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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
-迷宮街編

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第十九話、迷宮に見た夢 ーII

 俺たちは、地下へと伸びる階段に入り、下へ下へと降りていく。


 地下に入ると、地上のそれとは違い、その構造はわかりやすいものだった。通路が砂に埋もれたり崩落していなければの話だが。


「こっちは行き止まり、あっち行っても……じゃあこの階はいったん諦めて、一つ下の階に行きましょうか」


「お宝レーダーはどっち指してる?」


「近すぎると、それはそれで分からなくなるんです」


 俺が動くのに合わせて肩に固定した明かりが方向を変え、照らされて見える景色も変わる。重く静かな地下の暗闇で、細い通路はどこかへと伸びていき、あるいは途中で潰れている。地下の構造自体は単純そうだが、何度も砂や崩落で埋もれた通路に行き当たり、俺たちの進路はぐちゃぐちゃに乱される。


「結構探しましたけど……何もありませんね」


「ねぇ、なんかあっちの方綺麗じゃない?」


「どっちですか?」


 俺は地下の迷宮の中に、なぜだか綺麗な道のようなものが見えた。その道だけは、他と比べて整備されているような……。


「えぇ、ちょっとそっちに行くんですか? まだこの区画を探し終わって……」


 俺は何かに導かれるように、いくつかの分かれ道を選び、階段を下り、あるいは上って行った。


「ここがゴールじゃない?」


 俺は一つの部屋の扉の前まで辿り着く。


「もー、どこですかーここー……私の探索計画が……」


「お宝レーダーとか持ってるくせにしらみつぶしに探してんじゃねぇよ」


「これが一番確実なんですぅ。ていうかなんですか? ここに来たかったんですか?」


 俺たちの前には一つの部屋の入口があった。だが部屋の入り口の穴は、大きな石の板か、あるいは石ブロックか何かで塞がれているようであり。


「……? どうやって入るんですか? これ」


「君の怪力で押して入るんじゃないの?」


 筋力式防犯扉はここまでにもあったし。彼女はそこの入り口を塞いでいる岩肌に体をくっ付け、押す素振りを見せる。


「……動きませんよ? っていうか、この向こうに何かあるんですか?」


「ほかの部屋とかの構造を見ると、この穴の向こうは部屋じゃない?」


「でもびくとも……ここはそういう装飾じゃないんですか?」


「そいつの開け方を教えてやろうか?」


 と、通路の向こうから声がする。それはここに居る俺のものでも、アルメリアのものでもない。声のした方にライトを照らせば、そこには褐色青髪の……、


「みみみみみ、ミツバさん! ここここんなところで奇遇ですね!」


「やっほーワカナ。こいつが怪しげにお宝を探し回っていたようだから俺が監視しといてあげたよ!」


 ばっとアルメリアがこちらを振り返る。


「ななな何を言うんですか!! キョウゲツさんも……いやキョウゲツさんが主犯です! 私はこの人の言うことに無理やり従わせられていたんです!」


 はぁ、と、ワカナはそこの壁に手を着いて溜息を吐く。


「ま、余所者のやることは大体同じだよな」


「アルメリア、今のうちに正直に謝罪したら首から上だけは残してあげるよ」


「死んでますそれ!」


「じゃあ首から下」


「死んでますそれも!」


 ワカナがこちらへと歩いてくる。アルメリアはびくりと震え、あいつがこっちに近づくのに比例して、一歩、また一歩、後ずさる。


「ま、こんな所まで辿り着いたのはにーちゃんたちが初めてじゃないかな。素直に称賛するよ」


 ワカナが、今俺たちの調べていた壁の穴まで辿り着く。


「でもごめんな。昔の誰かが隠した財宝なんてものは、この地下部分に存在しないんだ。地下の全部はみんなで洗いざらい調べてる、その上での結論だよ」


「あ、あります……確かにこの中に財宝が……」


「見たのか? この中を」


 言い返すアルメリアに、ワカナは、こんこんとその塞がった穴の壁を叩く。


「あるの? その中に、財宝が」


 ワカナは俺の言葉に、俺の顔を一瞥する。


「……この中に、古代の財宝なんてものはないよ」


「い、いえ、確かに……」


「あるのは、俺が私的に貯め込んでる財宝だけだ」


 ワカナの言葉に、アルメリアはその言葉を口の中で繰り返す。


「ミツバちゃんが……私的に……?」


「別に、それは驚くほどの額でもねぇ、見つけたからと言って誰かにくれてやるような義理もない。ごめんなねーちゃん、こっちの財宝は諦めてくれ」


「あなたの……全部、あなたの……?」


「そうだ。最初は何もなかったよ。俺が少しずつ集めてきたんだ。ここの財産はただ、俺が分かりにくい所に部屋を見つけたんで、お金を隠すのに使うようになったって、ただそれだけの話だ。あんたに何を勘違いさせたのか分からんが、夢のような財宝なんてここにはない」


 彼女はワカナの言葉に、ぺたんと、その場にへたり込んでしまった。


「じゃあここも……はずれ……」


 彼女はうわごとのように何かを呟いている。


「で、どうする? ワカナ。こいつ煮る? 焼く?」


「別にどうもしねーよ。地下探検がしたかったんだろ? 俺たちだって散々通った道だ。探したきゃ、気の済むまで探せばいいよ。ただ地下全体が危険な状態だから、あんまり歩き回るのはオススメしないけどな」


 アルメリアはしばらくの間、放心したまま地面にへたり込んでいた。



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