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教科『異世界』の時間だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
ー20

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授業:属性とモンスター、属性変換器

「今日は、属性とモンスターについての理解を深めていきましょうか」


 今日は座学の授業のようだ。教室の中は少し薄暗く、白い曇りガラスの向こうから外の光が差し込んできている。窓には、校舎の脇に植わった木の影が映り、風に大きく揺れている。教室の中では生徒たちがそれぞれ大人しく席に着いている。


「属性は、大まかに分けて四つの体系に分類されます」


 先生は“四つの力の体系の分類”と黒板に書いていく。


「代表的な一つは“大自然系だいしぜんけい”、これは自然に属する力の体系です。“風”や“水”、“炎”など、みなさんが普段生活で触れている魔法の属性は、この“大自然系”が多いです。なぜかというと、この人間界の近くを流れる龍脈はほとんどこの“大自然系”であり、単純に馴染み深いんですね」


 “大自然系”。俺の身体属性である“風”も、ここに分類される。


「残りの三つは、“命理系”、“天理系”、“干渉系”と呼称されます。これらの三つの体系は、我々の住んでいる世界の近くでは目にする機会が少ないため、“大自然系”の属性に比べると研究が進んでいません。また、この内、“命理系”と“天理系”の力の一部は、人間界での使用が大幅に制限されています」


 へー。


「この三つの体系の特徴を簡単に説明しておくと、“命理系”の力は、“精神”、“肉体”、“寿命”など、個の命へ向けて働く力のようです。“天理系”は、“時間”、“空間”、“運命”など、世界のルールのようなものに作用する力。“干渉系”は、“物理”、“属性”、“不定”などの他に干渉する力の種類の属性のようです」


 話が難しくなってきたな……とにかく、属性はおおまかに四つに分けられる訳だ。


「それぞれの体系は、基礎となる一つの属性、および基本となる三属性を持ちます。体系が所有する属性はこれらだけでなく、目を凝らせば無限に分岐しているものと見れます。“大自然系”の基礎となる属性は“変異”、そして基本の三属性は“炎”、“水”、“風”の三つです。“大自然系”はこれ以外にも、“雷”や“氷”など、自然界に多くみられる力を所有しているようです」


 覚える単語がいっぱいだぁ……。


「さて。このような属性の分類をおぼえて一体何に用いるのかというと、これらの中の属性同士には、相性があります。モンスターはそれぞれ、一つないし複数の属性を所有し、それらに対して有効となる属性、不利になる属性があるわけです。いわゆる”弱点”属性ですね。モンスターの属性を知り、そして”属性相性”に則って有利な攻撃を仕掛ければ、モンスターとの戦いはより容易なものに変わります」


 ほう。


「属性同士の相性の、基本は二つ。“同種特効”と、“四界相性”です」


 先生はかつかつと音を響かせて、黒板に文字を書いていく。


「“同種特効”とは、”そのモンスターと同じ、あるいは似た属性の攻撃がより有効に効く”という法則です。例えば、“炎”属性のモンスターには、“水”や“風”よりも“炎”属性の魔法が効きます。これは魔法の”炎”の話であり、実際の炎は別です。また、”炎”属性のモンスターには、他の体系の魔法よりも“大自然系”に属する力の方が強く効きます。これが“同種特効”の法則です」


 へー、同じ属性の力の方が効きやすいのか。なんか意外だな。


「つぎに、“四界相性”とは、先ほど説明した四つの属性体系同士の相性です。“大自然系”は“命理系”に強く、“命理系”は“干渉系”に強く、“干渉系”は“天理系”に強く、“天理系”は“大自然系”に強いです。四つの属性は、四つともえの相性を作っている訳ですね。四つ巴の対角、“大自然系”と“干渉系”、“天理系”と“命理系”の間の相性は、どちらが有利不利もありません」


 四つの属性体系は、四つで回ってじゃんけんを作っていて、その対角線はあいこ。


「人間界付近のモンスターは“大自然系”がほとんどですので、人間界近くで有用な攻撃魔法は“大自然系”、“天理系”の二つですね。なお、実際には“四界相性”による有利よりも“同種特効”による有利の方が大きく、人間界で使われる攻撃魔法のほとんどは“大自然系”のものとなります」


 気にするべきは”四界相性”よりも”同種特効”か。つまり、モンスターは基本同じ属性で攻撃すればいい。


「魔法は、相手のモンスターの属性に合わせて、相手と同じものを撃つべき。しかしそんなことを言っても、自分の魔力の属性は変わらないわけで。しかし、ここで“属性変換器”という、近代の便利な発明が登場します」


 と、先生は教卓の中から、バッジみたいな幾何学的な模様の小さい丸い奴を取り出す。


「これは“属性変換器”。これは、自身から出る魔力の出力の属性を、特定の一つの属性先に変化させることが出来ます。“水”の変換器を使えば、自分の魔力は全部“水”になる訳ですね。何も考えなくても体から出せば”属性変換器”の属性の魔法が使えます。もちろん、変化前後の属性の”遠さ”によって、魔力の損失は生じますが」


 おぉすげぇ! 自分の属性が変えられる道具! 欲しい! いろんなの欲しい!


「なお、一つの変換器で変えられる属性先は一つです。また、魔力の変換による魔力の損失は、グレードの高いものほど少なくなり、最新のものの変換効率は9割を超えるようですね。そこら辺で買える、等級の低いものだと7割程度、よっぽど悪いものでも5割です。また、変換効率は、この”質”による損失に加えて、変化前後の属性の”距離”による損失が乗算されます」


 先生は、こと、と、教卓の上にその小さい丸いやつを置いた。


「今回は、一人一つずつ、“大自然系”の変換器を注文するので、欲しい属性を決めてください。頼むものはそこまで等級の高いものではありませんが、それでも結構高いので一人一個だけです」


 一つかぁ。頼むの、何にしよう。

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