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29話 決勝戦

服を着替え回復を済ませている間にステージの修復が完了して試合は進行していった

私は準決勝も無事勝ち抜き、今はユリウスさんの試合が行われようとしている

ユリウスさんが使用しているのは刺突武器のレイピア。試合用に作られているのか切先の部分は無くしてあるようだ

切先がある状態のあの威力で突かれたら装備ごと貫いてしまうから改良してあるのだろう

それでも戦った相手の装備は粉々になっているようだが・・・


ユリウスさんの試合は全て一撃で決まってすぐ終わってしまっていたのであまり見ることは出来なかったが、あの構えは恐らく王国騎士の基本剣術

少し構えが変わっているが昔からある見慣れた剣術だ

あの戦い方は聖騎士長に散々(しご)かれたので熟知している

とは言っても私の動きも昨日今日と見せているからユリウスさんの方も把握していることだろう



「決まったー!ユリウス選手、この試合も一撃で相手を地に沈めましたー!強い!強すぎる!」



そうこうしているうちにユリウスさんの試合が終わったようだ

この試合も速攻で終わったか。これで決勝は私とユリウスさんに決定した

まだまだ底が見えない彼女だが必ず勝つぞ


決勝の前に一旦休憩が入り、私は一度両親とフィオナ、フレイヤの元へ戻った

父と母は私の顔を見るなり凄い勢いで駆けつけてきた



「エレナ!大丈夫だった!?」


「大丈夫だよもう傷もないし。応援ありがとうね」


「父さん心臓が止まるかと思ったよ・・・」



気の弱い父には少し過激だったようだ

それでも懸命に応援してくれたのは本当に励みになった

皆と合流した後は関係者専用の休憩所へと移動し、母とフィオナの2人が作ってくれたお弁当を皆で食べて束の間を休憩を堪能した

そしていよいよ決勝戦。遂にユリウスさんとステージで対峙する



「さぁいよいよ決勝戦へとやって参りました!決勝戦はエレナ選手対ユリウス選手の女性対決!果たして優勝を掴み取るのはどちらになるのかー!」



開始位置につき柄に手をかけるとユリウスさんから凄まじい殺気が放たれた

全力どころか私を殺す勢いでやってくる気だぞこれは・・・なら私もそれに応えよう


同じように私も彼女に気を放つ

試合開始前からお互いの凄まじい気迫がぶつかり合う。その異様な雰囲気を感じ取った観客席の人達は先程まで私達に送っていた声援を止め、固唾を呑んで見守っていた

静寂に包まれた会場内で審判の開始の合図が木霊する



「始め!」



開始と同時に2人の距離は一瞬で縮まり剣と剣が激しくぶつかり合う金属音だけが会場内に響き渡る

静まり返っていた観客席からは「消えたっ!?」や「どこだ?」といった声が聞こえてくる



「こ、これはなんということでしょうか!2人の動きが全く見えません!一体何が起こっているのでしょうか!?」



フレイヤは見えているだろうがこの場にいる者の殆どが私達の戦いを追えていないだろう

でもまだこれはほんの小手調べ。お互い様子を見ての一合だ。本番はここから


お互いが牽制しあった後、少しずつ一撃の速度と鋭さが増していく

ユリウスさんの動きは予想していた通りの型で、構えから次どのような攻撃を仕掛けてくるか大方の予測はすることができるが、本来王国騎士の剣術はブロードソードのような片手剣が一般的

彼女はそこに自分の得意武器であるレイピア用にアレンジを加えているようだ

なのでパターンを完全に把握するのにはもう少し時間がかかりそうだ


対する彼女は私の動きについてきて隙を見つけては鋭い一撃で急所を狙ってくる

その一撃を避けてカウンターで相手の横っ腹目掛けて攻撃を放つがそれも容易く躱される

そのような打ち合いを何度か重ねた後、両者共に一度距離をおいた

観客は何が起こっているか分からないがとにかく凄まじい試合だということで静寂から一転、一気に盛り上がりを見せた



「ふふっ、やはり思い切り力を出せるのは気持ちがいいですね。こんな気持ちはいつぶりでしょうか」


「それは良かったです。でもまだ本気じゃないですよねユリウスさん?」


「勿論です。本番はこれからですから」



ユリウスさんはそう言うと再び構え、先程よりも一段と速い攻撃を仕掛けてきた

まるで放たれた矢のように一直線に私の目の前まで一瞬で飛んできて、凄まじい突きの連撃がとめどなく襲いかかってくる

私はそれを横へといなし、ユリウスさんの攻撃を全て受けきった

確かに速い・・・けどその攻撃はもう見切った。私の知っていた型と彼女の型の動きのすり合わせは先程の打ち合いで大体把握できた

どれ程速度を上げたとしてもここに来ると分かっている攻撃をいなすのは容易いことだ


ユリウスさんは一瞬だけ表情を変えたが、すぐ気を取り直して再び連撃を繰り出す

先程と変わらない攻撃。自分の連撃が軽くいなされて少しムキになっているのか、さっきより単調になっている

単調になった動きに合わせてユリウスさんの武器に狙いを定め、剣の軌道を変えて地面へと突き刺す

そしてすぐさま剣を空高く掲げユリウスさんの頭目掛けて振り下ろし直撃すると彼女は地面へと勢いよく叩きつけられた



「き、決まったー!恥ずかしながら何がどうなっているのかさっぱり分かりませんでしたが凄まじい戦闘の末エレナ選手の一撃がユリウス選手を地面に叩きつけました!これは勝負あったかー!?」



実況につられて審判が手を挙げ試合の判定を告げようとしたその時、ユリウスさんがゆっくり立ち上がってきた

私の一撃を受けたことによって頭から血が流れているが全く気にする素振りを見せない

審判が彼女の元へと近づき試合を続けられるか確認する



「ゆ、ユリウス選手。試合続行は可能ですか?」


「勿論です。全く問題ありません」


「で、では試合再開です!」



審判の試合続行の合図と共に会場は再び盛り上がりをみせる

まぁ私も今の一撃で倒せるなど思っていない。ユリウスさんは攻撃が当たる瞬間、僅かに軌道を逸らして致命傷を避けた

見た目程ダメージは受けていないのだろう。彼女の目はまだまだこれからと言っている

向かって来ようとするユリウスさんに対して再び剣を構える。すると



「やはりこちらでは貴女に通用しないようですね。出し渋っている場合じゃない・・・ここからが正真正銘私の全力です」



私にそう告げたユリウスさんは先程までの構えをやめ、体が地面につきそうな程体勢を低くした異様な構えに変わった

見たことのない構えだ。どういう攻撃を仕掛けてくるか注意しなくては

ユリウスさんの一挙手一投足に注目し、どのような攻撃が来てもいいように身構える

そしてユリウスさんがこちらに向かって地面を蹴り上げた瞬間、彼女の姿が消えた



読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価して頂けると大変励みになります!

次回更新はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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