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教科『異世界』の時間だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
ー30

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休み時間、反省

 俺は頭を悩ませていた。


「モモモの武器の容量は、まだいっぱいじゃないんだよな?」


「そうだけど」


 空いた教室の中、机の上に並べられた二つの武器。俺の“メタルソード”と、彼女の“蛮族の弓”。俺は、俺の武器に大量の鉱石素材を与え、それは一時的にお腹一杯になった。だが、俺の剣は劇的に強くなった、という訳でもなく。


「俺の剣はもういっぱいなんだよ」


「そうなんだ。よく頑張ったね。えらいね」


「いやそうじゃなくて……容量がいっぱいな割に、まだそこまで素材をあげてないお前の武器と比べて強くないというか、なんなら弱い……」


 成長武器は、素材を与えるほど成長し、基本の性能が上がっていく。基本の性能が上がれば、たとえ同じようにモンスターを切っても、三発で倒せていたのが二発で倒せるようになったりと、素の攻撃性能が上がっていくのだ。


 俺はモモモに協力してもらい、育てた武器の性能を見ていた訳だが。


「武器種の違いじゃない?」


「武器種? じゃあ、近接の俺の方が火力が高くないとおかしくない?」


「素材の消化効率の違い、でしょうね」


 と、先生が教室の中に入ってきた。そのまま俺たちのもとへと歩いてくる。


「簡単に言うと、モンスター素材は消化が軽く、キョウゲツさんがたくさん与えていた鉄鉱石は消化が重い。同じようなレア度、同じような栄養度の素材でも、鉄鉱石を与えていたあなたの剣の方が早くお腹一杯になったのですよ。そして、モモさんは消化のいい質のいい餌を食べていた。違いはそこですね」


 先生は、机の上に置かれた俺たちの武器を眺めている。


「しかしキョウゲツさん。頑張りましたね。もう武器の許容量いっぱいまで素材を与えたのですか」


「……周囲の人に恵まれて」


「まぁどちらにしろ、また一か月経てばまた空っぽになっていると思いますよ。それまでは、次与える素材を考えておくなどするといいでしょう」


 いっぱいになったらもう素材を与えられない、なら……、


「武器の容量は……いっぱいにしない方がいいんですか?」


「そう……ですね。素材が余るほど手に入っているのなら、出来るだけ消化の軽いものから与えた方がいいでしょうね」


「消化の軽い、とは?」


「同じ場所で手に入る素材なら、その辺の鉱石や植物素材よりも、モンスターが落とす素材の方が、少ない消化量で多くの経験値を持っています。同系統の素材なら、例えば鉄鉱石よりもよりレア度の高い石の方が、同じ容量で沢山の経験値を持っています。よって、武器が食べられないほどの素材が今得られているのなら、得られる素材の量を落とし、より質の高い素材を集めて与えると、投与容量に縛られず、効率的に強化を進めていけますね」


 素材の質を上げる……か。


「じゃあ、俺が、この剣の派生のままもっと強くしたいのなら、よりレア度の高い鉱石に手を伸ばすべき、ということですか」


「そうなりますね。あと、鉄鉱石なら与える前に純鉄にして質を上げるとか……鉱石系の素材の中でも、その辺から採れる石ではなく、モンスターから落ちる石なんかを狙う、とか」


 純鉄にする……それは鉄鉱石を持ち帰るという手間が発生するので、大量には用意ができない……いや?


「先生、前に見せてくれたあの精錬用のスライムって、外に持ち運びとか出来ないんですか?」


「難しいですね……一応、生き物なので。安全な場所の範囲でなら、持ち運びは出来るでしょうけど、モンスターとかの居る外とかまでは、ちょっと」


 うーん……。


「先生、四次元ポケット的な道具はないんですか?」


「ありますよ。空間魔法を応用した魔道具の一種ですね」


 あるんだ! ……いや、でも。


「……それって、俺でも手に入ります?」


 俺は恐る恐る先生に聞くと、


「市場には流通していませんが、私なら製作は可能ですよ。ただ製作には相応のコストが必要で……そのコストを、あなたが持ってきていただければ、作りはしますが……」


「ほんとですか!?」


 さすが異世界! さすいせ!


「はい。ですが……話の流れ的に、キョウゲツさんは、鉱石の運搬を楽にする方法を考えていらっしゃいますか?」


「あ、はい! そうですね! その通りです!」


「一応言っておきますが、その魔道具は見た目より多い容量を持つだけで、持ち運ぶ際の重さは変わりません。たくさんの鉱石をそれに入れて持ち帰ることを考えるなら、重いものは重いままです」


「あぁ……うん……」


 じゃあ要らないかな……。まぁ……こつこつ鉄鉱石を持ち帰って純鉄を作るか、レアな鉱石系素材を落とすモンスターを探しに行くか……かな、次の目標は。


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