中世の騎士解説
★中世の騎士解説→中世の騎士……というか中世から古代全般にも言える話かも
※このイラストは全然、中世の騎士じゃないよ!手元のイラストで鎧着てるのがこのイラストだけだったから載せただけ!
作者は前にすごいものを読んだ事がある。
とある現代国家が異世界に転移する小説でだ。
その小説の中で中世ヨーロッパレベルの文明度の国との戦争があった。
その際に、現場の兵士がこの様な会話をしていたのである。
「弾薬が足りるか心配ですねぇ……」
「弾が無くなったら、銃剣でなんとかする。中世レベルの相手なんか問題ない」
「それもそうですね!」
大体、こんな雰囲気の会話である。
これ、中世や古代の兵士の事を知っている人ならば、んんん~???と首が一回転するレベルで首を横に傾げたくなるだろう。
というのもだ、これは恐らくだが、私としては、この小説のパートでこの会話をしていた兵士達は単なる無知だったからゆえに、この様な会話をしてしまっていたのではないか思っているのだが、はっきり言って、これは中世や古代相当の文明を持っている異世界人に対して舐めすぎである。
断言しよう。この会話をしていた兵士は特殊部隊であるとかそういう特殊な兵士ではなく一般の兵士であったが、この様な特殊な兵士でもない一般の兵士が、銃を使わずに、人対人の近接格闘戦で、中世や古代に相当する兵士とまともに戦って勝てる可能性は限りなく0に近いと言わざるを得ないだろう。0とまで言わないまでも、かなり勝率は低い。
現代の人間がどうして中世や古代レベルの文明度かつ脅威度の相手の兵士に無双し勝つ事ができるのか。
それは銃という遠距離武器の存在に他ならない。銃があるからこそ、無双し勝つ事ができるのだ。ではその銃がもしも無かったら?銃剣やナイフでなんとかなるであろうか?
間違いなく無理だろう。
何故か。それは中世や古代の兵士は基本的に化物であるからだ。
理由は幾つかある。
まず、第一に全身に金属の鎧を纏った兵士相手にどうやって銃剣やナイフ程度の武器で対抗するのか。相手が中世ヨーロッパレベル騎士の様な装備を着ていた場合、攻撃できる隙は殆ど無い。しっかりと装備を着ている兵士であれば、全身に金属のフルプレートアーマーや鎖帷子で防備を固めているのだ。
そして、その相手の兵士が持っている武器は銃剣などとは比べようもない凶悪な剣や槍や斧やハンマーなのだ。しかも、近接戦に特化している。これらの装備や武器の使い方を熟知した殺しの技も使ってくる。
さらには、腕力などが現代人から見て化物じみている可能性が非常に高い。古代や中世の人間の腕の力は間違いなく現代人よりも圧倒的である。その理由としては弓を引く力でその一旦を知る事ができる。
弓を引く力の事を弓力と言う。現代の弓は強い物でも25キロ以下。一般的には10~15キロ程。
では、戦国時代の日本の弓を例に昔の弓を見てみよう。武士が使っていた通常の弓で40~70キロ。馬上で使う物で40~50キロ程。そして武士は矢を4町の距離を飛ばせれば、武士として一人前だったという。4町とはメートル法で436mである。
なお、現代の時代に中世や古代の時代の弓を引ける人間は世界中を探しても殆ど存在しない。日本に限って言えば、日本の弓の射手の中に戦国時代の弓をまともに引ける人は存在しないとされる。
この現代人には無いとんでもない力で、中世や古代レベルの兵士は、近接武器を使ってくる可能性が非常に高いのだ。もはや近接戦闘においては中世や古代レベルの兵士を同じ人間として見る事は正しくないかもしれない。もはや獣、野生動物の領域と言って良いのではないだろうか。
もちろん、全員が全員そうであるという訳ではないだろう。中世ヨーロッパレベルであれば農民を徴兵して即席兵士にしている可能性も充分ありえる。そうであれば、その様な兵士が相手ならば、そこまでの化物ではないだろう。装備も貧富の格差で差がある可能性もある。
だが、中世ヨーロッパの騎士の様に日頃から戦闘訓練を積んだ兵士であったり、農民だとしても、その国が年がら年中、戦ばかりしている様な国であったら、化物レベルの兵士はそこら中に居る可能性が当然あるだろう。また、常備軍の制度があるならば、化物の数はもっと多い可能性が高い。
では、ここからは、中世ヨーロッパにおける騎士について詳しく見ていこう。
中世ヨーロッパにおいて、プレートアーマーが流行していたが、このプレートアーマーという代物は非常に厄介な代物だった。
プレートアーマーは全身を金属のプレートで覆った防具な訳だが、ここで重要な点がある。よくアニメなどで剣で鎧の兵士を切り裂く様な描写があるが、これは現実にはできなかった事である。考えても見てほしい。どうやって金属の鎧を剣で切って中の人物にダメージを与えるというのか。
魔法剣とかオリハルコンで作られた剣とかそういうファンタジーな世界であるならば、あり得るかもしれないが、少なくともこの地球においてはその様な物は無かった。
その結果、対プレートアーマー戦には、貫通性を重視した射撃武器( クロスボウやロングボウ )や刺突武器(槍やランスなど)、打撃力を重視した武器(メイス、フランジ、モーニングスターなど)が使われる様になった他、対プレートアーマー用の戦術が使われる様になった。
この対プレートアーマー用の戦術というのは、プレートアーマーの防御の薄い箇所をいかに攻撃するかという戦術だ。例えば、目の部分であったり間接部分であったりなどなど。転ばせて目の部分を刺すなどetc。なお、プレートアーマーの下に鎖帷子を装着している場合は関節部分も大半が防御されている。
なお、今更かもしれないがフルプレートアーマーとは金属板で構成される全身鎧で、鎖帷子は鎖を服の様に編んで作られた鎧の事だ。
とにかく、一般的にイメージされる騎士の姿であるプレートアーマーを身にまとった兵士は倒すのが非常に厄介なのだ。
以下の〈〉内のタイトルのYouTubeの動画にはプレートアーマーの機動性と戦術が紹介されているので興味のある方はぜひ見てほしい。戦術に関しては数ある戦術の中の一部ではあるが、防御面において弱点が殆ど無い事はこの動画を見て頂ければ恐らくは分かるだろう。また、機動性に関しては、知らない人が見れば、こんなにも動く事ができるのか!と驚く人も多い筈だ。ちなみに私も驚いた中の一人である。
〈 Le combat en armure au XVe siècle 〉
今回の内容はまとめると現代人が中世や古代に相当する兵士と対峙した時、この様な兵士と銃火器を使わずに近接戦で戦おうなどとは基本的には思ってはいけないという事だ。プレートアーマーだけならば、まだしも腕力や筋力が尋常ではなくそれでいて凶悪な近接武器を持っている様な相手と真正面から近接戦で戦うのは得策とは言えないだろう。
この様な中世や古代に相当する兵士と現代人が銃火器を使わずに近接戦で戦う場合、かなりしっかりとした準備が必要だ。
また、中世や古代の要素以外にもGGIKKは異世界ファンタジーも想定している為、ファンタジー要素も考えると、異世界の兵士の近接戦闘能力はより危険な物に評価できる状況もあり得るかもしれない。
もしも、魔法剣であるとか、オリハルコンの剣的な感じのファンタジー武器が存在する場合、そして、これらにもしもファンタジー物でよく見られる様な鎧ごと攻撃対象を切る事が出来る様な性能がある場合、ファンタジー武器、鎧の防御力、現代人には無いパワー、近接戦に精通した技の全てが悪魔合体している兵士が存在しているという状況も考えられる。その様な場合、銃無しでこの様な化け物と近接戦を行う事はもはや自殺行為に等しいとすら言えるだろう。とろ~りとろけるバターが自らバターナイフに切られに行くような物だ。




