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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
Ep3.びっくり城(じょう)

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閑話、授業:対人・キララ ーII

「わざわざ知り合いの中から相手探そうとしてるから非効率なんだ。まぁタイマンで勝ったからって、オレの中の戦闘センス全部がお前にまさってるとは思わないけどよ。今のところオレの方が勝ってるし、お前も負けてばっかりじゃ練習にならないだろ。“闘技場”の機能使えば、自分と近い実力の相手とも戦えるから、まずはそっちで対人の場数踏んだらどうだ?」


 キララさんにボコボコに負かされ続け、今は、俺たちは闘技場の観客席に移動して休憩している。俺が先にそこで待っていると、キララさんが売店で飲み物を買ってきてくれた。俺の分もあった。お金を渡そうとしたが断られた、「今日の詫びだ」と言って、キララさんはその飲み物を俺に差し出してきた。


 詫びも何も、俺が頼んで付いて来てもらったのに。口を付けると不味かった。俺が微妙な顔でそのジュースを啜っていると、キララさんは俺の顔を見てけらけらと笑っている。キララさんの方は普通の甘いジュース、俺の方はプロテインみたいな奴らしい。交換を申し出されたが、お互い口を付けていたし、それを俺から指摘するのもあれだったので、交換は断った。


「多分だけどお前、今までモンスターとばかり戦って来たんだろ? お前は今、違う畑に来てんだ。ここだと、使う頭が違う。対人戦闘じゃ、相手にしたいことをさせない、何もさせないまま命を奪った方が勝ちだ」


 “命”か。


 根本的に、並み居るモンスターと人間とでは、その耐久力が違う。モンスターどもは体が丈夫であり、また種類によっては傷ついた肉体を容易に再生する。よって、モンスター相手への戦闘には、破壊力やDPSが大事になってくる。


 一方で、鍛えれば少しは伸びるものの、人間の耐久力というものは個体によってそう劇的には変わらず、弱点も急所も同じ。人間を倒すのに必要十分な威力は、いつもそう変わらないし、それは(モンスターを倒すためのものに比べれば)大したものでもない。


 また、対モンスター相手の戦闘には、“正解”の戦い方というものが存在しない。モンスターは属性や体格、耐久力も様々で、いろんなモンスターと戦うにはいくつかの手札、あるいは強力な一つの手札を持って、モンスターごとの様々な性質に戦闘結果を左右されながら戦っていくことになる。


 けれど、人間を倒すなら、ある程度定まった倒し方、対人の“定石”のようなものが存在する。もちろん、それはすべての人間相手に通じるものではないが、その通じる通じないは相手の対応力、つまり相手の対人練度によって主に左右される。その“定石”を知っていれば、対人練度の低い人間、一般人は簡単に制圧でき、相手の対人練度が高いなら通じない。


 つまりは、対モンスター戦闘と対人戦闘ではそれぞれ異なる戦い方があり、俺は対人経験値が低いせいで対人経験値の高いキララさんにカモにされている。


 俺の今のところの仮想敵は“七星”であり、彼らは、その武器種に集う全ての強者たちと対面し、それら全てをくだしてきた対人のスペシャリスト。その辺の考える脳みそのないモンスターばかり狩ってきて調子に乗っているだけの今の俺ではもちろん勝てない。チートを持ってもだ。


 俺は“対人経験値”を積まなければいけない、最低でも、その“対人の常識”を知らずに初手で完封されるような自分は、今すぐ克服しなけばならない。


「オレたちに、正々堂々なんて言葉はない。お前は茫然と構えすぎで、お前はまず、相手を制圧することを前提に考え、頭の中でそのための初手や手札を揃えなきゃならない。お前は戦闘が始まった時、相手を見てばかりで、自分のやることは何も考えてないな?」


「……はい。そうです」


 ヒカリちゃんにも言われたことを、俺はキララさんにも言われる。


「まぁいろいろ言ったが結局慣れだ。お前にはまず場数が足りてない。最初に言ったように、まずは実力の近い相手と戦って、徐々にこっちの経験値を貯めていくといい。オレの言ってることの意味は、頭のいいお前ならすぐに分かる」


「ありがとうございます。勉強になります」


「お前は、今日は負けてばっかだったけど、あんま気にすんなよ。始めたばっかなんだろ? 最初なんてみんなそんなもんだ。先に人がやってる場所って言うのは、最初に負けまくって強くなっていくもんだからな」


 俺の萎れた態度を見てか、キララさんは俺に励ましの言葉を掛けてくれる。


「ししょぉ……」


「あぁ? 誰が師匠だ、気持ち悪いから泣き付いてくんな。お前だって、散々モンスターと戦ってきてんなら戦闘の地力はあるだろうし、すぐにオレくらい強くなれる。さっさとオレを見返させに来い」


「がんばります……」


 世界は暗くなり、夜間のライトアップが始まって、闘技場のグラウンドの上は、白い光で明るく照らされている。俺たちは、手元のジュースを啜りながら、観客席から、夜のグラウンドで戦う彼らの様子を眺めていた。

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