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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
ー花穂園(かすいえん)

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第十二話、授業:領域化

 俺たちはど田舎にある川原の、土手の脇の広場の上で、三人集まっている。周囲を見渡せばあとは畑くらいしか見えない。


「体力だの打たれ強さだのはまぁ、手が空いてからよかろ。それらはわらわが居らんでも鍛えられるからの。後回しじゃ」


 一生空かないでくれ。このちびっ子に追い掛け回されてタコ殴りにされたくない。


「じゃあシラアイは何を教えてくれんの?」


「主に技術的なことじゃな。思うに二人は、まだ“領域化”を使えんのじゃろ」


「りょーいきか?」


「魔力を用いた戦闘技術の一つじゃ。理論としては、簡単じゃな」


 シラアイはうずくまり、拾った枝で地面に絵を描き始める。絵面がかわいい。


「魔力とは不思議なもんでな。それは、自然を流れている龍脈とは違って、“自身”に強く紐づいておる。属性は、自分の保有する身体属性によく馴染んでおるし、それは自身の意思に応じて操作することが出来る。魔力は、“自身”にとってはひときわ特別な龍脈というわけじゃ」


 シラアイは簡素な人型を描き、その外に流れるような波波を、そして人の体の内側に渦巻のような模様を描く。


「自身の魔力を体外に出し、魔力を均一に満たした空間を作ることを“領域化”、あるいは“領域下に置く”などと表現する。この領域内では、まるで、目で見るように、手で触れるように、領域内のものを繊細に感知することが出来る。また、この領域内には自身に通う魔力が満たされておるため、領域内では即時に魔法を起こすことが出来る。自分専用のつよつよフィールドという訳じゃな」


 自分専用のつよつよフィールド。


「デメリットは?」


「一つは“領域”の維持、操作の難解さ。その“領域”を出している間は常に頭のリソースをそれに奪われるし、“領域”の生成自体の難易度も決して低くない。次に魔力の使用量じゃな。“領域”を作るために体外に出した魔力は、簡単には体内には戻らん、出したらもうそのまんまじゃ、何かに使うしかない」


 “領域化”。魔力を用いた戦闘技術。“領域”内では感知や魔法の速攻発動が出来るが、“領域”を作る難易度は難しく、また維持するのに常に思考リソースが奪われ、おまけに“領域”を作るのに放出した魔力は回復しない、と。総じて魔法に対する理解度がある段階じゃないと使えないかな。


「おもしろそう!」


「キョウゲツ、そちの身体属性は“風”じゃったな」


「そ……そうですけど」


 シラアイは、地面に屈んでぺしぺしと枝で地面を叩きながら、地面の絵をのぞき込み膝を曲げている俺の顔を、見上げている。


「良かったな。“風”や“水”のような属性は、少量の魔力を広範囲に広げ、“領域”内のものを感知することに秀でておる。これは、攻撃性能に秀でた“炎”や“雷”とは違う点じゃな。魔力は、現象として発動する前にも、多少その動きに属性の特徴が出るんじゃ。“風”の魔力は薄く広がりやすい」


「“風”はじゃあ、“領域化”に向いてるってこと?」


「あくまで感知方向にはな。“領域”内で魔法の発動をしても、“風”や“水”では出来ることが限られる。“領域”による反射的なカウンターなどは、“雷”や“氷”などが得意じゃ」


 ふーん。まぁここまで“風”属性の戦闘中の有効利用の話をほとんど聞かなかったし、“風”の魔力の使い道が出来ただけいいだろう。と、ジャノメはシラアイの話の何かが引っ掛かったのか、首を傾げている。


「“風”が、攻撃性能が低い? キョウゲツの“風”は、物をずたずたに引き裂けるだろ」


「そんなわけが無かろ。どれだけ風が強く吹いたところで風は風じゃ。物など切れるはずもない」


「そうですねー」


「まぁ、強く押し固めた“風”が鉄板を貫いたところは見たことあるが」


「そっちの方が無理だろ」


 こほんと、シラアイが小さく咳払いをする。


「二人には、今からこの“領域化”の技術を覚えてもらう。この先、より強い場所に行くつもりなのなら、視界外からの攻撃や、五感が通じない状況での戦闘、目で見て体を動かすのでは間に合わんような攻撃も、ぼちぼち出てくるじゃろう。この“領域化”で、敵の動きを察知する能力を高めれば、それらの避けるのが難しい場面でも避けられる能力が身に付く」 


 正直、これは魅力的な提案だった。俺はこの技術をシラアイから無料で学べるという。無料でいいの? こんなん。高いお金払って授業受けに行くレベルじゃん。


「なぁ、わしは?」


「うん? どうした」


 ジャノメがシラアイに質問している。


「わしの身体属性は“変異”じゃ。これは、“領域化”でどのように活用するんだ?」


 ふむ、とシラアイは頷いている。


「“大自然系”の基本属性である“変異”の魔力は、“大自然系”に属するすべての属性への転化が容易じゃ。“炎”でも、“雷”でも、“氷”でも、“変異”の“領域”内では“大自然系”の魔法を自由に起こせばよかろ。まぁ、感知の目的のみで使うには、ちと魔力効率が悪くなるから、キョウゲツとは違い、狭い、体表の小範囲で高濃度に満たすようなやり方の方が、ジャノメには合ってるかもしれぬの。まぁそれも魔力量次第なんじゃが」


 俺の“風”なら、広範囲に薄く撒いて感知範囲を広げるやり方が、ジャノメの属性なら小範囲に体の表面をまとって、体の接近への感知と、魔法の速攻発動によるカウンターの目的で使うやり方が適していると。


「なんにせよ、実戦のように体にまとうやり方は数段階先じゃ。まずは、手の平の中の小範囲に任意の形で“領域”を作る練習、それから徐々に範囲を広げていって、最終的に自分に合った領域の形を作れるようにする。自身の体質に合った領域を考えるのは後じゃな、まずは“領域”を作る感覚に慣れるぞ」


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