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勇者と王女のワールドエンド  作者: 小来栖 千秋
第四章 エレナ王国、大陸動乱後編
69/83

(3)

 

 エレナ王国に広がる平原。

 それほど起伏(きふく)が激しくない土地を、恐ろしいほどの速度で走る集団がいた。

 彼らはムブルストで現政権であるシンクレア王家に反発を示した貴族、軍人、浪人たちだ。マルコラス伯爵(はくしゃく)が、野心を持って集めた集団である。生温い政策をとるエグバートに対して、不信感を抱いているマルコラスは長い月日をかけて、軍団と呼べるまでに多くの者を集めたのだ。

「いけーッ!」

「クルスを落とせ――!!」

 叫び声は怒号となって、周囲に響く。公道を駆け抜ける地響きや怒号によって、周囲の森から小鳥たちが飛び散っていた。

 それらを気にも留めず、軍団とも呼べる集団は足を速める。

 目的の王都は、もう目の前まで迫っていた。



 同時刻。

 ドンゴア帝国とノーラン公国の国境沿いに、一人の男がいた。黒髪黒目が際立つ男の風貌はどことなく工藤大地に似ている。その男は真夏だというのに、長袖の黒いコートを着ていた。それは男の――風貌(ふうぼう)よりも――最大の特徴である。

「……近いな」

 小さく呟く。

「エレナで不穏な動き……。王女たちも動いているか」

 パンゲアで今まさに起こっていることを肌で敏感に感じとる。それを受けて、男は行き先を微妙に変えた。

「…………」

(目的は勇者ただ一人。ほかの者は不必要。エレナに入る前に捉える)

 男は再び動き出す。

 その首筋に『第二』という刺青(いれずみ)が見えた。



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