休み時間、モモモの武器探索
「“蛮族”派生、あんまりしっくり来なかったんだよねー」
モモモが俺の机に冊子を広げ、俺の対面で両腕を机に付きながら話しかけてくる。ここは教室の中、いつもの放課後。教室の中は人が捌けていて閑散としている。
「こう、単純すぎるというかー、モンスターだって考える頭があるわけじゃん? そういうのにはさー、あっちが理解できないような、初見殺し的な能力が欲しいっていうかー」
「そうなんだ、すごいね」
「でさー、手伝ってくんない? いろいろな派生試したいから、その素材集め」
清霜さんは、にこにこと上機嫌に俺の顔を見ながらそう話してくる。あ、俺の話?
「自分の手で届く範囲のものを使うのが賢いやり方だって先生は言ってたよ」
「“はい”か“いいえ”」
……はぁ。
「いいよ。ただし、素材は山分けね」
「は? なんで?」
なんでじゃないだろ。俺の取り分は?
「なに? 代わりになんかくれんの? 手伝った報酬」
「私が満足することが君の報酬だよっ」
モモモは両手の人差し指で自分の顔を指さしている。少女は憂いなき笑顔。
「ぬかせ」
俺たちが、一日二日で集められる素材には限りがあった。それらの素材で発現する成長武器の個性も、効果は薄く、小さいものだ。試したいものは頭の中にたくさんあったが、結局コツコツやるしかないのだ。俺たちは小冊子を眺めることに戻り、あれでもないこれでもないと言いながら、今作るべき派生の一つを選んだ。




