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第11話 妖精界の女王(1)

「いいかしら、リコスちゃん。妖精界の女王になるためには条件が2つあるの」


 なに言ってんだ、このおばはん。

 おれは咄嗟にそう思った。


 おれは女王なんかに興味はない。

 人間になりたいんだ。


「それがおれと何の関係があるんですか」


「大ありよ。なんといっても女王の特典には、人間になれることも含まれるんですもの」


「なっ」


「正直、わたしはつがいの人間を失って、そろそろ限界がきていたの。いわゆる代替わりってやつなのよ。そこで人間になりたいと日頃からたゆまぬ努力を積み重ねてきたリコスちゃんに頼みたかったの」


「おれには王なんて荷が重すぎます!」


「女王だっていっているでしょう? リコスちゃんは男の子じゃない。だから普通なら女王にはなれないのよ」


 何が言いたいのか……。

 おれは身構えて続きを待った。


 女王が口を開く。

 重い口調だった。


「妖精の女王候補が男性だった場合、人間界からつがいとなる女性を見つけ出して妖精役を引き受ける了承を得なければならない。わたしは……人間だった頃に先代からそう聞かされて、妖精になったわ」


「まさか!?」


「わたしは人間だったのよ。過去形だけれど。時が進むにつれて妖精化も進んだけれど、つがいの妖精が消えて……いいえ、人間として死んでしまえばわたしは妖精としての力を保てないの。だからリコスちゃん、決めてちょうだい。あなたは女王のつがいとして人間界に降りて、そして人間として暮らすかどうかを」


「妖精界には戻れるんですか?」


 切実な問題だった。

 妖精には家族はいなくとも長年の間柄である仲間なら大勢いるのだ。

 もし人間となって寿命が発生し、100年前後しか生きられなくなったら、なおさらだ。


「女王のいない間……つまり女王の仕事がなく、不在のときだけは元の妖精として戻ってくることができるけれど。経験からして人間換算で10年に1度あるかないかってところよ」


「そうですか……」


「どうかしら? 妖精界を救うために、あなたの望む形とは違うけれど人間になってくれないかしら?」


「おれは」

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