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経済面・最も最悪の可能性、地獄の失業率にも関わらず必要な労働力を確保出来ないかも知れない説

★経済面・最も最悪の可能性、地獄の失業率にも関わらず必要な労働力を確保出来ないかも知れない説→地獄かな?(白目)


異世界転移後、日本は地球の海外市場との寸断が発生した事により、空前の大失業時代を迎える。その失業率は30%から40%水準もあり得るレベルである。


ただ、こうした中でも新たな職というのは生まれる。それは農業であったり、林業であったり、炭鉱や鉱山などである。こうした新たな職は日本全体の失業者問題を解決するには程遠いが、それでも、30%から40%もの高い失業率の中の失業者の内、幾らかは受け入れ先になり得るだろう。


しかしである。もしかしたら、この内、炭鉱や鉱山など過酷であったり重労働と見られる労働分野では失業率がこんなにも高いにも関わらず、もしかしたら幾ら募集をかけても必要な労働力を確保できないという恐るべき可能性があるかもしれない。普通に考えれば、失業率が高いのであれば、ある仕事に大勢が応募してきそうな物だが、それが何故、失業率が高いにも関わらず必要な労働力を確保できない可能性なんてもがあるのか。今回はそれを見て行こう。ハッキリ言ってこの今回の説は当たったら異世界転移日本にとって最も最悪な事態の話である。個人的にはこれまで行ってきた様々な考察の中でも最も当たっていてほしくない説だ。


今回の説は簡単に言うと以下の質問に集約される。


Q:異世界転移が発生し仕事が激減しました。あなたは稼ぐ為に鉱山で働きますか?


この質問にYesと答える人とNoと答える人どちらが多いだろうか。今回の問題は即ちこれである。あなたの場合はこの質問に何と答えるだろうか。ちなみに私の場合は、この質問に対する回答は即答でNoである。何故ならば私には体力が無いからだ。


でも、それってあなたの感想ですよね?と言われそうなのでより、話を深堀っていこう。


というのもだ。今回の説を思い至ったのは欧米諸国においてその傾向が実際に存在している為である。


コロナ前の世界経済が安定していた2019年(2019年を選んだのはコロナと言う有事下の経済ではなく平時下の経済であった為)。日本における若者失業率は3.7%(世界で17番目に低い値)であったのに対して、ヨーロッパにおける若者失業率はフランスが18.9%、スペインが32.1%、イタリアが28.6%、イギリスが11.4%、ドイツが7.2%という状況だった。


これらの国ではある運動がここ十数年、起こっている。それはEU離脱であったり、移民(難民)の受け入れを止めるべきだという内容の運動だ。これらの運動は2011年以降、急激に拡大し現在ではEUの行く末を占う重要な要素と化している。これらのEU離脱主張や移民の受け入れを止めるべきだという主張には移民を受け入れた事で治安が悪化したという物や自国の文化が移民の存在によって壊れるかもしれないという恐怖心から賛同されているものもあるが、それ以外にも移民によって職が奪われているという内容からこれらの主張に賛同する声が少なくない。


実際、企業側は積極的に移民を雇っているとされ、ドイツでは2024年現在、ドイツ最大の野党勢力である反EU反移民を掲げている政党のドイツのための選択肢(AFD)が勢力を拡大している事に対してドイツの大企業から移民が企業には必要だとする懸念の声が出されている。


しかし、である。これを聞いて違和感を感じないであろうか。先ほどの失業率を思い出してほしい。なんで失業率が高いにも関わらず、企業は移民の労働者を積極的に雇っているのだろうかという点である。


この点、国によってそれぞれの事情があると言えばあるのだが(例えば移民優先の職の斡旋などなどetc…)、実は企業の関係者や経済学者からはこの様な指摘がされているのである。それは……。


職の募集を出しても応募してこない。


はい?と思うかもしれないが、読み間違いではない。そのままの意味だ。企業が求人を出しても自国民からの応募者が少ない傾向があるのだと言う。その一方で、移民は積極的に応募をしてくる傾向があるそうなのだ。これだけ聞くと訳が分からないと思うが、さらに話を組み砕いていくとこの問題の詳細が見えてくる。


というのも、募集を出しても応募者が少ない傾向にあるという職には特徴があるのだという。それは肉体労働系の仕事が多い傾向(あと言うなら余り積極的に超絶やりたい!とは思わない様な仕事)にあるという事だ。そして自国民が応募をしてこない一方で移民の応募が多いという事に関しても、仕事欲が指摘されている。移民は新天地で生活をしていく為に積極的にどんな仕事でも請け負う傾向があるのだという。その一方で自国民側は職を選んでいる傾向があるのだという。つまりは、やりたくない仕事は避けている傾向がある可能性があるという事だ。


これだけ聞くと、向こうの人はそういう国民性なのだろうか?と思う人も居るかもしれないが実は、この傾向は実は日本にも無関係ではない。


というのもだ、日本においても農業の分野において外国人労働者の存在がかなり近年、重要になりつつあるのである。コロナの時、外国との行き来が殆ど停止したのは記憶に新しいと思うが、実はあの時、日本の農業界はかなりの問題に直面していた。それは往来が停止した影響により日本へとやってくる外国人労働者の数が減ったのだが、それによって労働力不足の問題に直面した農家が増加したのだ。


近年、日本の農業界の間では外国人労働者への依存度が増加している。その理由は単純かつ明快で、少子化それと、私達、日本人の間で農業への興味が薄れているのが原因だ。農家が農作業の労働者を集めようとしても集めるのが大変なのだという。その結果として農家から白羽の矢が立ったのが外国人労働者という訳である。


また、最近、クルド人解体業者を巡って色々と日本国内で騒動が巻き起こっているが、これに関してもニュースを見てなんと傍迷惑な事をする業者が居るんだとご立腹している人も居るかもしれないが、この解体業に関しても、農業と同じ様な問題が言えて労働力不足が指摘されている。その結果として業界が外国人労働者への依存を強めている実態が指摘されている。


ようは解体業をそもそも日本人がやらなくなったから外国人がやる様になっているのだ。


そもそも、クルド人の解体業者が最近はクローズアップされる事が多いが解体業者や工事系業者を巡っては、クルド人なんかよりも、遥か昔から中国系、韓国系、東南アジア系など様々な多国籍な企業がそこら中で問題を起こしている実態がある。ハッキリ言ってこの手の問題は今に始まった問題ではない。


まぁ、反社会的な行動をとる外国人のヤバい企業の話は横に置いておくとして、実態としては外国人労働者が業界に参入している状況がある訳だ。これはつまり、どういう事かというと、この日本においても、欧米が抱えているのと似た様な問題が、程度の差はあれど、発生しているという事である(移民の数の分母が欧米と日本とでは比べ物にならない程違ったり(欧米の方が圧倒的)、日本においては完全失業率が欧米に比べて非常に低く収まっていたり等々etc……)。


さて、ここまで言うともう、なんとなく今回の主題の意味が分かってきている人も居るかもしれない。そう。ここで今回のGGIKKの説に繋がるのだ。


最も最悪の可能性、地獄の失業率にも関わらず必要な労働力を確保出来ないかも知れない説。


異世界転移後にもしも上記で挙げた様な失業率が高いにもかかわらず、労働者側が特定の仕事を避ける様な現象が発生した場合、失業率が高い状況にも関わらず、特定の業種において必要な労働力を確保できない可能性が出てくる。欧米諸国や日本の一部業界が行った様な減少した労働力を補う外国人労働者も異世界転移後では直ぐには確保する事は困難だ。


もちろん、異世界転移後の日本経済の状況は現在の欧米が抱える様な経済問題とは全くレベルの違う深刻な物である為、上記の様な現象が発生せず、労働者側は仕事を選んでいる余裕なんて一切なく、この様な現象は発生しない可能性も当然ある。


しかし、現実問題として欧米や日本においてこの様な現象が大なり小なり生じている以上、異世界転移後においても同様の現象が発生する可能性もどうしても存在してしまうと言わざるを得ないだろう。


では、日本において労働力が集まらない可能性のある職はなんだろうか。それを考えるに当たって真っ先に思い浮かぶのは鉱山である。


鉱山や農業や林業などは、異世界転移後に需要が大幅に拡大し雇用を新たに創出する可能性が大いにある職業だが、この内、農業や林業は職が無い状況下においては3つを天秤にかけた時、農業や林業を選択するという人は多い様に思える。しかし、一方で鉱山はどうであろうか。鉱山での労働と聞けば多くの一般人が過酷な肉体労働であったり命に危険が及ぶ可能性がある職業であると恐らくは認識されているだろう。実際、異世界転移後には日本国内の閉山されている鉱山を再稼働する試みが行われる可能性が大いにあるが、閉山されて既に数十年が経過し老朽化&浸水が発生している鉱山を再稼働させるという行為は明らかに危険を伴う作業である。


これを考えると、政府が必要としている鉱山労働者を募集しても鉱山での労働は過酷で危険だという認識から最悪の場合、必要な数の労働者が集まらない可能性がある。林業に関しても肉体労働である為、集まりにくいという可能性はあるが、林業よりも鉱山の方が目に見えて危険性を伴う為、そう考えれば、まだ林業の方が人は恐らく集まりやすいだろう。


この最悪の事態が発生した場合、日本政府は大幅に異世界転移後の行動方針を見直さなければならないだろう。


まず、具体的にどの様な不利益が発生する可能性があるか考えてみよう。鉱山労働者を必要な数得られなかった場合、最も影響が大きいのは発電事業だ。当然の事ながら石炭が無ければ石炭火力発電は停止の危機、もしくは発電量の拡大どころかむしろ縮小せざるを得ない事態になってしまうだろう。そうなれば、国内の電力事情が非常に切迫する事になる。


では、この事態に対処する方法は無いのかと言われれば、存在する。それは石炭火力発電ではなく別の発電手段に移行する事だ。では具体的にどの様な発電手段が考えられるかというと、原材料が入手困難であったり発電効率の悪いとされている風力発電であったり太陽光発電は論外だが、例えば、バイオマス発電は木材チップという木材を加工した物を燃料としている。これであれば、鉱山に依存する必要が無い。しかし、バイオマス発電は国内のただでさえ需要が爆発的に伸びると予想される国内の林業にさらに負荷をかける事になり、木を伐り過ぎてしまう可能性が高まってしまうだろう。原発も新たな増設は新たな核燃料を用意しなければならない為恐らくは厳しい。


それを考えれば、残る有効な選択肢は地熱発電だ。日本は世界有数の温泉火山大国である。お国が違えば地熱発電大国となっていても充分におかしくない程のポテンシャルを持っている。しかし、それなのになぜ、これまで地熱発電が進められてこなかったと言えば、日本人は世界有数の風呂好き温泉大国であるからだ。日本各地には温泉が掘られ、それらは既に観光業と密接に結びついている。地熱発電の実施は温泉業に影響を与える可能性が高い為、中々観光業界との折り合いが付かないのだ。


しかし、異世界転移後であれば、これらの観光業界はもはや存続の危機に陥っている。客が明らかに激減するのが目に見えているからだ。であるならば、国がこれらの観光業界に従事している人々の産業としての生き残りを図るならば、新たな事業にシフトする事を提案する事が可能となるだろう。そして実際に経営的に厳しいと予想される観光事業者からすれば、地熱発電に協力すれば一定の稼ぎが得られる可能性、もしくは、地域(自治体)に収入が入る可能性があるとすれば、地熱発電を転移前に比べて受け入れる所はかなり多くなるだろう。


また、建設コスト的に見ても恐らくは、鉱山を再稼働させるよりも、地熱発電所を建設する方が安く済む可能性がある。


これならば、日本の国内の電力事情はなんとかできる可能性が高まるだろう。このプランを行った異世界転移日本では、もしかしたら多くの温泉地が姿を消して発電所に変貌しているかもしれない。


しかし、である。地熱発電であろうが、その他の例えばバイオマス発電にしてもだ。それでは解決できない、どうしようもない問題が存在する。それは、確かに電力は何とかなるにしても、これらの発電では、人造石油や石炭化学製品は作れないという事だ。


こうなってくると、電力はよくても、その他の分野に深刻な影響が出てしまうだろう。イメージしやすい所で言うと恐らくは、以前、言った様な自衛隊の木炭自動車化とかいう安全保障的に見て好ましくない事態が不可避の事態に陥る可能性がかなり高い確率で出てきてしまう様になるだろう。


また、鉱山は別に石炭だけが採れる訳では無い。異世界転移後の資源不足の状況を考慮すれば、日本政府としては鉄資源等々諸々の資源についても採掘を行いたいだろう。しかし、それが出来ない場合、リサイクルで当面は何とかするしかなくなる訳だが、ただでさえ、国内の鉱山だけでも足りないと言うのに、リサイクルだけではさらに苦しいだろう。さらに、様々な素材の製品に言える事ではあるが、世の中には一定の割合でリサイクルできない製品というのも存在している。つまり、リサイクルに依存するという事はどんどん資源が目減りしていくという状況なのだ。


つまりだが、鉱山労働者を必要な数集められない場合、その日本はかなりの大ダメージを負ってしまう可能性が高まるのである。


では、この様な事態にならない様に鉱山労働者を集めるにはどうしたら良いかという話になるが、幾つか手段は考えられるが、ハッキリ言ってどれも、どれ程、有効性があるのか不透明な所がある他、効果はあってもデメリットも付きまとう様な内容となっている(まぁ、ここで考えられるレベルの事でどうにかなるなら、欧米諸国も日本も今、困っていない)。


まず、最初に考えられるのは鉱山労働者に対する良い給料の支給と手厚い福利厚生や税制優遇処置などを実施するという手段であろう。例えば、異世界転移後は失業者の急増によって家賃を払うのが大変どころかホームレスがそこら中で発生すると推測されるが、鉱山労働者になれば、無料で賃貸物件を貸し与えたり、食事や医療費なども補助するとか、怪我や死亡した場合に手厚い保険があるとか、国に払う税金も優遇処置なんかを実施するとか、なんなら、一緒に無料で利用できる映画館もセットでつけるというのも有りかもしれない(実際、日本でまだ採掘産業が最高潮だった時にはこの様な娯楽を無料や安い値段で提供する福利厚生の仕組みを導入している会社も存在した)。


金はかかるが、これで労働者が集まるのであれば安い物だろう。問題はここまでやって労働者が集まるかどうか不透明な所だ(不穏)。


次に考えられる手段は、福利厚生や税制優遇処置に加えて国営の巨大人材派遣会社の設立だろう。この会社に失業者は就職をする事により、個人の持つ技能に応じて全国規模で様々な仕事を振り分ける仕組みを国主導で構築する事だ。これにより、人材派遣を国が握る事により最適な人材を最適な場所へと送り出す事を可能とする(社会主義国かな?すっとぼけ)。この会社に所属していないと自力で他の仕事を探す必要があるが、社会は失業率30~40%の世の中である為、実質的にはこの会社抜きでは仕事を探す事を大変にする状況を構築する。ハローワークをより強権化させた様な組織だ。


ハローワークの場合はハローワーク利用者は行きたくない仕事については拒否する事ができるが、これは、そもそも、仕事には付いていない為、行く事も行かない事も自分で決められる訳だが、この仕組みでは既に巨大人材派遣会社に登録した時点で、その人物はこの会社の派遣社員となっている。この為、派遣先を拒む事はそれ相応の事情が無い限り出来ない(労働者派遣法に関しては下記で触れる)。


これであれば、労働力を適切に振り分ける事が理論上は可能になる為できるが、しかし、この方法、問題が多すぎる。第一に労働者派遣法(正式名称、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)にバリバリ違反する。労働者派遣法は派遣労働者の権利を守る為の法律なのだが、建設業、港湾運送業務、警備業、医療関連業務、弁護士、社会保険労務士などの士業などへの派遣は禁止されている。鉱山は恐らくバリバリアウトだろう。また、ここまでの規模となると独占禁止法にも違反する可能性がある他、憲法的にも訴えられる可能性や、他にも探せば様々な法律に違反している可能性がある。


この手段を実施するには法改正もしくは新法の立法を行い国営の巨大人材派遣会社の設立をOKな状態とし、さらには建設業などにも巨大人材派遣会社が労働者の派遣も出来る様にしなければならないだろう。しかし、これらを実施する難易度は非常に高いと言わざるを得ない。これらを行うには当然、国会で審議されなければならないが、これらの法律は全て、これまで日本が積み重ねてきた人権保護に関する重要な法律である。それを骨抜きにすると世間一般に喧伝する事を意味しているからだ。非常に慎重に丁寧な国民への説明と、国民が納得する形のルール作りなどを行わなければ確実に世論の反発を受けて頓挫するだろう(あと、憲法に関しては、どうあがいても転移後の混乱の中で憲法改正の国民投票なんて、やる事は非常にハードルが高いと言わざるを得ないだろう)。例えば、強行に国会で法案を通して巨大人材派遣会社を設立したとしても、国民がこの会社を嫌がって登録者が少なければ意味がないし、よしんば上手く機能したとしても、憲法上の問題が残っている。憲法の改正ができない以上、国民の不信があれば、間違いなくこれで訴えてくる人間が出てくるだろう。そして裁判所で憲法違反なんていう判決がもしも出た日にはシステムの破綻が待ったなしで待ち構えている。


次に考えられる手段は犯罪者の活用だ。日本国内の治安は異世界転移後、悪化すると推測される。であるならば、増えた犯罪者を鉱山などの労働者として雇用すれば良い……と、言いたい所であるが、これに関しては恐らく現実的ではない可能性があるだろう。


というのも、重労働に向いている体力を持った鉱山労働力足り得る若い犯罪者も増えるだろうが、それと同時に確実に年寄りの犯罪者も増えると予想できる為である。日本の刑務所は現在でさえ大きな問題を抱えている。


それは再犯率の高さと、年寄りが多すぎて刑務所がもはや介護施設状態と成り果ててつつあるという事だ。生活苦の年寄りがわざと万引き等の軽犯罪を犯して最低限の生活が保障されている刑務所に入るというのも当たり前の様に起こっているし、かつて殺人を犯した受刑者が長年の収監ですっかり老いさらばえ、認知症になり何で自分が刑務所に居るのかも分からない状態となっている事ですら、当たり前に起こっている。介護が必要な高齢な受刑者を受刑者同士で介護したり、刑務官が介護をしている有様だ。刑務官からは、認知症の受刑者について、自分の罪も覚えておらず、なぜ自分が刑務所に居るのかも分からない人が年々増えており、これらの認知症の受刑者について、もはや刑務所に入れておく意味が分からないといった声すらも出ているという。もはや刑務所とは何かと考えさせられる程までに状況は深刻である。


それが異世界転移後にどうなるか?ただでさえ現在でもこの有様なのに、犯罪件数が増えたら、はっきり言って現在よりも目に当てられない様な状態となるだろう。日本は超少子高齢化社会なのだ。


恐らくは現在の比にもならない位の介護施設化、老人ホーム化が進行する恐れがあるだろう。そうなるとまず、年寄りの受刑者は鉱山労働者としては当然使い物にはならない事が予想されるが、一方で若い犯罪者も増えるのだから、それを使えば良いとも思えるが、ただでさえ、現状の刑務所は介護施設状態であり、2020年からはついに、国は専門の介護士や医師の常駐が必要であるとして、介護福祉士や作業療法士の職員を雇用している。


だが、最大の問題として、日本社会はそもそも少子高齢化が深刻な状態であり、全国的に介護人材が不足している。この状況は異世界転移後においても変わらないだろう。となると、受刑者が増えた分だけ雇う介護士も当然、多くなる可能性があるが、この場合、刑務所の外にも当然必要な人材が刑務所にも吸い上げられるという状況に見方によってはなるのだ。


であるならば、刑務所に使う国の予算や、刑務官や他職員の負担を少しでも減らす為にも、国としては若い受刑者には介護士資格を取らせて高齢受刑者の介護業務をやらせるという方策を採ってくるという可能性が高くなってくるだろう。年寄り受刑者同士による老々介護では限界がある。だからこそ、国は介護士職員の導入を決定したのだ。もちろん、全ての受刑者を介護士にする必要は無いかもしれないが、それでも、それなりの数が介護人材として取られる可能性がある事を考慮すると、はたして、どれだけの数を鉱山労働者として抽出できるかは不透明だ。


この様に鉱山労働者としての有効性には疑問符が付く可能性があるが、それでも、若い受刑者に介護士資格を取らせる場合、これは別の意味では、ある意味、有効に機能する可能性がある。受刑者に介護士資格を取らせて出所後に国が介護士の仕事を斡旋する等の仕組みを導入すれば、ただでさえ不足している介護人材を補う手助けにはなるだろう。前科があると再就職が難しいとは良く言うが、介護士は万年人手不足である為、これならば犯罪者の社会復帰策としては有効に機能する可能性があるだろう。なんなら、国営で一般よりも安い介護サービスを提供する事もやりようによっては可能かもしれない。


と、話が脱線しそうなので、元に戻そう。


では、次に考えられる手段は、欧米諸国のやり様を真似する事だ。それ即ち移民ブーストである。異世界の地から異世界人の労働者を多数雇用して鉱山労働者とする。これであれば、実際に欧米諸国において移民ブーストは成功している事から有効に機能する可能性は大きいと言えるだろう。とはいえ、これは確かに経済的にはプラスの効果は大きいがそれと同時に様々な問題を発生させる可能性が高い。ハッキリ言って今回紹介してきた全ての手段の中で最も高リスクとなる可能性が高い物だ。


まず、感染症への検疫を考えると、この策はやろうと思っても早期での実現は困難だ。少なくとも本格開始までには2年程の時間は必要だろう。下手に入れて変な病気でも日本国内に持ち込まれたら堪ったものではないからだ。しかし、それ以降には大量に受け入れる事も可能になる可能性が大いにあり、かなりの将来性があると言える。


しかし、ここからがこの策の本格的な大問題なのだが、移民ブーストはやったとしたら将来的に欧米で現在発生している移民問題と同質の問題化が恐らくは不可避の状態となる可能性が非常に高いだろう。これはハッキリ言って最も最悪なリスクだ。欧米と同質の問題化とはそれ即ち、社会が分断され国内で様々な対立が激化すると言う事である。欧米のニュースをウォッチしている人程この懸念は恐らくは理解してもらえるだろう(これが本当の欧米か!)。


次に考えられる手段は徴兵制を実施した上での自衛隊の活用だ。これはどういう事かというと、自衛隊内に戦闘部隊とはまた別に、非戦闘部門の労働部隊を作り、この部隊に鉱山労働をしてもらう。そしてその人員は徴兵制を実施する事により徴収。戦闘部隊に関してはこれまで通り志願してきた者のみで構成する。イメージ的にはソ連やフランスが近い。ソ連軍のイメージはつきやすいとは思うがフランスに関しては2018年にテロに対応する為に政権が新たな形の徴兵制の導入を検討した事があった。この検討された仕組みは実質的には軍役ではなく奉仕義務とされ、慈善団体などでのボランティア活動を義務とする物だった。感覚的にはこの自衛隊の活用というのはフランスで検討された仕組みとソ連軍の中間の様な仕組みである(自衛隊で行う場合はボランティアではなく給与はちゃんと支払われるだろう)。


この手段のメリットは絶対に労働力を確保できるという物である。嫌でも徴兵制である為、それ相応の理由が無ければ、拒否する事はできない。さらに業務内容は自衛隊の任務活動になる為、上記であった様な労働者派遣法等の法律に縛られる可能性は大いに少ないという事である。


しかし、もう既にここまで聞いて気づいている人も当然いるかもしれないが、この方法には大きな問題点が存在する。そもそも、確かに徴兵制を実施すれば労働力を確保できるだろう。しかし、徴兵制を実施すると言う事は憲法を改正しなければならないのである。鉱山で強制的に働かされるかもしれないのに、この様な徴兵制の導入に対して果たしてどれだけの賛成票が入るかは不透明である(いや、恐らく無理では……?)。


例え、この非戦闘部隊に関しては絶対に戦闘任務には活用しないと法制化します!と政府が宣言しても、国民の頭の中には懸念の二文字が恐らくは永遠に離れないだろう。これが導入できる世界線があるとすれば、日本が独裁国家や強権国家にでもならないと不可能かもしれない。


また、これ以外にも問題は存在する。それは在日米軍面・恐怖の種(マネー編)でも紹介した様に軍事組織がビジネスをやると、大抵、碌な事にならないという問題だ。ミャンマー然り、イラン然り、エジプト然りetc。


自衛隊にこの鉱山開発を通じて資金が流入しない場合は、この問題点は払拭できると言えるが、もしも、自衛隊に鉱山開発による資金が流入する場合は注意が必要である。つまりは、自衛隊が鉱山開発を行う事によって自衛隊の懐が温まる様な事は長期的な視野に立って見てみると悪影響が出てくる可能性があるという事だ。


自衛隊が鉱山開発によって資金的な恩恵を受ける。これは即ち、自衛隊が鉱山開発というビジネスを行うという意味に他ならず、さらには、自衛隊に既得権益が与えられているという事を意味する。既得権益は時に人間や組織を狂わす大きな原因となる。


軍隊がビジネスをすると碌な事にならない傾向がある事に関しては詳しくは、在日米軍面・恐怖の種(マネー編)を読んでもらいたい。


さて、とりあえずここまでが、現状で私が思いついた手段だ。ここまで読んでくれた読者の皆さんであれば、最初に言った通り、どれも、どれ程の有効性があるのか不透明な所がある他、効果はあってもデメリットも付きまとうと言った言葉の通りである事は恐らくは分かってもらえたのではないだろうか。


今回の説は実際に起こるかどうかは不明だ。これも冒頭に言った通り、異世界転移後の日本経済は壊滅的な状況である。失業率30~40%もの恐るべき世の中だ。この様な状況下では仕事を選ぶ余裕等、多くの人々には無く、今回紹介した様な労働力不足はどの様な業種においても、起きないかもしれない。むしろ、起きない可能性は十二分にあり得るだろう。


しかし、その一方で実際に欧米諸国で発生している現象から、この様な失業率が高いにも関わらず特定の業種においては労働力が不足するという問題が異世界転移後の日本においても、発生するという可能性も残念ながら十二分にあり得ると言わざるを得ない。


個人的にはこの問題は当たっていない、もしくは、当たっていたとしても軽微で済む事を願っている。異世界転移後の日本でこの問題が発生した場合、その影響はハッキリ言って深刻だ。


まさにこの問題は最も最悪の可能性と称するにふさわしい問題だろう……。


☆おまけ クルド人解体業者問題に対する作者の個人的見解


ちなみに作者のクルド人解体業者の問題への見解としては、この問題、クルド人っていうよりも、そもそも解体業者とか工事業者への取締りが緩々すぎない?って印象ですかね。だってクルド人云々の遥か前から、そこら中で不法投棄だの散々大暴れしてる業者がそこら中に居るんですもの。取締を厳格にやらなければ国籍問わず変な奴らが寄ってくるのは当然な訳で……(実際、外国人とか日本人問わず不法投棄しまくってる業者なんて世の中に腐る程居る)。治安の悪い所には悪い人達が集まってくる。治安ってそういう物では?という感じですかね。


あとは、クルド人へのヘイトの向きが尋常ではない。人口の分母数と起こしてる問題の数で言えばクルド人よりも問題起こしてる国の人なんて他にも沢山あるのに、なんでか良く分からないけど異様にクルド人が注目されている感じがする。何か炎を焚きつけてより燃え上がらせたい何者か(トルコ)でも裏に居るんじゃないかと勘繰ってしまう。


トルコはちょっと前までTRT(トルコの国営メディア)等を使って日本語でプロパガンダを堂々と流していた過去がありますし……(トルコはクルド人勢力絶対潰すマン+オスマン帝国夢見ているマンと中東では化していて大暴れしている事で有名)。少しこのクルド人の問題は状況を達観して冷静に見てみた方が良いんじゃないかなと個人的には思っています。その上でクルド人側が悪いなら悪い。悪い業者は叩かれるべきだけど、流石にここまでクルド人全体が叩かれる程ではないならない。悪くないなら悪くないで、冷静に空気に流されずに分析して見る事が重要だと思います。

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