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第30話 先生も大変だ

あけましておめでとうございます。

のんびり不定期に連載続けますので、今年もよろしくお願いします。

 翔吾くんと連れ立って小学校へ向かう。小学校に集合して市バスで試合のある小学校へ部の全員で行くのだそうだ。ちなみに目的地の小学校はわたしたちの家からなら徒歩圏内。直接向かったほうが早いんだけど小学生を現地集合ってわけにはいかないんだろうねぇ。

 

 今日の試合は1月から行われる市のサッカー大会の予選にあたる試合で、12月まで毎週日曜日に区内の小学校3校ずつ集まって、総当たりで2試合ずつ行われるのだそうだ。


 毎週日曜に試合って顧問の先生も大変だなぁ。

 そりゃ小学校の先生が過重労働でなり手が不足するわけだ。これを休日出勤手当もなくやってるんだからなぁ。

 ちなみにこの頃の小学校は土曜も午前中だけ授業がある。当然サッカー部は午後からも練習してる。先生っていつ休んでるのさ?


 わたしたちの通う小学校に着くと、サッカー部の部員たちはチラホラと。顧問の榊原先生は当然のように来ている。


「「先生、おはようございます」」

 翔吾くんと声を合わせてあいさつする。


「おはよう……あれ? 大島はどうしているの?」

「応援です!」

「応援かぁ……どうしようかな、予選は部員以外はダメなんだよな」

「え、ダメなの?」

「藤堂には言ったと思うんだけどな」

「家族を連れてきてはダメって聞いたけど、大島さんは家族じゃないし……」

「オレの言い方が悪かったか。家族はもちろん、他も部員以外はダメって意味だったんだが」

「そうだったんですか……」


 張り切ってお弁当とか用意したんだけどダメなのか。しょんぼりだよ……


「んー、大島って部活やってたっけ?」

「え、水泳部ですよ」

「さすがにそれは知ってる。

 わが校のエースだからな。

 でも、水泳部は夏だけだろ?

 今はなにかやってるのか?」


 そうなのだ。

 水泳部で5年生ながら、学校代表で市の大会で優勝して朝礼でも表彰されちゃったから、それなりに有名だったりする。


「今はなにもやってないけど」

「だったら、サッカー部に入れば解決だな。まぁとりあえずマネージャーとして、どうだ?」

「でも、兼部とか……」

「うちのサッカー部は兼部のやつらばかりだぞ。ほとんどが野球部と兼部だし、たしか水泳部と兼部もいたはずだ」

「はいはい、オレオレ」


 そう言って手を上げたのは見知った顔。水泳部の6年生の山下先輩だ。


「サッカー部は冬だけだからな、他の運動部からの寄せ集めだらけだ」


 グラウンドの都合で野球部は夏だけ、サッカー部は冬だけってことになってるらしい。女子の運動部はバレー部とか通年で体育館占有してるが、男子は半年ごとに運動場をシェアしてるのか。どういう経緯でそうなったのか知りたいものだな。


「わかりました。そういうことでお願いします」


 いきなりサッカー部に入部することになってしまったけど、これで丸く収まるならまったく問題なし。忙しい先生を困らせてもしかたないしね。

 翔吾くんといっしょにいられる時間が増えて万々歳だね。

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