表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
-40

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

282/525

第四十三話、海の畔

「ごしゅじんさま。なんだか、あちらからすごい嫌な気配がします」


 ヒメトラが、森の彼方を見つめてそう呟いている。そっちには……そうだな。そっちの方には丁度、魔神の封印された建造物がある。


「心配するな。そこに用はないよ。近くにあるだけだ」


「……そうですか」


 ヒメトラは、向こうの空をじーっと見つめ続けている。



 道は森を抜けて海に出た。


 潮の香りがして、潮騒の音が戻ってくる。視界は広く開けており、目の前には大きな海があった。


 道は、緩く内側に湾曲した砂浜に沿って、右手の方へと続いている。反対の左には、突き出た砂の浜、砂嘴? 砂州? が見えており、その先端が指す方向には、点々と大小の島が連なって見えている。


 “Ω”のような形の、大きな湾に出たようだ。対岸は遠く霞んでいて見えづらい。


「道は、右手に続いてるけど……」


 俺たちは道の上、隣には銀髪の少女が立っていて、また背後の荷車にはいろいろ生き物が乗っている。


「左手の突き出た砂州と群島は、潮の満ち引きによって一直線に繋がるんだ。どうせ進むなら、海に四方を囲まれた、左ルートの方が面白いかもね」


 島は湾の入り口を塞ぐように点々と並んでいるが、一つ一つはそこそこ大きく、木々や緑もそこに生えている。


「海水に囲まれた狭い陸地に自ら赴くなんて正気の沙汰じゃないな。海に落ちたらどうするんだ」


 と、荷車の中に居座っている植物少女から声が返る。


「そうだね。じゃあミドリはここで下ろしていくから、それぞれルートを進んで向こう岸で合流しようね」


「出来るだけ急いで行くつもりだが、合流は何年後を予定している?」


 ミドリに潮風除けのシートを被せて、俺たちは左手の飛び出た砂浜の先を目指す。ここら辺は海流が特殊であり、潮の満ち引きは頻繁に切り替わる。島を渡れるのは一日に一回だけじゃない。


「本当に装備はそれだけでいいか? ミドリ」


「潮風に当たるのが“嫌い”なだけだ。別に、海水に入れたからって萎びて死ぬわけじゃない」


 荷車を、飛び出た浜の先の方まで持ってきた。今は道は青い海の中に沈んでいて見えない。


「先生、海よ! 大きいわ! 触ってきていい!?」


「あれ、ツチは海を見るのは初めて?」


「触れる海は初めて!」


「まだ“道”が繋がってないから、それまで自由にしてていいよ。渡るときは呼ぶからね」


「分かった!」


 短い茶髪の少女は、砂浜の上に足跡を付けてペタペタと波の方へと走っていく。


「やれやれ。ツチはこどもですね」


 と、ネコが幌の屋根の上から降りて、荷物の中に頭を突っ込んでごそごそと何かを探している。


「何探してんだ?」


「水着」



 そのうち潮が引いて、砂州から群島に伸びていくか細い砂の道が現れた。


「これは生きた心地がしないなー」


「あまり生きた心地がしないやつのトーンじゃないな」


 荷車の中の植物少女は、きらきらと輝く水面を、目を細めて見ている。内情は分からないが、俺の目には景色を楽しんでいるように見える。


 か細い砂の道の上、荷車を先導して俺たちは歩いていく。荷車の重い車輪は、多少砂の中に埋もれて沈んでいるが、何かしらの張力が働いて、荷車は砂の悪路を問題なく進んでいる。砂の上には、足跡が二つと車輪の跡が残っていくが、波が満ちればやがて消えるのだろう。


「先生、クラゲが落ちてる」

「さわっちゃだめだよー」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ