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教科『異世界』の時間だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
冒険者の道

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第八話、依頼“碁盤町近辺の大量発生の制圧”  

「そちは今暇かの」


 ギルドに行けば、シラアイが俺が来るのを待っていたようだ。服を引っ張られる感触があり、振り向けばおかっぱの子供が立っている。


「どうかしたのー?」


「依頼を受けたい。数日掛かる。一緒に来てくれんかの」


「いいよー」


 どうやらシラアイに懐かれたらしい。(都合の)いい人だと思われている可能性もある。なんであれ、俺を頼ってくれるのには悪い気はしない。


 ……ただ、数日空けるとなると、またジャノメを一人にしてしまうな。ジャノメはまだ自分から交友関係を広げようとせず、そのくせ一人で狩りに行くのは怖いようで、俺が放っておくと俺が帰ってくるまで待っていることになるだろう。まぁだからと言って、俺が甘やかすばかりなのも良くない気はしているのだが―


「ねぇ、あいつも連れて行っていい? この前の、女の子」


 シラアイの目が若干曇る。


「わらわの邪魔をしそうで嫌じゃ」


「存分にしてやるが?」


 と、気が付けば、俺の背中からジャノメが顔を見せていた。


「こいつはわしのじゃ。まずわしの許可を取れ」


 シラアイが、渋い顔で現れたジャノメを見つめている。


「くれ」

「いや」



「危険度★2の依頼? わしはいいが、キョウゲツは大丈夫なのか?」


 ギルドの交流スペース。シラアイが持ってきた依頼書をテーブルに置いて、三人でそれを眺めている。


「おいおい、その言い方だとまるで、ジャノメは危険度★2の依頼でも大丈夫だけど俺じゃ厳しいみたいな言い方じゃないか」


「そう言ってるんだが」


「構わん。わらわがすべて倒せばよい」


 冷めた声が俺たちの会話に割って入る。


「こう言っとるが、おぬし本気で付いてくるだけのつもりか? わしはおぬしを後ろでただ守られているようなひ弱な男に育てた覚えはないぞ」


 ジャノメがそんなことを言ってくる。俺も育てられた覚えないけど。


「んー……」


「“んー”とはなんじゃ。おぬしの話じゃぞ。まじめに考えよ」


 先日、部屋を訪れたミナモさんに不思議なものを貰った。それは緑色の古風なお守り。握って願えば武器になるという代物。


 実際に握って、俺の手元に現れたのは玩具のチャンバラの剣のような白い棒。よく分からない武器だった。彼女が言うには、武器は戦闘経験値を糧に強くなっていくらしい。せっかく渡しに来てくれたので、まぁ強い武器なのだろうが。今のところ実力も性能も未知数。


「まぁ、俺でも戦える相手なら任せてもらえればと思うよ。ただ、あんまり敵が強いと……そうだね。俺は、足を引っ張るだけかも」


「弱気じゃの、おぬし」


 早く、強くなるにはどうすればいいか、考えている。強い相手にどんどん挑戦していくのがその近道だ。倒せる相手を倒しているだけじゃ成長は遅い、俺はどんどん挑戦していかなければならない。


 だが俺の体は人間で、体は脆いし怪我もする。勇者見習いの時には挑戦の失敗から保護する手段が豊富に用意されていた。だが今俺は一人放り出されていて、失敗のリスクもそのカバーも自分で考えなければいけない。授業で用意されていた手厚いカバーを現時点で俺個人で揃えるのは難しい。


 じゃあどうすればいいか。そこで考えた。隣に、俺よりも強い人間が居れば、俺は多少自分よりも強い敵にも挑戦できるし、勝てなかった場合の後処理もその人に任せられる。強くなるのには実力的な引導役が近くに居ることが重要だ。


 最近知り合った顔を思い浮かべる。ジャノメは強力な魔法を使うが、パーティー構成的に同程度の実力の前衛を必要とする。マコモやシスイたちは仕事の内容上、自分からモンスターを探して戦うタイプじゃない。だが、シラアイは、肉体も強靭で力も強い、まだ見てないが魔法も使えるという。俺が今から強くなるのに、一緒に居て欲しい人材だった。


「わらわは構わん。もともと足手まといの荷物持ちで連れて行く気じゃ」


「ほら、先生もこう言ってくれてる。分かったか? 金魚の糞」


「左右に引きちぎるぞ」

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