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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
Ep4.蟻の神兵

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第四話、蟻の神兵

「ねぇ、お仕事あるから付いて来て」


 それは珍しく、ミナモさんからのお誘いだった。



「なんですかー? 今、対人戦やってて忙しいんですけどー」


「世界の危機です。あなたが鍛え上げた力を振るう良い機会ですよ」


 俺たちは、白い空間の中に立っている。ふわふわと、泡のような白い光の玉が周囲を浮かんで、無作為に空中を漂っている。向かいには、先生の格好をした先生が立っている。


「その辺の強い勇者呼んでくればいいんじゃないですか? 世界の危機なら。俺みたいな雑魚じゃなくて」


「知らないうちにまた自尊心が下がっているようですね……。まぁ、話はすでにミナモさんから通っているようなので、私からは補足の説明をしますね」


 あれ、ミナモさんからの話と同じ案件か、これ。ってことは、ミナモさんからのあれが“神性”がらみ?


「仮称“蟻の神性”が数か月前、人界付近の深い森の中で活動を開始しました。以降、人の大きさを超える、巨大なアリの群れが樹海の穴から湧き出し、穴を中心に勢力図を拡大しています。同じく数か月前、冒険者協会や勇者協会がその活動を認識し、以降、戦力が投入され、出てくる蟻への対処が行われています。今回ミナモさんが呼ばれたのも、そのアリの対処への徴兵令ですね。もちろん、見習い勇者であるミナモさんが着く位置は、大した負荷のない場所でしょうが」


 でかい湧き出すアリ。しかしそれは単なる魔物ではなく、“神性”を帯びた蟻の神兵。一応、一般にはただのでかいアリが湧き出て迷惑だなぁくらいの認識なのかな。


「この“神性”の影響下にある巨大なアリは、数がいるくせに一匹一匹が非常に強力な個体となります。また、群れで動く力があり、人間に対しての慈悲がありません。冒険者協会からも、“これは人間に非常に敵対的な種である”として、珍しく“殲滅”の意を示しています。本音を言うと、私たちの手には負えない案件です。勇者協会から上の戦力が降りてくるのを待ちましょう。キョウゲツさんは、特に触れなくていいです」


 あれ、今回は、俺に調査とかどうにかしろという話じゃなく、神様の視点から、そいつ危ないからマジで気をつけろよと忠告しに来てくれたのか。


「いいんですか? そんな強力な“神性”なら、手持ちの“神性”を全部使って手に入れに行ったら、大きな戦力の獲得になるんじゃないですか?」


「……今回の“神性”は、おそらく、そのアリが湧き出す穴の奥底にあると思われます。地上で一匹相手するにも危険な個体、文字通り相手のホームで無限に湧き出すアリの軍隊と戦うとなると、その危険度は計り知れません。一般の事象相手には通用するあなたの“神性”も、同じ“神性”が相手なら通じづらい場合もあります」


 先生は、重苦しい感じでそう言っている。


「……正直、今回だけは、得られる利益よりもキョウゲツさんの身を優先したいです。私は、キョウゲツさんが居なくなられると困ります」


 「最後の一文もう一回言って」って言ったら怒られるかな。


「要は、“勇者の任務でその危険な巣穴の端っこに行くけど、危ないから巣穴には近づかない方がいいよ”、ってことですか?」


「要約すると、そうですね」


 ぶっちゃけ回収に行ってみたい気もする。だが、今回の相手はアリだ。失敗したときは無残な死。感情のないアリに体を齧られ貪られ。やっぱり全然行きたくないな。


「むしろミナモさん共々行かないことって可能ですか?」


「……勇者は有事の際の戦力として育てられています。こういった兵役をこなさなければ、勇者の存在意義は無くなります」


 まぁ、そうか。誰だって死ぬ目には遭いたくない。そういう役目を任されるからこそ、勇者は厚遇して育てられている。その甘露を啜っているのなら、責任だけ捨てることは出来ない。


「分かりました。謹んで受けさせていただきます」


「……まぁ、今回の任務はミナモさんに出されたものであって、キョウゲツさんは行く必要は無いんですけどね」


「俺も勇者として育てられてましたしね。返す恩は、返せる時に返しておきましょう」


「……幸運を祈ります」


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