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教科『異世界』の じかん だよ! ~武器と魔法とスキルを学んで、仲間と共に異世界を歩き、モンスターを倒し強くなれ!~  作者: 藍染クロム
-迷宮街編

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第十六話、警邏・巡回・あっちこっち ーII

「その不審者の影を特定するんならもっと詳細な情報が欲しいね。出る時間帯とかは? 目撃された場所は? その場所に、ほかに何か変なものは残ってなかった?」 


 なんか探偵ごっこしてるみたいだな。俺たちは壁を降り、日陰の通路の一角でいったん休んでいる。


「一応聞いてるが、一貫性とか変なものとかは見つかってない」


「そっか。っていうか、俺たち以外はみんなその不審な影を追ってないの?」


「見つけても逃げるだけっつーか、まだ実害が出てねーからな。気味は悪いが、そればっかりに気を取られてもいられないし。みんなは自分のことしてるよ。人によってはお化けだとか精霊の類じゃないかとか言ってる奴もいる」


 街の外は砂漠だらけだったが、遺構の中には作物を育てる畑もあるらしい。そこで、食べられるものや家畜を育てているという。


「ワカナは……そいつのことは、財宝狙いの部外者だと思ってるんだっけ」


「経験則でな。なかなか消えないんだよ、そいつの目撃例。きっとお宝を狙ってるに決まってる」


 手伝うとは言ったものの……なんか飽きてきたな。状況動かないし。こんな広い遺構の壁すべてを、二人で見張り切れる訳もない。適当に歩いても見つからない。あっちが出てくるかどうかはあっちの気分次第。


「近くにモンスターとかいないの? 狩りに行きたいんだけど」


「おい飽きてんじゃねぇ」


 俺は足元を軽く彼に蹴られる。


「いやいや、毎日手ぶらで帰るのも悪いと思ってね。手土産をね」


「……サソリとかヘビとかトカゲとか、モンスターは探せば居るっちゃ居るが……狩れば、魔石や魔物の肉は資源になるし、助かるには助かるが……」


 俺が見かけないだけでそこらにも居るんだ。


「俺そっち行っていい?」


「飽きんなっつってんだろ。ことが終わるまで逃がさないからなお前」


「じゃあ街の周りパトロールして、みんなの話聞いて回って、その後何すんの? 同じこと何週もするの? 日が暮れるまで?」


「……まぁ確かに、こっちからやれることは少ないけどよ」


「でしょ」


 だが、ワカナはそれでも食い下がる。


「……でも、俺たちが探さなかったらもう見つかんないだろ」


「見つかんないなら実害出てないし良いじゃん」


「でも……どうにも気になるっつーか」


 ふむ。彼がそこまで言うのなら、やっぱり何かあるのだろうか。別に観光に来た訳でもないし、俺もちゃんと調査の方に意識を集中させるか。


「なぁ、にーちゃんの方で、何か気になった事とかないのか? 些細なことでも何でもいい、気づいたことは何でも言ってくれ」


 と、ワカナの方でも手詰まりを感じているらしい、珍しく、ワカナの方から頼るようにそう言ってくる。


「……本当に? 本当に気になったこと何でもいいの?」


「なんだ、やっぱり何か気になったことあんのか? 教えてくれ」


「ワカナって女?」


 ぴしと、彼の動きが固まった。


「俺の身内にややこしいのが居るから、そういうのは注意して見てるんだよ。でもおかしいんだよね。黄金街に一緒に居た時のワカナは、確かに男だった気がしてた。でもなんか、こっち来てからワカナ見てるとどうも違和感を感じるって言うか……」


 ワカナは挙動不審に言い募る。


「な、なな、なに言ってんだよにーちゃん、今は街を狙う不審者の話だろ? そんなことはさておいて―」


「ねぇ、ワカナミツバは二人居る? 双子の、男と女とか……いやでも、話してる感じ、どっちも同一人物の感じが―」


 と、話していると突然、ワカナが腰元の服に手を掛け、がばっと真下まで下ろした。俺の目の前に彼の局部が露出する。


「ほほ、ほら、ちゃんとちんこ付いてんだろ?」


「……ほんまや。ちゃんとちんこ付いてる」


「……いや、ちょっ、何じろじろ見てんだよにーちゃん。一瞬見りゃ分かるだろ」


「いやでも、ちんこ付いてないパターンあったからな」


「ちんこ付いてないパターンあったってなんだよ」


 もう話は終わりだと、彼は身を隠して服をいそいそと元に戻している。


「も、もう俺についての疑問はいいだろ? 分かったら、今度はちゃんと事件の方に頭を巡らせてくれ」


「うーん……」


 お腹空いてきたなー……。



 結局やれることも見つからず、俺たちは街の外にモンスターを狩りに出てきた。


「つーか、ワカナ、結局お前の置いて行ったあのナイフは何だったんだ」


「お前は聞くことが尽きないな」


「おめーの説明が足りないんだろ」


 どこまでも広がるうねる大地、俺は慣れない足元の砂に取られながら、モンスターを探して砂漠の上を歩いていく。


「何って、祭りで見せただろ。超強い一撃が出せるナイフだよ」


「でも、あれって結局“やらせ”だったんじゃないのか?」


 シラアイが、まるでそんな風にワカナに言っていたのを見た。彼は砂漠の先を歩き、振り返って言葉を返してくる。


「まぁ、運び屋のにーちゃん抱き込んで、一芝居打ったのは事実だけどな。ほかの冒険者たちが俺たちに喧嘩売ってこないように。だけど、やって見せたナイフの威力は本物だよ。それは信頼してくれ」


「まじか」


 ってことは、大地を割ったあの攻撃を俺も使えんのか。一回だけ。どこで使うんだ。


「と言ったって、使えるのが一回だけなら使いどころなんて無いぞ」


「あぁ? 超高威力の攻撃をお前みたいな雑魚でも使えるようになる“お宝”だろ。ちゃんと持っとけよ」


 ふーん。ワカナとしては、ちゃんと価値のあるものを俺に渡した認識で居るみたいだった。俺はその言葉に、少し満足感を覚える。


「だれが雑魚だ」

「お前」

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