安全保障面・何かと共通兵器が出てくるかもしれない説
★安全保障面・何かと共通兵器が出てくるかもしれない説→な、なんだってー!
異世界転移後、金欠状態の日本ではもしかしたら、何かと共通規格の兵器が採用されるかもしれない。
世界の軍事事情を見てみると軍事予算を潤沢に付けられない国などでは、何かと共通規格の兵器が作られ採用されている傾向がある。
これはどういう事なのかと説明すると、例えば中小国の海軍には対戦車ミサイルをなんちゃって対艦ミサイルとして採用している国や、陸上用ロケット砲を艦載用にしている国、戦車砲を艦砲として採用している国、至って一般的な対空機関砲をCIWS化したりアンチマテリアルライフル化して採用している国など様々だ。
実例を挙げれば以前、安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性でも紹介したルーマニア海軍のF-45 Mihail Kogălniceanu系やF-178 Smârdan系のモニター艦ズは共通規格化の良い例で、ルーマニア海軍のこれらの艦船の場合、主砲にルーマニアのTR-77やTR-85などの戦車に戦車砲として採用されているM1977対戦車砲を主砲として搭載しこの他、多連装ロケット砲や機関砲、機関銃もほぼ全てがルーマニア軍で陸上で運用される装備と同規格の物が採用されている(対空ミサイルに至ってはただの携行対空ミサイル)。
同じく安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性でも紹介したウズベキスタン海軍のпроекта 1204も主砲と多連装ロケット砲は陸上兵器と同規格の物だ。なお、проекта 1204はウズベキスタン海軍が設計した物では無く、旧ソ連が開発した物(ウズベキスタンはソ連構成国)。旧ソ連は巨大な軍隊を保有していた為、至る所で共通化された兵器の運用が見られた。そして旧ソ連と交流の深かった国々ではこのソ連の流れを汲んだ兵器開発が行われている所が数多くみられる。
毛色は違うが、コロンビア海軍のPAF-III、PAF-IVと呼ばれる哨戒艦シリーズも搭載している武装はブローニング重機関銃とMk19 自動擲弾銃だ。哨戒艦ゆえ、これはこれで有りだが、兵器の共通化という面で見ればこれも陸上等で使用される武装を共通の武装として採用していると言える。
この他、北朝鮮海軍も主砲に戦車砲(戦車砲塔をまるっとそのままではない)を採用した艦船を運用している。
イランでは、世界的にはおなじみの機関砲であるZU-23-2を様々な面で魔改造している事で有名だ。例えば、ZU-23-2を魔改造して6連装や8連装にして連射性能を向上させCIWS化した対空システムや、一発ずつ撃てる様に改造してアンチマテリアルライフルとした物などを開発している。これらのZU-23ファミリーとも言える装備類は陸軍や海軍を問わずに幅広く運用されている。まさに共通規格化のお手本とも言える状態と言えるだろう。なお、ZU-23-2はイランを含めて、様々な国や勢力で、そのままの状態でも本来は対空用の兵器であるが、対地上攻撃によく使用されている。
とりあえず、例を挙げるとこんな感じだろうか。この他にも探せばそこら中で見られる為、ミッケ!感覚で探してみると面白いかもしれない。
さて、この様な兵器の共通化を図るメリットはなんであろうか。
一見すると非合理的にも思える。単純に高い攻撃能力を求めるのであれば、艦に戦車砲など搭載せず、ちゃんとした艦載砲を搭載した方が遥かに良いだろう。対艦ミサイルにしたって対戦車ミサイルを対艦ミサイルにするよりも、ちゃんと対艦ミサイルを採用した方が遥かに攻撃力を得られる。哨戒艦を作るにしたって、歩兵火器の延長線上の装備ではなく、海上保安庁の様に20mm多砲身機関砲やMk.3 40mm単装機関砲を搭載した方がずっと良いだろう。CIWSにしたってそうだ。ZU-23-2を魔改造するよりも、ちゃんとCIWSとして最初から導入した方が良いだろう。何故なら、イランの魔改造ZU-23対空システムはファランクスに匹敵もしくは凌駕する程の連射性能でそこは優れているものの結局は元がZU-23-2である為、マガジンの装弾数に問題があり1分も撃てないとされる。にも関わらず、世界中にはこの様な一見、非合理的に見える兵器が溢れている。
むしろ日本の様に使用用途でしっかりと分かれている傾向のある国の方が珍しいかもしれない。日本でも共通の装備を全く使っていない訳では無いが、それでも他の国の軍隊に比べれば遥かに使用用途は分かれている方だ。
(日本や欧米やソ連・ロシア、旧ソ連構成国、旧東側諸国を問わず行われているもので良い例が共通車体化。共通車体とは例えば戦車の車体が他の種類の違う戦闘車両にも応用されている物の事。例えば、ロシア軍のアルマータ戦車は装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車、重歩兵戦闘車、自走砲などに応用されファミリー化されている。自衛隊でも戦車回収車などは90式戦車の車体の一種。つまり、この例でも分かる通り日本でも規模は少ないが行われている)
なぜなのか。それはこれが非常に経済的に合理的であるからに他ならない。
例えばだ。艦船に艦載砲として戦車砲を採用すれば、ちゃんとした艦載砲を生産しないで済む。工場の生産レーンは戦車砲の生産レーンをそのまま使えるし、砲弾も戦車と同じだから、ちゃんとした艦載砲用の弾は必要無く砲弾の生産レーンは戦車砲用の弾の生産レーンをそのまま使える。対戦車ミサイルを対艦ミサイル扱いにすれば、工場の生産レーンは対戦車ミサイルの生産レーンをそのまま使えるし、ミサイルも陸上用と同じだから、ちゃんとした対艦ミサイルは必要無い。安価な機関砲の魔改造も多くの部品が共通している訳だから既存の工場の生産レーンも使えるし弾薬も同じ物を用意すれば良いだけ。
輸入品にしたってそうだ。戦車砲とちゃんとした艦載砲、対戦車ミサイルと対艦ミサイル、安価な機関砲とちゃんとしたCIWS、どれを採用したら安く済むかは一目両全だ。
つまり、安くすむのだ。これらの共通化して得られる最大のメリットはコストを抑えて生産や調達を行う事ができるという事だ。軍事予算を節約する事ができる。
生産する事前提で言えば、生産レーンを1つにするのと生産レーンを2つにするのとでは掛かるコストに雲泥の差がある。
例えば、ロイヤル・オードナンスL11・120mmライフル砲とラインメタル120mmL44滑空砲の両方の戦車砲を製造するとしよう。当然、砲火器を作るには高価な製造装置が幾つも必要な訳だが、同じ口径でも別の種類の戦車砲である為、別々に製造装置を用意する必要がある。非常に高いコストだ。さらに当然、砲弾も同じ砲弾は使えない為、別々の専用弾を使う必要がある。使う必要があると言う事は作る訳だが、これもまた別々に製造装置を用意しなければならない。
また、大量生産によるコスト削減にも支障が出る。物を大量生産すると、単価を抑えるという効果が存在する。ボールペンで例えると安価なモデルで製造数5000本のボールペンの1本辺りの単価は67円(最安価のモデルは作者リサーチで55円)、1000本で84円、200本で99円。この様に、製造数が多ければ多い程、単価を抑える事ができる(ちなみに、ごく一般的なボールペンも100円切ってるのが多い。上質なボールペンでも市販で見かけるやつの多くが200円以下の単価の場合が多い(※店による)。世に溢れる物がどれだけ値段をかさ増ししているかがよく分かる)。この効果は砲弾も同じで製造数が多ければ多い程、単価は抑える事ができる。
しかし、例えば戦車が200両あったとして、その200両分の砲弾として8000発の砲弾を調達するとする。この時、200両の内、ロイヤル・オードナンスL11・120mmライフル砲とラインメタル120mmL44滑空砲を半々(100両ずつ)の数で採用している軍隊と、全ての戦車をどちらか一方の戦車砲で統一している軍隊とでは、ほぼ確実に半々ずつ採用している国の方が砲弾の製造コストは高いだろう。何故なら、2種類の砲を採用し砲弾もそれに合った砲弾がそれぞれ生産されている為、生産される砲弾の数が少ないからだ。
なお、今の話はかなり簡潔にしているが、実際はもっと複雑だ。例えば、90式戦車の製造元は三菱重工業や日本製鋼所だというのは有名であるが、実はなにも三菱重工や日本製鋼所だけで作っている訳では無い。なんと、90式戦車1台を作るだけで約1300社の企業が。F-15戦闘機は約1100社。護衛艦は約2200社の企業が製造に携わっているという。
まぁ、これは考えてみれば当然の事で、コンピューターの基盤は?基盤の各部品は?画面は?ネジは?色々と考えてみれば三菱重工業や日本製鋼所だけで作れる訳が無いというのは分かるだろう。三菱重工業や日本製鋼所はアニメに出てくる様な何でも作ってるし、やってる超巨大財閥企業ではない(そんな超巨大企業は日本には存在しない)。
戦車1台作るだけでもこれだけの数の企業が関与しているのだ。つまり、兵器の製造は一大大事業なのだ。はっきり言って生産レーン1つを用意するだけでもかなり大変な事業なのに2つも用意するとなると、それだけ国が抱える兵器生産ラインが複雑になるのだ。そして複雑になるという事はそれだけ予算等のコストがかかる事になるのだ。
この前提の上で異世界転移後の金欠日本の安全保障を考えると、もしかしたら異世界転移日本も先ほどの国々の例に倣う様に兵器の共通化が何かと図られるかもしれない。予算節約の為にだ。
行われる可能性が高い物を考えると、まず真っ先に思いつくのは戦車や装甲車のファミリー化だ。
つまり、ソ連やロシア軍が行った様に戦車、装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車、重歩兵戦闘車、自走砲など幅広い共通化された車体を使用できる車体の採用だ。これは自衛隊が異世界転移後に新しい主力戦車などを出す時に検討される可能性があるだろう。
また、ロケット弾ポッドの配備拡大も考えられる。これはミサイルなどの精密誘導兵器は高コストである為、苦肉の策として安価に量産が可能で導入がされる可能性が恐らくは非常に高い武器だ。ロケット弾ポッドは日本においては戦闘ヘリコプターや偵察ヘリコプターに搭載されている空対地用のロケット砲だが、これがヘリコプター以外にも様々なジェット戦闘機などにも配備が大幅に拡大される可能性があるだろう(昔は航空自衛隊もロケット弾ポッドを搭載していたジェット戦闘機もあったが、現在はヘリコプター系での運用のみ)。
また、ロケット弾ポッドは航空機に搭載しての運用が主であるが、汎用性が高く、即席兵器として陸上車両に搭載して地対地ロケット砲としての運用もやろうと思えば可能である。この様な運用のされ方は世界各地の紛争、内戦、戦争で行われており、最近では世間で有名どころの戦いではシリア内戦、リビア内戦、イエメン内戦などで見られ、ウクライナにおける戦争でもロシア軍やウクライナ軍によるロケット弾ポッドを搭載した車両が地対地攻撃を行っている。ちゃんとした地対地ロケット砲と比べると射程距離や命中精度などで難があるのが問題点だが、異世界勢の脅威度が精々、地球における古代から中世レベルであれば、この様な運用を行っても問題は無いだろう。また、ポルトガル植民地戦争ではなんとロケット弾ポッド用のロケット弾を即席手持ちロケットランチャーを作って運用していた事例もある為、工夫次第で幅広い運用が可能である。DIYかな?(すっとぼけ)。
他に思いつく事は戦車砲もルーマニアや北朝鮮の様な共通化(陸海での使用)が状況次第では考えられるかもしれない。
というのも、例えば、異世界転移後に日本が何らかの理由で日本を飛び出して外征をしなければならなくなり、世界各地に展開しなければならなくなった場合に自衛隊は戦力増強に迫られる事になる可能性がある。この場合、以前の様な高級兵器(イージス艦など)を新たに作る事は現実的ではなく、作られるとすれば、以前、安全保障面・装備面における対中世文明及び対魔法編や、安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性でも度々、指摘している様な現代から見て二線級戦闘艦(ポルトガル植民地戦争におけるフリゲートやコルベットの性能レベルの艦艇※ポルトガル植民地戦争レベルの艦艇は別に戦争やってなくても普通に導入される可能性は非常にある)や三線級戦闘艦(安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性のおまけで紹介した様な性能の艦艇)に分類される様な戦力となる可能性がある。この場合、特に三線級戦闘艦を配備する場合に主砲を戦車砲にするというのは相手が地球における中世から古代程度の脅威度しかない相手には全く問題ないだろう。安全保障面・自衛隊装備における対中世文明及び対魔法編でも解説した通り、中世から古代程度の脅威度しかない相手から見る現代兵器はどれもこれも超兵器なのだ。
この他、海上交通面・治安編で紹介した様に貨物船やタンカーを武装させる必要が出てきた場合にも戦車砲というのは選択肢としてはあり得る話だろう。
戦車砲以外で言えば、安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性でも紹介した様々な面で運用ができる機関砲というのも様々な場面で使えるという事を考えれば、安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性で紹介した様な運用のされ方をしたとしたら、陸海で使える共通兵器と見る事ができるだろう。
多連装ロケット砲も再配備&配備拡大される可能性がある物の一つだ。なお、この場合における多連装ロケット砲にはM270 MLRSの様な高価な多連装ロケット砲ではなく、どちらかと言えば、75式130mm自走多連装ロケット弾発射機や、ソ連が開発しその後、現在まで様々な国々で運用がされている傑作ロケット砲のBM-21グラートの様な安価な部類のロケット砲だ。
日本では75式130mm自走多連装ロケット弾発射機の様な形式の多連装ロケット砲は75式130mm自走多連装ロケット弾発射機の退役以降は、M270 MLRSの様な超高価な超高精度ロケット砲に置き換わって以降、消滅していたが、これが復活するかもしれない。理由は発射機も含めてロケット弾の製造コストや価格が安価である為だ。命中精度はMLRSと比較すれば非常に低下するものの、それでも、中世から古代程度の文明度の脅威度を相手するには何ら問題はなく超兵器として機能する。
多連装ロケット砲は多くの国では様々な場面で重宝されている一種の汎用兵器としての側面がある。多連装ロケット砲と聞くと陸での運用をイメージするかもしれないが、実は多くの国では陸での運用方法以外にも海や河川での運用が良く行われている。異世界転移後の日本においても、この様な運用方法は導入される可能性があるだろう。なぜならば、中世から古代程度の文明度の脅威度の相手をするにはこれでも十分だからだ。
もしかしたら、異世界転移後の海上自衛隊の艦船の中にはF-45 Mihail Kogălniceanu系、F-178 Smârdan系、проекта 1204、下記のブーヤン型、ポモルニク型エアクッション揚陸艦、タピール級揚陸艦、ロプーチャ級揚陸艦、Captain de Fragata David Eyama Angue Osaなどなどetc……の様に陸上運用されている多連装ロケット砲と全く同規格の多連装ロケット砲を搭載している艦船もあるかもしれない。もしも、この様な陸海での運用のされかたが、されている場合は、共通兵器と見る事ができるだろう。
多連装ロケット砲を搭載した艦船は、実例を挙げるなら、度々登場しているルーマニア海軍のF-45 Mihail Kogălniceanu系やF-178 Smârdan系のモニター艦ズや、ウズベキスタン海軍のпроекта 1204は多連装ロケット砲を搭載している世界の艦船の中の一つだ。これ以外ではロシア海軍のブーヤン型コルベット、ポモルニク型エアクッション揚陸艦、タピール級揚陸艦、ロプーチャ級揚陸艦などはそれなりに有名だろう。日本では余り有名ではないマイナー所から一つ紹介するとすれば、赤道ギニア海軍のフリゲート艦Wele Nzasを筆頭とした赤道ギニア海軍艦船も多連装ロケット砲を搭載し運用している(赤道ギニア海軍とかいう、近年爆発的に海軍力を増強してる、いつ調べても調べれば調べる程、英国面臭と何処か似た匂いが漂うトンデモ海軍。謎の艦艇Captain de Fragata David Eyama Angue Osa……(なお、この船はBM-14多連装ロケット砲を搭載。BM-14はカチューシャの後継ロケット砲として開発された物)揚陸艦なのか揚陸艦ヘリコプター空母なのか水陸両用フリゲートなのかハッキリしろ!水陸両用フリゲートって一体なんだんだ……(困惑))。
あと、共通化で考えると自動小銃も考えられるかもしれない。ただ自動小銃の場合は様々な場面で使われるという意味での共通化とは違う話ではあるが。
というのも、もしかしたら異世界転移後、自衛隊は自動小銃を新たな物に更新するかもしれない。もしくは、既存の自動小銃の新規生産を抑えて新たな自動小銃を導入する可能性があるかもしれない。何故かと言えば、日本の自動小銃はお値段が高いからだ。
89式5.56mm小銃と20式5.56mm小銃のお値段は1丁辺り凡そ30万円だとされている。これは世界各国の自動小銃と比較すると非常にお高い部類のお値段である。参考までにアメリカのM4A1は8~9万円、AK47は最安価だと3000円から(ただし正規軍向けは15000円~29000円程)、AK103は23000円~、HK416は20万円~、ステア―AUGは35万円~となっている。
異世界転移後の日本の切羽詰まった状況を考えると30万円の自動小銃は値段が高すぎると判断されてもおかしくはない。この為、より調達価格を抑えた自動小銃の導入が行われる可能性があるだろう。
そして、ここからが共通化の話になってくるのだが、日本における自動小銃の市場という物を考えた場合、もしかしたら異世界転移後の日本は転移前と比較してその市場が拡大しているかもしれない。
というのも、転移前は日本が製造する自動小銃の主要な顧客は当然、自衛隊や海上保安庁だけであったが、異世界転移後はもしかしたら、これに加えて新たな顧客として、在日米軍やロシア軍等の外国軍や、場合によっては民間軍事会社や警備会社や警察も顧客に加わる可能性がある。
外国軍には自らの力で新たに装備を大規模に調達する手段が殆ど存在しない。この為、日本を頼る可能性がある。民間軍事会社や警備会社は国内や国外の情勢に左右されるものの、国内の治安悪化に際して最悪の場合、配備する必要が出てくるかもしれないし、海上交通面・治安編で紹介した様に異世界の情勢次第では海賊や魔物対策で必要になるかもしれない。
こうなると、もしかしたら自衛隊、海上保安庁、警察、外国軍、民間軍事会社、民間警備会社を股に掛けた統一規格の自動小銃という存在が生まれる可能性が存在するだろう。ここまで広範囲に同じ自動小銃を使う状況にはならずとも、もしも、この内の3組織か4組織かが同じ自動小銃を採用する様な事があった場合は、これも充分に装備の共通化と言える状況と言えるだろう(組織間での共通化)。
この様に、予算の節約の必要性から、日本においても様々な兵器の共通化が何かと図られる可能性はあると言えるだろう。
★おまけ 共通自動小銃が導入される場合、どんな物になるのかを考えてみた。
まず、日本政府が求める自動小銃は安い物だろう。日本政府からすれば、安ければ安いほど良い。しかし、安すぎても性能の問題が出る。例えばAK47を導入すれば、その調達価格は上手くいけば3万円以内に収まる可能性がある。だが、AK47は生産性が高い反面、性能がそれまで使用していた自動小銃と比較すると低下してしまうという問題点がある。一方で高すぎれば予算を節約するという本来の目的から本末転倒となる。安さを求める財務省と性能を求める防衛省という構図になる可能性がある。こうなると安過ぎず、高すぎない絶妙な価格ラインが求められるだろう。
さて、予算的にはこうなるとして、各勢力が求める物を考えてみよう。日本が新型の自動小銃の開発を行う場合、国内の様々な勢力(自衛隊、海上保安庁、警察、外国軍、民間軍事会社、民間警備会社)が参画する可能性がある。外国軍は自動小銃の安定的な調達先が必要である為、日本政府と交渉を持つかもしれないし、民間軍事会社や民間警備会社も安価な自動小銃の調達を目指して交渉を持つかもしれない。
日本政府としても様々な勢力が参画してくれるのは良い事だ。なぜならば、それだけ需要が生まれる訳だから単価を抑える事ができる。
自衛隊や海上保安庁が求める物は既存の物よりは安くて性能のできるだけ良い物だろう。調達価格的には10万円~20万円くらいで調達できる物を目指すのではないだろうか。何故ならば、自衛隊や海上保安庁としては恐らく、この計画は本来は余り乗り気ではない可能性がある為だ。何故ならば、調達額を抑えるという事はそれだけ性能が低くなってしまう可能性がどうしても出てくる。自衛隊や海上保安庁としては国防を考えて、ある程度の額になっても性能の良い物を求めるだろう。それに自衛隊や海上保安庁は下記の勢力に比べれば、国から潤沢な予算をつけられている方である為、正直言うと下記の勢力に比べれば、そこまでは切羽詰まってはいない。もっとも、普段から予算的に自衛隊に比べて冷遇されている傾向のある海上保安庁はもしかしたら、下記の勢力側についてしまう可能性もあるが。
一方で外国軍はというと恐らくは自衛隊や海上保安庁が求める10万円~20万円が高すぎると考えるだろう。精々10万円を切ってくれないと困ると考えるかもしれない。何故ならば、国内の外国軍は日本の国防組織や治安組織よりも金欠で切羽詰まっているのだ。ハッキリ言って安ければ安いほど良いと考えてもおかしくはない。10万円以下は譲れないラインかもしれない。アメリカ軍は恐らくM4A1位の価格の物を、ロシア軍は元から配備しているAK系統の価格から考えると4万円~5万円以下を求めるかもしれない(※これは北方領土のロシア軍がどのAK系統の銃を配備しているかによる。最新のAK12が配備されている場合、価格は14万円の為、これ位の価格の物を求めるかもしれない)。民間軍事会社や民会警備会社としてもできるだけ安い物を求める可能性は高いだろう。安ければ、それだけ会社の出費を抑える事ができるからだ。
各組織で広く使用される自動小銃を作ろうとする場合、日本政府はこれら顧客になり得る国内の様々な勢力の要望を聞いてその上で価格帯や性能を決める事になるだろう。
開発面では恐らく既存の銃火器を参考に開発する事が予想される。まず、日本がこれまで自国で開発されてきた銃火器の類は当然のごとく参考にされるだろう。開発の経験値で言えばこれまで生産してきた物の方が、作り慣れている。
一方で外国の銃火器も参考にされるだろう。アメリカ軍のM4A1とか安価な銃の代表作であるAK47系統の銃火器も参考にされるだろう。これ以外にも多くの銃が参考にされる可能性がある。そして、それらを踏まえて幾つかの案が出されるだろう。それは新規で開発した新しい自動小銃かもしれないし、もしかしたら、既に既存で存在している何処かの国の自動小銃という可能性も考えられるだろう。
開発企業は恐らくは日本の銃火器メーカーである豊和工業、ミネベアミツミ、住友重機械工業、ミロクのいずれになる可能性が高いと思われるが、良い自動小銃の案が出てこない場合は、苦肉の策として場合によっては国内の工業メーカーから様々な案を集めてコンベンションという形になる可能性もあるかもしれない。
日本国内の銃火器メーカーは上記の4社しかない為、それ以外の会社からも案を募るというのは中々ハードルが高いかもしれないが、外部の企業の参入を促す事で何か良い案が出てくる可能性もあるかもしれない。
例えば民間企業で何か別の製品の製造に使われていた技術を自動小銃の製造に流用する事でコスト低下を行える事もあるかもしれない。実際、自動小銃ではないが、例えばAとBの2つの異なる商品があるとしてAの一部の技術がBの技術として使える様な話もビジネス関連のニュースを見ていればたまに聞こえる話だ。
日本国内の企業は経済が壊滅している影響の為、政府からの発注が上手くいけば得られるかもしれないという話であれば、死ぬ気で考えるだろう。恐らくだが、上記4社は日本政府から貴重な銃火器メーカーとして支援を受けられる可能性がかなり高い為、支援を受けられない企業であったり、支援が少ない企業の方が開発に対する意欲であったり、やる気という面で見れば、後者の方が高い可能性がある。なぜなら前者は潰れる可能性が低い一方で、後者は倒産の可能性があるからだ。受注を受けようと死ぬ気で色々考えてくれる可能性がある。
これまで通りの4社か、あるいは外部の企業も交えての開発か、もしくは完全に外部の企業による開発か、いずれにせよ何らかの手段によって新しい自動小銃の案や製造企業が決まるだろう。
それによって製造される物が、はたしてどういう物になるのか。
日本のこれまでの自動小銃の系譜を組んだ自動小銃になるのか、それとも日本の系譜の自動小銃と外国の自動小銃のハイブリット自動小銃となるのか、外国の自動小銃の設計を大いに参考にした自動小銃となるのか、あるいは完全に外国の自動小銃の模倣品となるのか。
結果は分からないが、私のこれを書いている上での感覚で言わせてもえば、私的には値段的に10万円台くらいが落としどころではないかと思う。
というのも、例えばアメリカ軍のM4A1が8万円~の値段で収まるのはそれだけ大量生産が行われているからだ。アメリカ軍の総兵力は143万人、それに加えて州軍、沿岸警備隊、警察、FBI、最高裁判所警察、合衆国議会警察、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局、麻薬取締局、シークレットサービス、保安官etc……、さらには外国の軍隊や警察にまでと、日本と比較すればとんでもない規模で配備がされているし、民間人向けや民間企業向けでも大量に生産がされている。つまり大量生産によって単価が抑えられている側面がかなりあると思われる為だ。これと同じ規模で日本が配備を行うのであれば、8万円で収まる可能性もあるにはあるが、日本がアメリカ並みか南米並の治安状況の修羅の国にでもならなければ、流石にこの規模での配備は余り考えられないだろう。
AK47系統であれば値段は3万円台をキープできるかもしれないが、そちらは先ほど言った通り、性能面の問題が出てくる可能性がある。
となると10万円台の値段に落とし込めればかなり上出来な話だとは思う。自衛隊や海上保安庁だけでなく警察、外国軍、民間軍事会社、民間警備会社の幅広い範囲で運用されるのであれば、頑張ればこれくらいの値段に落とし込めるかもしれない。
在日米軍はこの値段では難色を示すかもしれないが、そこはまだ日本政府側の交渉次第でなんとかなる可能性がある絶妙なラインだろう。10万円台という値段は。
問題はそれ以外の外国軍やロシア軍、民間軍事会社や民間警備会社だ。これらの内、外国軍の運営状況は在日米軍よりも遥かにかつかつだと思われる。特に在日米軍や北方領土のロシア軍とは違い、偶然、日本やその近くにやって来ていて転移に巻き込まれた可哀そうな外国軍は運営資金を得る地盤が当然の事ながら脆弱である事から、もっと安くしてくれと言ってきてもおかしくは無いだろう。
ロシア軍はと言えば北方領土の天然ガスや海産物を日本に輸出する事により、経済的には好景気である可能性があるが、北方領土のロシア軍部隊が元々使用している自動小銃がAK12の様な最新バージョンではなかった場合(ちなみに作者が北方領土のイベントの映像で確認した限りではAK74Mを確認。AK74Mの値段は3万7千円)、当然、今、自分達が使っている位の値段の物を求める可能性がある為、10万円とか高すぎぃ!と揉める可能性がある。
民間警備会社や民間軍事会社は、単に安くできれば経営的に見て、それだけお得な為、もっと安くしてくれ!と言ってくる可能性があるだろう。それに国内の治安状況へ対応をするにしても、アメリカなどと違って自動小銃類が散乱していない日本では、AK47レベルの自動小銃だけでもオーバーキル武装だし、異世界の地で何かをするにしても、異世界の勢力の脅威度が中世から古代程度の脅威度であれば、どの道、AK47レベルの自動小銃でも十分に超兵器な訳だから、なんでAK47レベルでも済む相手に10万円台も金を積まなければならないんだ!と反発がある可能性があるだろう。もっとも魔物対策であれば、10万円台でも納得する企業は多いかもしれないが、企業によっては、やはり民間である為、魔物対策であっても、もっと安い物を!という声が出る可能性はあるだろう。
となると、状況次第では10万円台でOK派と、10万円台ではダメー!派が出てくる可能性があるのではないかと思う。
こうなった場合の可能性としては幾つか考えられて、1つ目は10万円台案の導入をやめて10万円以下の自動小銃に考え直すか、2つ目は10万円台の自動小銃と10万円以下の自動小銃の二種類を作るか、3つ目は10万円台でゴリ押おすか等が考えられるだろう。
1つ目は読んで字のごとく単純明快として、2つ目は少々、コストは嵩むかもしれないが、不満の声を完全払拭する案としては両派が頷ける案。3つ目は、政府が、ええーい!うるさーい!10万円台と言ったら10万円台にするのー!!という事になる。
なお、3つ目が発生した場合の10万円ではダメ―!派のその後の動きとしては、これも幾つか予想されて、1つ目は、トホホ、、、もうその値段で良いよぉぉぉ(TT)という状況。2つ目はだったら安い銃を俺らが作ってやるぜー!!という状況。3つ目は10万円台ではダメ―!派が二つに割れて、トホホ、、、もうその値段で良いよぉぉぉ(TT)派と、だったら安い銃を俺らが作ってやるぜー!!派に分かれるという状況。のいずれかが起こると思われる。
2つ目、3つ目の状況が発生する場合、その開発拠点は恐らくだが北方領土になる可能性が高いのではないだろうか。というのも、この派閥はもう1から自動小銃を作るというのはせずに普通にAK系統の自動小銃を生産する可能性が高いと思うのだ。何故なら、この派が求めている物はまさにAK系統の安価な自動小銃の性能と価格その物だからである。
それに開発面でも日本政府が決定した方針に従わずに、勝手に作る事を認めるとは余り思えない。作れるとすれば、完全に日本の統治が及ばない北方領土だろう。北方領土のロシアは恐らく異世界転移後に倒産した日本企業の工作機械類を入手している可能性がある。それらを使えば、AK系統を良く知っているロシア軍と、日本からの失業して職を失った技術者を誘致する事で、開発する事は可能だろう。AK47であれば、実績として、実際に世界各地の町工場レベルの環境で生産している現状があるのだ(パキスタンでは驚異の3000円で売られている※ただし、正規品に比べれば質は劣る)。ちゃんとした軍人と技術者がセットになれば、生産は容易だろう。しかも、場合によっては日本企業の中から、この北方領土でのAK系統の開発に対して協力企業が出てくる可能性すらもある(会社の経営状況が苦しいから北方領土で再起を図るという選択肢がある)。
また、北方領土ではなく、日本国内で日本の企業が日本政府の認可を受けて開発が行われる可能性も当然ある。今説明した様に状況次第では北方領土に日本政府の管理下に無い製造拠点が出来てしまう恐れがあるのだ。さらには北方領土にそのメーカーができる為、当然、そのメーカーの売り上げから得られる税金も北方領土のロシアに入る。ロシアの得られる資金が増えてしまうのだ。ただでさえ、北方領土は天然ガスと海産物によって人口割りで日本よりも好景気になっている可能性がある。日本政府としては、そうした状況にさらにプラスになる様な状況は余りよろしくは思わないだろう。となれば、日本国内での開発と販売をちゃんと許可して生産を行わせる可能性がある。それにもしも、コスパの良い銃ができる様だったら、日本政府としては将来的にそのメーカーの銃を使うという選択肢も作る事ができるのだ。何故ならば、北方領土に製造メーカーができれば、それはもうロシア企業だ。しかし、日本国内に出来ればそれは日本企業なのである。
もっとも、今回は共通自動小銃を作るならという題名で考えたが、仮にその様な計画が立たなくても、外国軍の場合、在日米軍とロシア軍に限って言えば高い性能さえ求めなければ、在日米軍の地域内でも北方領土でも独自に生産体制を整える事は恐らく可能である事は一応書いておこう。手段としては先ほども書いた異世界転移によって倒産した日本企業の工作機械を入手し、失業であふれた技術者を集める事だ。これによって一応は銃火器を生産する事は可能である。
ではなぜ、自分達で自動小銃の製造が可能であるならば、共通自動小銃の計画が日本政府から出てきたとして参加する可能性があるのか。それは単純に在日米軍やロシア軍からみてこの話に乗っかり、自分達の求める物が採用された場合には、その方が経済的にも軍事的にもコスパが良いからだ。いや、厳密にはコスパが良くなる可能性があるからだ。
自分達で製造施設を作っても、そこで生産される銃火器の性能は今まで使っていた物よりは、どうしても低下を余儀なくされる可能性がでてくる。レベルの高い工作機械を入手しても、技術者が頑張って性能の低下を抑える事が出来たとしても、その生産性は恐らくは、かなり低いだろう。ちゃんとした工場ではないのだ。当然と言えば当然と言える。ロシア軍の場合は第18機関銃・砲兵師団は3500名、航空宇宙軍や国境警備隊、海軍を含めても1万人には達しないと予想できる為、低い生産性でも案外なんとかなるかもしれないが、在日米軍の場合は大変だ。規模が違い過ぎる。
(※なお、2023年現在の北方領土のロシア軍の戦力は不明な点が多い。ウクライナ侵攻によりロシア各地で部隊の配置転換などが行われており、現在、北方領土にどの様な戦力が駐留しているのかがよく分かっていない)
そして、一番の問題は本当ならば恐らくは自動小銃の製造なんかに、せっかく入手した工作機械を使いたくないだろうと予想出来る事だ。製造が容易な自動小銃よりも恐らくは、軍用車両、航空機、艦艇などの部品製造にそれらは使用したい筈だ。入手した工作機械だけでも本来必要とする機械量には恐らくは足りていないだろう。であるならば、自動小銃よりも軍用車両、航空機、艦艇の整備用に全力投入したい筈だ。自動小銃を生産するという事は貴重な入手した工作機械の生産力を分散させることになる。
例えば、工業系企業で使用されている様な、高性能な工業用3Dプリンターを入手すれば、M4A1も性能を落とさずに製造が可能だろう。今や3Dプリンターは建物から航空機や自動車の部品に至るまで様々な製造が可能となっている。実際問題としてこの様な3Dプリンターを在日米軍や北方領土のロシア軍は求めているだろうし、入手難易度は日本経済が転移によって壊滅的な影響を受けている為、倒産した企業から入手する事のハードルは非常に低いだろう事は簡単に想像でき、日本政府や関係機関による入手妨害の処置も、日本の機関は転移によって他の重要な仕事が山積み状態で過労死寸前にまで大忙しになっていると到底予想できる為、手が回らない可能性が高く(そもそも機材集めされている事にさえ気づかない可能性すらある)、日本国内に潜んでいるエージェントを使う事により容易に入手が可能である可能性が非常に高いだろう(転移前ですら日本は世界有数のスパイ天国として名が知られている)。しかし、その様な高度な3Dプリンターを銃の製造の方にまわすのならば、航空機や自動車の部品やはたまた、他の武器の部品の生産を行った方が良いのではないか?と思うのは当然の発想だろう。
であるならば、もしも共通自動小銃なんて話が出てきた場合には、自分達の欲している自動小銃が手に入るのであれば、計画に乗れば、自分達でやるよりも遥かに生産性の高い生産工場をタダで日本政府が作ってくれて、自分達は自分達が入手した工作機械を自動小銃の製造なんかには回さずに、日本が生産した自動小銃をただ買うだけで良いのだ。非常に効率的である。
この為、共通自動小銃なんて計画が出てきた場合には外国軍が乗る可能性は大いにあるのだ。




