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教科『異世界』の時間だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
ー30

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授業:スキル石*

「スキルについては以前お話ししましたね。“スキル”とは、少量の魔力を用いて使用する、洗練された定型的な攻撃や技術のことです」


 今日は座学。いつも通り黒板の前には先生が立ち、教室内にはまばらに椅子や机が置かれていて、俺たちが大人しくそこに座っている。


「本来、スキルの習得には、それ相応の知識や経験、技術や年月などが必要になってきますが、そんな習得が面倒なスキルを簡単に使えるようになる手段があります。それがこの“スキル石”」


 先生は、教卓の上に、小さな丸い、真珠玉のようなものを取り出した。


「これは“スキル石”。これを用いれば、中に登録されたスキルを、練習もなしに発動することが出来るようになります。手で握って使うことも出来ますが、これらは通常、武器の中に込めて使います」


 スキルが使えるようになるスキル石。この世にはいろいろと便利なものが存在するな。


「武器には、それぞれ“スキル石”を込められる、“スキルスロット”、“スキル穴”などと呼ばれるものが存在し、この穴の数は武器の質に依存します。皆さんの成長武器は、最初の段階ではこの“スキル穴”はゼロですが、成長の度合いによって一つや二つに増えていきます。おそらく皆さんの武器もそろそろ一つ目の穴が空いてくる頃合いでしょうね」


 なるほど、それでこの段階での紹介ね。


「“スキル石”は、モンスターの落とすドロップ品を通じて得ることが出来、また、一般市場にも出回っています。“スキル石”には、まだスキルの登録されていない“無垢”と呼ばれるものと、“登録済み”のものがあり、それぞれ同様にモンスタードロップから得ることが出来ます。“無垢”のスキル石の使い方は簡単で、石を、スキルを所持する相手に押し付けることでスキルの登録が可能です」


 と、先生は教卓の下から箱を取り出し、教卓の上に置いた。中からごそごそと音がする。先生が箱のふたを開ければ、そこから顔を出したのは……猫?


「この子は“カベネコ”と呼ばれるモンスターの一種です。この“カベネコ”たちは、そのまま“カベネコ”と呼ばれるスキルを所有しており、“無垢”の“スキル石”を用いて彼らのスキルを習得することが可能です」


 と、先生が茶色い猫に、ビー玉くらいの大きさの真珠玉を押し付けている。ネコは若干いやそうな顔をしながらその背中にスキル石を押し付けられるのを許している。と、スキル石が段々茶色に染まっていく。


「一つの相手から取れるスキルは、一つの場面において一つです。相手が複数のスキルを覚えている場合、その相手が最も得意とするスキルを得られます。スキルを取る相手が、スキルを何も覚えていない相手、例えばあなたたちからも、スキルを取ることができる場合があり、その場合、取れるスキルはその相手の得意な能力により左右されるようです。有用なスキルを抽出できる人間は、お金を出してまでスキル石の抽出の依頼をされることがあり、スキル石の抽出だけで一財を築く人間も存在します」


 ネコはおそらく無料でスキルを取られている。と、スキルの抽出が終わったのか、先生が石をネコから離した、その途端、ネコは箱を飛び出し壁に着地、そのまま壁を走っていく。変な景色。ネコは、教室の右上の壁あたりで落ち着いた。ネコは、まるで重力が横になっているように壁に張り付いて香箱座りで座っている。変なネコ。


 先生は、練習用の木刀のようなものをあらたに取り出し、そこの束に茶色い真珠玉を押し付けた。真珠玉はどこかに消える。


「ここに、“カベネコ”のスキル石を込めた剣を用意しました。“カベネコ”のスキルは、今このネコがやっているように、自身に作用する重力の方向をコントロールし、壁を走れるようになります。今日は実際にこの剣を使ってスキルを体験してみましょう」


 スキル石……スキル石? そういや、この前の黒いウサギが落とした黒い真珠玉と見た目が似てるな。


≪ひとくちモンスターずかん≫


壁猫かべねこ

 壁を歩くことのできる猫。たまに、二階に置かれた鉢植えの側面に居座り、鉢植えとともに落下する。猫は知らない振り。

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