155話 幽霊の正体見たり
借りた鍵を使い正面の扉から中へ入るのを試みようとするも長年使われていないせいか錆びついていて中々開かない
ようやく解錠できてドアノブを回すと今度はドアノブが取れる。この屋敷は見た目通り相当老朽化しているな
「お邪魔しまーす・・・・」
屋敷の中に入るとカーテンによって日中にも関わらず日の光が遮られており薄暗く、いたるところに埃が積もっていておまけにカビ臭い。歩く度に床はキシキシと音を立てていつ抜けてしまってもおかしくない状態。注意して歩かなければ怪我をしかねない
ザッと見渡した感じ幽霊の姿は見当たらない。まぁ都合よくその辺をうろついているわけないか
そもそも幽霊がいる前提でこの話を受けたけど幽霊が潜んでいるという話自体眉唾物っぽい気もするしな。とりあえず皆で固まって1部屋1部屋探していたら日が暮れてしまうので手分けして探索することにしよう
「じゃあ分担しようか。私とフローリアは1階を手分けして探すからフィオナとフレイヤは2階をお願い」
「え、エレナさん。皆一緒に行動しませんか?」
ササッと済ませようと奥の方へ進もうとする私を制止してくるフィオナ。その顔は屋敷に入る前より青白くなっているように見える
皆一緒にと言っても外にはラミアス達も待たせているしなるべく早く済ませたい
「屋敷の中はかなり広いし皆で手分けして探した方が早い気がするけど。あっ、もし不安だったらゴースト用の武器とかも作れるけどいる?」
「そういうことじゃなくて・・・得体の知れない相手がいつどこからやって来るか分からないって怖いじゃないですか。この屋敷の中を1人で探すなんて無理ですよぉ」
そういうものなんだろうか。以前セフィリアとお化け屋敷に入った事はあるがそれと大して変わらないと思うけどな
どうにか説得しようと試みるもフィオナは頑なに別行動を拒み続けた。時間だけが過ぎていきこのままでは埒が明かないので仕方なくこちらが折れて皆で見て回ることに
始めに1階の部屋を探索していく。1階には厨房や浴場、倉庫に大広間といった設備に使用人が利用するような最低限の家具が揃えられている部屋があるだけで特に変わった点は見当たらなかったし幽霊もいなかった
続いて2階。中央のいかにも貴族の屋敷にありそうな無駄に広い階段を上がっていき1部屋ずつ回っていく
2階には応接室やこの家の主とその家族が使用していたと思われる部屋がある
娘の部屋らしき場所には可愛らしいぬいぐぬみが綺麗に並べられていた。他の部屋は酷く荒れているようだったけどこの部屋だけは随分と整頓されているな
机には書きかけの日記が置かれていた。書かれている内容は他愛もないその日起きた出来事だけで騙された事や借金の事は一切記されていない。この日記を見た限りきっと娘はなにも知らず突然殺されてしまったのだろうな・・・・南無南無
その他の部屋も確認してみたが特に異変もなければ幽霊も現れず何事もなく進んでいった
「なんだ何も起こらなくてつまらないな」
「何かあった方が怖いじゃないですか。このまま何もないといいんですけど・・・」
「やっぱり幽霊なんてただの噂だったのかなぁ」
角を曲がりその先にある部屋の扉を開けてザッと見渡す。やはりこの部屋にも特に変わった点はないと部屋をあとにしようとしたところ、フィオナが何やら違和感を覚えたのか部屋を念入りに探り始めた
「どうかしたの?」
「あの、ここの部屋ってさっきも来ませんでしたっけ?」
「そうか?同じような部屋ばっかだし勘違いじゃないか?」
「そうですかねぇ・・・そうですよね、私の勘違いだったみたいです」
怯えすぎて変に気にしすぎたのかもしれないな。フィオナは自分の気のせいと言い聞かせるように先へと向かっていった
しかし次の部屋の扉を開けた瞬間、そのフィオナの疑心は間違っていなかったことが証明される
次の部屋を開けるとなんとそこは先程確認したはずのぬいぐるみが飾られている部屋だった
端から順番に見て回っているから同じ部屋に入るということはないし屋敷の構造的にも同じ場所に戻って来ることもあり得ない
一度確認し終えた部屋を再度確認してみるが、どこを開けてもぬいぐるみの部屋に繋がる仕組みになっていだ
「やっぱり見間違えじゃなかったんですよ!私達さっきから同じ部屋を見て回っていたんです!」
何者かが仕掛けた罠か。屋敷には私達以外居ないはずだしやはりここには幽霊が潜んでいるのか
とにかく原因を突き止める為一度部屋を出ようと廊下の方へ向かおうとすると突然扉が独りでに閉じた。開けようとしても外から押さえつけられているかのようにビクともしない。どうやら私達は部屋に閉じ込められてしまったようだ
廊下から差していた僅かな光も無くなり真っ暗になってしまったので魔法で部屋を照らし視界を確保する
「もうダメですぅ!私達一生ここから出られないんですよー!」
「落ち着いてフィオナ。これ位どうとでもなるから」
隣で取り乱しているフィオナをなんとか落ち着かせる。すると今度は部屋の中にあった家具がガタガタと揺れだした。並べられていたぬいぐるみは宙に浮き始めて私達の頭の上をグルグルと回り出しカオスな状況と化していく
「タチサレー・・・イマスグココカラデテイケー・・・サモナケレバノロイコロシテヤルー・・・」
「ぎゃー!今度はぬいぐるみが喋りだしたー!」
これはもう確定で幽霊の仕業だな。しかしただ家具を揺らしたりぬいぐるみでおちょくってきたりと人をからかうような行為ばかりでいつまで経っても攻撃してくる様子はない。精神を侵されている感じもないし何がしたいんだ?
喋るぬいぐるみが宙を舞う中考えていると、フローリアの我慢の方が先に限界を迎えてしまったようで遂に怒り出してしまった
「おい!いい加減にしろ!ガタガタガタガタとやかましい奴め!そんな事でこの私が怖がるとでも思っているのか!こうしてやる!」
からかわれ続けたフローリアは怒りに任せて家具を破壊しだした。それだけならまだしも勢いに任せたまま屋敷まで破壊し始めてしまう
どの道壊す建物だからと多少の破壊は許されているが流石にやりすぎだ。まだ中にいるのにそんな派手に壊したらこんな古い屋敷すぐ倒壊しまうじゃないか
「ひぇー!やめてー!お家を壊さないでー!」
慌てて止めようとフローリアに近寄ろうとすると聞き慣れない少女の声がどこからともなく聞こえてくる
声がする天井に目を向けるとそこには体を浮遊させて涙ながらに訴えかけてくる少女の姿があった
私達の元にやってくる少女の体は透けていてよく見ると胸にはナイフが突き刺さっていた。それでこの少女がこの家の貴族の娘幽霊だという事が判明
少女はビクビクしているだけで隙を狙って危害を加えてくるような様子もなかったので一先ず話をしてみることにした
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