6話【呻き声】
「よし、ブレスが動き始めたな…!」
ティークは光が当たったことで明確に見える大砲と大砲の操縦者たちを見上げて呟く。
ビルからは30m程のところにある横転した自動車に身を隠しているティーク。メガネをかけ直し、タマムシ色の瞳でじっとその時を見つめている。
ブレスはもう何度目かの砲撃を受けている。若干、わざとらしさもあるヘイト集めだが、相手も相手で随分と素直なようで、丁重にブレスへと、一斉射撃をしている。
「あいつは頭は回るが、演技はいかんせんできないからな。少し心配だったんだが、問題はなさそうだ。どうする?もう行くか?ゼファー」
「えぇ、彼らはブレス様に夢中になっているようです。入るなら今かと」
ティークの後ろに同じ様に自動車に身を隠している男。ゼファーがティークから借りたナイトビジョン双眼鏡を目にやりながら応えた。
倍率を1に戻した望遠鏡としては使われていない暗視の為だけの双眼鏡から景色が見える。先程から何人か見えては隠れてを繰り返している人たちがいる。けれど、どの人物もブレスへ顔が向いている。明らかに意識がブレスへと向いている。それは考えずとも分かることだった。
これは逃すことなどできるわけもない絶好の機会である。
「よし…!いこう…!」
早朝の薄暗がり。廃れたビルの墓場となった街。そこで行われる煩い砲撃大会の裏で、闇に紛れるものが二人。大砲のあるビルへと静かに、静かに侵入した。
「さてと、外から光があるように見えなかったけど、案の定真っ暗だな。今にもナニカ出てきそうなぐらいだ…」
「外で待っていても良かったんですよ?」
「馬鹿野郎っ!1人でいたほうがよっぽど不安だわ!」
ティークはゼファーに噛みついた。
「そ!れ!に!だ!」
ゼファーは顔色を変えず、腰に付けた刀に腕を預けて話を聞く。
「そんな事しようもんなら!馬車と馬の落とし前つけれねぇだろーが!!」
ゼファーは適当に顔を上下に振り、前に進み出す。
ビルの中は暗く、何も見えない状況ではあるが、ゼファーにはナイトビジョン双眼鏡が合った。それを通して辺りを見ると荒れた紙や椅子、パソコンに机の数々が見える。そんな部屋の一角に階段を見つける。
ティークの話を流したゼファーは、階段へ一直線に向かっていった。
「だいたいなぁ…!折角!あれやこれやと頑張って集めた大金で買った馬車だ!やっとこさで捕まえた馬だ!それ相応の対価をあいつ等から貰っても罰は当たらねぇだろ!?」
「……行きますよ?」
「聞ぃけぇよぉ!!!」
自身の熱い力説によって、次第に目を瞑り、自分の世界に酔いしれて語るティークが目を開ける。すると既に近くにゼファーはおらず、慌てて注意してあたりを見渡し、階段を登り始めようとしたゼファーを見つけた。
ティークは、そんな自由なゼファーへと思いの限りを吐き、足早にゼファーを追っていった。
ドバンッ!!!
ドバンッ!!!
「うぉ…!?あっぶなっ!今、服に掠れたぞ!?」
ヒトガタの登場で、立ち尽くしていたブレスの左腕スレスレを大きく黒い鉛玉が通る。それは、その勢いのまま車へとぶつかり、ガラスを割り、車体を変形させて、車へとめり込んだ。
ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!
前にはヒトガタ。
後ろからは砲撃。
ブレスは目まぐるしさに吐き気すら覚えた。
ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!
「あーもう!うるせぇ!お前らの相手してるよゆうねぇ…「ドバンッ!!!」…ほら!見たことか!騒がしいからそうやって撃ち抜かれるのっ!」
今度はブレスの頭スレスレを通り抜けた鉛玉が、ブレスの直前まで迫ったヒトガタへと打つかった。
ヒトガタは自身の体を四方八方へ飛び散らし、見事に顔と胴体を無くして、地面へ倒れる。その後、ドロォ…と人の形からただの白い水溜りへとなった。溶けたのだ。いや、この場合解けるというのが正しいのかもしれない。
「とは言ったものの、そろそろ動かないと、僕も死んじゃうよ…ねっ!」
ドバンッ!!!
「ほらね?……くそがっ!」
さっきの鉛玉は、ブレスのいた場所へとピンポイントで落ちており、その地面を砕き、実に自身の半分ほどをコンクリートに埋めている。
思わず悪態をついたブレスの背後から聞こえる呻き声。
ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!
「誰かに盗られるくらいなら、あなたを殺していいですか?……うめきぃーーーごーえーーー!!!ってか!良いわけねぇだろ!馬鹿やろっ!」
バシャッ!
辺りに響いた水音。発生源は勿論ブレスだ。
近づいたヒトガタへ対し、深く刺さった後ろ回し蹴り。
それは的確にヒトガタの顔へとヒットし、そのままヒトガタを吹き飛ばし、その後ろにいたヒトガタごと地面に転がした。
「……ったく!やってやろうじゃねぇか!無問題だよっ!この野郎っ!」
ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!
再び聞こえる呻き声。
然し、今度も背後から。
現在、ブレスの前には無数のヒトガタ。
「へっ?」
思わず振り向いたブレスはすぐに見たことを後悔した。
前方よりも明らかに多いヒトガタがこちらへと、波のように押し寄せるのだから。
「いや、ちょっ…待てよ!おちょ…お…待てよ!いや、マジでぇ!マジでいや…!ちょ…嫌!」
はい。
というわけでほんのり戦闘シーンに入りつつ天城越えと、キムタクです。対ありです。
⚠作者は高校生です。
いやでね、私好物スルメでね。
⚠作者は高校生です。
因みに寿司だとつぶ貝ね。
⚠作者は…。
立ち上がるときとかに「よっこらしょ」とか言っちゃって。
⚠作sy…。




