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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
-迷宮街編

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第十八話、魔王軍インタビュー

「この荷物をあっちに持って行けばいいんですね!」


 牛の角の少女は笑顔で隣のおばあちゃんに話しかけている。彼女の頭上には、大きな荷物の塊を持ち上げられている。


「あらぁ、アルメリアちゃんは力持ちねぇ」


「はい! 御用があればいくらでも言ってください!」


「アルメリアちゃんは優しいのねぇ」


 牛角うしつのの少女は怪力で荷物を頭上に掲げ、人々の暮らす家の集まっているこの区画を去って行く。


「馴染んでんなぁ……あの魔物の子」


「嫉妬か? にーちゃん」


 俺は、こちらに背を向け生やした尻尾をふりふりと振りながら去っていく、あの少女を見つめ思う。


 魔物。魔物の中にも人型をなす個体が居るが、それは生物的に人間とは大きく異なる。それにはまず、魔物の中でも二種類の生物が居ることを説明しなければならない。


 一つは、元々龍脈のない場所で育った生き物が龍脈の影響を受け、変異、進化して出来るタイプ。これには元々の種の影響を大きく受け、まったく別の、例えばカモメがキツネに変わるような劇的なものはなく、元々の性能が拡張されたような性質になることが多い。基本“魔物”と言えばこちらを指す。


 そしてもう一つは“龍脈そのものから生まれる生き物”。生物本来の肉体はなく、ただ龍脈を以て肉体を構成、再現している。核となる石があり、それを壊すか消耗させ切ると死ぬ。俗にモンスターと呼ばれることが多い。


 これらは、元となった生物のような特徴が見えない、あるいは一部のモンスターをデフォルメしたような形態になる。モンスターの種類は分類しきれないほど、それぞれが個性的に発現したものになり、中には“人間を模したようなモンスター”も存在する。


 人間が“魔物化”したものと、この“モンスターが人間を模した生き物”とでは、同じ龍脈を宿す生き物のようでいて、まったくの別種である。違いは何か、生物的な違いは前述したとおり。じゃあ頭の中身は? 人格は?


 モンスターは人間の常識を持たない、ただ“人に見られる”ように生まれ、“人を真似て”生きているだけ。人としての歴史も、文化も、知識も経験も何もかも、人の親から受け継いで生まれてこない。ただ動かすのに優秀な“人の形”を取っているだけのモンスター、それが“人に似たモンスター”への旧人類の評価だった。


 俺は、岩の壁を横切って見えなくなった少女のことを思う。魔王軍の紋章を背負ったあの子は、おそらく“人に似たモンスター”だ、“魔物化した人間”ではない。体の中には核となる魔石があり、体を切っても魔力で肉体を再生する。人に似て、人とは異なるモンスター。


 だから……だから? 俺は、あの子にどう接するべきか? 今のところ人間への敵意は見えない、人間の土地を侵略する意思も見えず、ただ人里に迷い込んできた、いや、人の町に流れ着いただけの流浪の民。かつて勇者の学び舎で教えを受け、あちらは仮にも魔王軍の名を背負っている……まぁ今は脱いでるが。元勇者(見習い)の俺は、魔王軍であるあの子にどう接するべき?


「にーちゃんも、ぼーっと突っ立ってないで何か仕事してくれよ。タダで飯は出てこないんだぞ」


「ワカナ、今日のパトロールは?」


「噂の正体は今そこ歩いてただろ。巡回も聞き込みももう終わりだ」


 くそっ……不審者相手にいろいろ活躍してワカナに恩を売る機会が……いやまぁそれはいい。まぁよくはないが……あれ? じゃあ、俺は今なんでここに滞在しているんだっけ。……。


「俺は、あの子の危険性を計り終えるまでここを去らないよ」


「あんな人の良い子を捕まえて何言ってんだ? 暇なら、またモンスターでも狩って来てくれ」


「いやいや、あの子が実は悪い子だったとかじゃないと、俺がここに居る意味がなくなるじゃないか」


「……いや、そんなの無くても好きなだけここに居ろよ」


 いろいろ言ったが、俺は“魔王軍所属の人間”と接するのは初めて……貴重な経験だった。俺はこの世界をよりよく知るために、あの子を通して“魔王軍の人間”がどんなものなのかを知りたい、そう思っている。


「ふふふ……今に見てろ……すぐに尻尾を掴んでやるからな……」


「何を企んでるかは分からないけどストーカーは犯罪だぜ? にーちゃん」


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