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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
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第十四話、変わり目

 山の中に、澄んだ清水の流れがあった。透明な水は、その水底からぽこぽこと湧き出しているようであり、山の中にプールを作って、それは端から崩れてよそへと流れていく。


「先生は一緒に入らないのか? 冷たくて気持ちが良いぞ」


「俺は見てるだけでいいよー」


 先日のタコと少年と戦った時のダメージが、まだ軽く残っており、旅の進行はツバキに任せ、俺はここ数日幌車の上でゆっくりさせて貰っている。


 道の上を進んで行くと、やがて綺麗な清流を見つけた。上がればすぐ水の湧いている場所があり、確かめると水は飲用にも適している。俺たちは道の脇に幌車を止め、生活用水を確保した後、彼女たちは服を着替えて、木陰のプールで遊び始めた。


 どうやら先の港の町で水着を買っていたらしい、ツバキは黒のビキニを、ヒメトラは紺色の縞々の水着を着ており、下にはショートパンツを履いている。ツバキの白い奥の肌と黒い水着とのコントラストが目に眩しい。ツバキは、ちょっと肌を見せすぎじゃないだろうか。まぁここでは誰も見てないけど。


 ツバキは腰の上まで水に浸かり、歩き回って、たまに水中に潜ったりと、水の感覚を楽しんでいるようだった。灰色のさらさらとした髪は、今はお団子にしてまとめられ、濡れている。ヒメトラはばしゃばしゃと水面を乱して遊んでいる。



 やがて、彼女たちは泉の脇で火を起こし始めた。どうやらヒメトラは魚を獲っていたらしい。さすが野生出身。焚火の脇に枝が刺さり、枝には串刺しの川魚が付いている。


「ツバキ、まだ着替えないなら、体を冷やさないように上着掛けときなー」


 俺が上着を差し出すと、銀髪の少女はおずおずとそれを羽織る。


「ごしゅじんさま! ヒメトラの分は! 無いんですか!」


「お前いっつも風邪引きそうな格好してんじゃん。今だけ要る?」


「要りません!」


 やがて魚が焼けたらしい。串に刺さったほくほくの焼き魚が、一つ俺にも回ってきた。俺はぼーっと岩に腰を掛けながら、はふはふと、身をほぐして食べていく。塩味の効いた、焼きたての魚の身。口を付ければ細かく繊維がほぐれていく。美味しい。ヒメトラも料理が上手くなったなぁ。見れば、二人は食べている時は静かに、真剣に焼き魚を味わっているようだった。


 風が吹く。頭上の枝葉が揺れて、木漏れ日が地面を揺れ動いている。



 山地を抜けると、そこからは乾いた大地が延々と広がっている。赤茶けた荒野に、生えた緑は少なく、大地の起伏も少なく、今までとは一転、ずいぶん見晴らしの良い地形になる。


 道は荒野の上をまっすぐ伸びていって、景色の先に、ずいぶん小さい白い塊が見える。まぁ遠くまで見渡せて、遠いから小さく見えてはいるが、あれは大きな都市の一端である。



「大きな城壁ですね。まるで山みたい」


 銀髪の少女が、目の前にそびえたつ白い山のような城門を見て、そう感想を漏らした。


 城塞都市カストラル。一時は戦争時の最前線であり、魔法建築を用いて無法に巨大に作られた白い石造の城の関門。カストラルを囲む入り口にそれがある。


 二つの赤い山の狭間をふさいで埋めるように、その白い城塞は築かれている。現在は、人類の生息域も随分広がり、またカストラルも栄えて、関所の奥へ奥へと人の街は広がっていった。今では人界の中でも大きな都市の一つだ。


 白い岩山の下部、地面の付近に小さい穴がある。その穴に入り、長くて暗いトンネルを通っていくと。


 そこからは人の町だった。



「さァ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」


「そこの旅人のお方ー! こっちの果物はどうだい! 新鮮で甘くて美味しいよ!」


「ちょっと道を開けてくれ! こっちは急ぎの用だ!」


 がやがやと、そこかしこで人の声、誰かの鳴らした音がする。通りは随分にぎやかだ。


 赤茶けた土の道は大地をまっすぐ伸びていき、それに沿って屋台や商店のテントが並んでいる。屋台の向こうには簡素な家屋もいくつも並んでいる。人通りも多く賑やかで、俺たちが引いている幌車は、先行者の後ろに付いて、速度を揃えてゆっくりと進んでいく。右側には、俺たちとは逆方向に進む通行者たちが居る。


 くぁと、小さく欠伸の声が背後の荷台から聞こえる。


「にぎやかなところですね……」


「どこかで宿を取りたいけど、どこがいいかな」


 手前と奥で街の様相は違うんだろうか。関所を過ぎたばかりの荒野の上は、意外と簡素な街並みのようだ。人の町は、通常中心部に行くほど発展して栄えている。壁に近い方がモンスターとの接敵の可能性があり危険で、中心にいくほど安全だからだ。


 カストラルは、大きな赤い、背びれのような岩山に遠くを囲まれており、岩山の間を埋めるようにそれぞれ白い石の城砦が築かれている。この、赤い岩山と白い城砦に囲まれた内部に、人の町が点々と発展している。これらを総称してカストラルと呼ぶ。


「先生! あっちにギルドがあるみたいですよ! さっそく行ってみましょう!」


「ツバキちゃん、先に宿屋ねー。こんなでかい車連れてギルド入れないからー」



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