電波の反射を利用して座標を割出すシロモノだったはず。
近年の技術は目覚ましいとはいえ、やはりまだまだ目視には敵わない。何らかの条件で簡単に狂ってしまう繊細な物のはずだ。
魔法で精度がなんとかなるなら、そんな便利な物みんな普段から使っているはずなんだ。
使えない理由があるとすれば、上位魔法が故に簡単に使えないと言う点が挙げられる。
でも、それを言うなら魔女と呼ばれたオーマはなぜ使わなかった? あんな大脱走をやるハメになるまで、なんで出し惜しみしてたんだ?
(だからよ……その日の為に……プッ、今魔力は……無駄に減らさないようになるべく”取ってある”んだって……)
仮に反射魔法が上位魔法だったとして、それならそれで腑に落ちない点がいくつも出てくる。
オーマのケチくささは僕もよーく知ってる。本気で追い込まれるまで魔法は一切使わない、マジモンの節約家っぷりだ。
なのに、昨晩普通に反射魔法を使用して逃げてきたと……それはオーマ本人が言っていた。それも大して悔しがる様子もなく、軽い感じでサラっと。
上位魔法をやむなく使ってしまったなら、あんな反応はしない……もっと悔しがる素振りがあってもいいはずだ。
……これらの点を考慮して、反射魔法は”上位魔法ではない”と結論付けることができる。
誰にでも使える簡単な魔法。そして、簡単であるがゆえに――――魔法の”精度はそれほどよくはない”と。
――――コツ、コツ、コツ、コツ、コツ…………!
『ああ……くるくるくる! 来るて! お前そろそろええ加減に…………んぁ?』
「コポッ! ゴポポッ! ゴポッ!」
『なんやねん急に……何? 何て?』
『……集中してるから邪魔してやんな? いやいや、言うてる場合ちゃうやろ!?』
「………………」
この説を裏付けるように、思い出すのは昨日のメールだ。オーマに送り付けられた誤爆メールのせいで、一定時間眠気が吹き飛ぶハメになった。
上位の魔法であるならばそんな下らないミス犯すはずない。反射魔法は下位魔法――――これは確定だ。
この世界の住人なら誰でも魔法は使えると、そこは昨日ここの王子から直々に教わった。
「だったと…………したら…………」
じゃあ王はどうやって僕の位置を見つけている? 昨日今日あったばかりの、何も知らないはずのこの僕の位置を。
癖や好みを分かり合えるほど関係は深くない。オーマみたいに、昔ながらの関係でもなんでもないのに。
「王と……会った時……?」
(……その少年が例の”召喚者”か)
( ヴ ァ ッ ッ カ モ ン が ぁ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ッ ッ ! !)
(お前はッ! 帰って来るなり早々……! この大バカ者がぁッッ!!)
( ヴ ァ ッ ッ カ モ ン が ぁ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ッ ッ ! !)
(我ら同じ大地に生きる物、その同志が何故に争い殺しあわねばならぬのか)
( ヴ ァ ッ ッ カ モ ン が ぁ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ッ ッ ! !)
……少ない対面を元に必死に思い起こそうとするも、思い出すのは怒鳴り声ばかりだ。
それは思い出すまでもなく一度聞いたら忘れられないんだよ。怒鳴り声が耳にこびりついているのも、あの魔女のせいだ。
オーマめ、記憶の中まで邪魔をするか……どうやら僕の記憶中に手がかりはなさそうだ。
だとしたら、一体どうやって………………
「………………え?」
『どないしたんや?』
「いや……なんていうか……え? え?」
「コポ?」
「まさか…………”そういう事”なの?」
――――脳裏に突如、一瞬の閃光が走った。
つづく




