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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
-【幻想巡りのネコと弟子】-

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第二話、狩り狩りクエスト ーIII

「……先生、何か居る」


 ツバキに任せて追いかけっこを続けていると、彼女は、その場に先に居て立ち止まっている。視線の先、何かが居る。ヒメトラが肩の上から降りて逃げて行った。


 落ち葉の降り積もる森の中、風がかたかたと乾いた葉っぱを鳴らしていく。


 “そいつ”の足元には、紫色の太った蛇の体が横たわっている。それは、今の今まで俺たちが追いかけていた標的。デスツチノコは“そいつ”の足に踏まれ、もう動かない。


「ツバキ、下がってな」


 銀髪の少女はちらりとこちらを見た。まっすぐ向こうを向いたまま、ツバキは後ずさりをして、俺の後ろに下がっていく。俺は魔力を周囲に放出し、少しずつ感覚の範囲が広がっていく。


 そこに居たのは一体のモンスターだった。毛の長い、赤い体毛のサル。体は細く、また顔にも毛が生えていてどこが目だか口だか分からない。


 俺の知識の中から、一件の検索結果が見つかりました。言ってる場合じゃないな。奴はおそらくヤシャザルか。まぁ名前分かっても名前くらいしか知らんけど。


「人の言葉は分かるか?」


 俺はあちら側のサルに話しかけると、返事がない。俺が二の句を告げようとした、その瞬間。奴の体が揺らいだ。


「お前の相手は俺だよ」 


 俺の隣をすり抜けようとした赤いサルの胴体を、俺の剣の腹が捉える。続いて体を蹴り飛ばし、サルの体が真横に地面を滑っていく。


「ツバキー? もうちょっと離れた所に居てねー」


「は、はい!」


 少女の足が遠ざかっていく。俺の視線の先には、地面で俺を睨んでいる赤いサルが居る。


「どっから来たか知らないが、ここへは何しに来た? ここのもんじゃないな、お前」


 あるいは、すでに討伐したが、コンゴウヘビの発する何かに誘われて迷い込んでしまったか。何でもいいが、この個体の人類への姿勢は“敵対”。危険度も高い。討伐対象だ。


 俺の言葉を分かっているのかいないのか、赤く長い体毛のサルは、地面に這いつくばって構えたまま俺の様子をじっとうかがっている。


 俺たちの間を、風が吹いて葉っぱの一枚が地面を擦れて動いていく。


 次の瞬間には、俺の目の前に、俺へと飛び掛かってくるサルの姿がある。俺は剣を使い、背負い投げのようにして背後へとサルの体を流す。サルは地面を滑っていき、俺はその背中へと手を向ける。


「“風刃”」


 三つに螺旋に捻じれた槍先、その形の風の刃が、俺の手から放たれ、奴の背中を襲う。「ぎゃっ!」とサルは悲鳴を漏らし、生じた隙に立て続けに剣を振るう。


 俺の剣が地面を叩いた、すぐに持ち上げて右方向へ切り掛かると、そっちから襲い掛かってきたサルの胴体へ直撃する。


「ぐぎゅぅぇっ……!」


 剣を翻して切り掛かる、斜め下から切り上げ、上からまた剣を振り下ろす。サルは攻撃を受けてよろよろと後退した、俺はその胸へと手の平を向ける。


「“風刃”」


 一筋の風の刃が放たれ、それはサルの胸部を真横に切り裂いた。切り裂かれた胸部の肉の間に、赤く小さいコアが露出する、俺はそこへと剣を突き出し、貫く。何かを砕く確かな感触があった、サルの体からがくりと力が抜け、剣を抜くとそこに倒れ落ちる。体の端から、細やかな星の粒子が吹き出、その体が溶けて消えていく。


「終わったよー」


 俺は銀色の直剣を腰に納めながら、ツバキが去って行った方向に声を掛ける。しばらくすると、向こうの茂みから、ネコを抱えた銀髪の少女がそろそろと姿を現した。


「せ……先生……今の、やれたんですか?」


「倒したよー。荷物から袋出してくれる? 厚い、ツルツルのやつ。ツチノコの方の体拾うから」


「は、はい」


 ツバキは、忙しく荷物を漁っている。



「な、なんだったんですか? 今のモンスター」


 俺たちは森の中を歩きながら帰路に就く。懸念事項だったモンスターたちはまとめて倒し終わった、今日は収穫の多い日だ。


「今の? 今のはおそらく“ヤシャザル”、ここらで広域に警報が出てたからその個体じゃないかな。ギルドに報告したら、討伐報酬ががっぽり貰えるよ」


「ヤシャザル?」


「そう」


「な……なんでこんな所に、あんな恐ろしいモンスターが」


「どうだろうねー。ヤシャザルは目撃数も少なくて生態もそんな分かってないし。まぁ広い森でも一体しか見ないとかいう奴だから、新たな縄張りの森を探してさまよってた、とかかなぁ」


 報告書も必要な奴だろうし、宿に帰ったら忘れないうちに書いておかないと。くぁと、ツバキの腕の中、ネコがのん気に欠伸を漏らしている。


 町に着いた。ギルド(酒場)に立ち寄り、一応、掲示板に記載のあった二種のモンスターの討伐報告を済ませる。酒場の店主は驚き、続いて感謝の言葉を述べてきた。アルコールの入っていない、上等な瓶に入ったぶどうジュースをお土産に貰った。

ヤシャザル

 風格の漂う、毛の長い、赤い体毛のサル。一匹を見ればその森に二匹目は居ないという。人目に隠れて動くようであり、極端に目撃例が少なく、あるいは、その姿を見たものは―

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