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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
Ep4.蟻の神兵

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-7.神域

 暗い洞穴の中に立っていた。反射的に上を見上げれば、そこは閉じられている。土だか岩だか分からない天井がある。俺はいつの間にか左右に伸びていく洞穴の上に立っていた。上へと続く穴なんてどこにも見当たらない。


「あぁ?」


 また、すぐそこに、先に降りて来た少年が居る。


「……異空間に、飛ばされた?」


 “神域”か? ここ。うちの神様がよく呼び出してくる白い空間のような、神性で出来た異空間。俺は、森の中、大地にぽっかりと開いていた巨大な穴の中に飛び込んだはずだ。だが次の瞬間にはここに居る。


「……さっきの人、ここは?」


「おそらく敵の本陣だ。ここのどこかに増殖のぬしがある」


「そうか。魔神の口にでも飛び込んだのかと思った」


 その想像もあながち否定はできない。歩いていて、酸性の沼に出ないといいが。


 夢の中を漂っているような、ふわふわとした不思議な気分だった。意識をはっきりさせようとしても、俺はぼーっとただ目の前の景色を見てしまう。そこにはただ洞窟の壁がある。


 地上のアリに、かすかに感じていた“神性”の気配が、ここでは均一に空気に“満たされて”いる。目当ての“神性”へと近づいたのは間違いない。


「……まぁ、ここでじっとしていても仕方ない。進むか」


「進むって、どちらに?」


 俺たちは一本道の上に立っている。少年が少し離れて立っているが、俺たちは“上”から降りて来た訳であり、どちらが前か後ろかも分からない。


「……それぞれ逆に行くか?」


「二つ目の分かれ道が見えた時は? 君は二人になって、それぞれを探せるの? こんなに早くに二つに分かれない方がいいよ」


 一緒に行きましょう! 俺はこんなところであのアリに出会っても一人で倒せないです!


「……じゃあ、俺はあっちに進む」


「一緒に行こう」


 俺たちは洞窟の中を歩きだす。洞窟の中は、明かりもないのにぼんやりと明るく、自分で明かりをつける必要が無かった。風はないが空気は重くない、俺たちは中をすいすいと歩いていく。


 少しすると、そこには分かれ道があった。Vの字に道が割れており、どちらも同じに見えている。


「……右に進む」


「おーけー」


「俺は頭を使うのは苦手だ。マッピングはお前に任せる」


「はいはい」


 少年の後を追って、俺たちは右の道を選び進んでいく。


「……地上に見えたアリの姿が見えんな。ここは敵の本陣じゃないのか?」


「あんだけ地上に出てたし、中がすっからかんになったとか」


 少し歩くと、また分かれ道がある。


「……複雑な地形だな」


「あれだけのアリが湧き出してるんだし、内部は広大で複雑な可能性はあるね」


「俺たちで探索しきれるのか?」


「君は、何かあって穴に飛び込んだ訳じゃないの?」


 俺が聞くと、彼は黙っている。


「……次は、左に行こう」


「おーけー。別れてても、行き止まりがあれば探索が簡単なんだけど」


 俺たちは左の道を選び、さらに奥へと進んでいく。俺たちはアリを見つけられない、ほかの、何者も見つけられない。


「……またか」


 俺たちが出会ったのは、またも分かれ道だった。


「君は、広域感知系の能力は持ってないの?」


「持ってれば、俺もお前も馬鹿正直に歩いてきてない」


「そうだね」


 俺も“領域”を広げようにも、この地下には風が聞こえないせいでほとんど何も感じられない。


「次は? どうする?」


「これは、俺たちだけで探索が可能な地形なのか?」


「不可能だったら、どうする? 俺たちは帰りに必要な道すら見つけられてない」


「上にまっすぐ突き出れば地上へは出られるだろ」


 脳筋な脱出手段が帰ってきた。地上まで穴を開けられる能力はあるのだろうか? 開けられたとして、この異空間に穴が開くだけだと思うが。それでここから出られるかは、分からない。


「どうする? どっちに進む?」


「……右だ」


 交替性転向反応だっけ。ダンゴムシと同じ進み方だな。


 地下の景色には何の変化もなく、俺たちはただ洞穴の中を歩いていく。時間も距離もあいまいで、俺はずっと同じ位置から動けていないようにも思えてきた。


 歩いていれば、次に出会ったのは、またも分かれ道。


「綺麗すぎるね」


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