表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/82

安全保障面・異世界ファンタジー世界、魔法抜きに空母存在しているかもしれない説

★安全保障面・異世界ファンタジー世界、魔法抜きに空母存在しているかもしれない説→ふーむ


ガレー船に相当する船が存在し、なおかつドラゴンや巨鳥の戦力を異世界の国家が所有している場合、技術水準が中世から古代レベルであったとしても、地球における空母に相当する戦力が存在している可能性が高いレベルであるかもしれない。


これを説明する前にガレー船、ドラゴンやワイバーンや巨鳥について軽く説明しよう。


まず、ガレー船だが、ガレー船とは簡単に言うと複数のオールで推進する大型の船舶である。ガレー船は紀元前の時代に登場した船舶。古代の地中海世界において三段櫂船や五段櫂船といった船が様々な戦闘に投入された。とりあえず、三段櫂船や五段櫂船を知らない人は名前をコピペして検索してみてほしい。


ただ、日本語で検索すると出てくる画像が限定的なので下の「」内の名称をコピペして検索して欲しい。


「τριήρης」「πεντήρης」「quinqueremis」一番左側から三段櫂船。中央と右は五段櫂船。それぞれ出てくる画像が全然違うので時間がある場合はぜひすべてを検索して画像を見てもらいたい。


次にドラゴンやワイバーンや巨鳥だが、これは、まぁファンタジーに触れているのであれば想像は付きやすいので物凄く簡単に説明するとドラゴンとワイバーンは空飛ぶ爬虫類みたいな生物。巨鳥はでっかい鳥。


ファンタジー世界にもよるが、ファンタジー系作品の中にはこれらの生物を使役して軍事的に利用している場合が存在する。作品によっては人間の手には負えない為、戦力化など到底できていないという世界も存在する。


とまぁ、ガレー船、ドラゴン、ワイバーン、巨鳥の簡単な説明は以上だ。


ではここからは中世から古代レベルの技術水準のファンタジー世界に本格的に空母が存在する可能性について説明していく。なお、今回の考察は魔法技術を全く用いくても空母戦力がある場合、どの様な戦力の可能性があるのかについてを考察する。


まず、空母戦力が存在する最前提としてはドラゴンやワイバーンや巨鳥等をコントロール下に置き戦力としている事が最前提だ。航空戦力が居なければ空母は存在しえない。


ガレー船は古代の時代、衝角と呼ばれる体当たり用の装備によって敵船に体当たりをしたり、敵船に横付けして敵兵を送り込んだり、搭載した投石機で攻撃したり、海から沿岸部の城塞を攻略する為の攻城戦などの利用がされていた。


そして、これらの利用に対応する為、様々な種類のガレー船が建造された。しかし、その中には、驚くべき船も存在している。まずはそれを見てみよう。


以前、安全保障面・装備面における対中世文明及び対魔法編でも紹介したが、古代ギリシャの時代にはヘレポリスと呼ばれる巨大な攻城塔を搭載したガレー船が存在した。このガレー船は2隻のガレー船をくっ付け、双胴船の状態とし、その甲板上にヘレポリスを搭載するという船だ。なお、ヘレポリスの高さは40mであったとされる。


また、これも前述の項目で紹介したが古代エジプトのテサラコンテレス(Tessarakonteres)は全長130mの巨大ガレー船で、この船も2隻のガレー船を繋いだ双胴船の状態のガレー船だ。ただし、ヘレポリスを搭載したガレー船とは違い、繋いだ船と船の間の間隔が広く、その間には巨大な甲板が設置されていたと考えられている。なお、この間の甲板にはどの様な物があったのかは議論が分かれている。何も無い広い甲板だという説もあれば、建物が建てられていたのではという説もある。なお、建物が建てられていたという説を採用する場合、その建物は日本の戦国時代の安宅船に天守閣が設けられていたのと同じようにエジプト式の宮殿か砦の様な構造物があったかもしれないという。このテサラコンテレスの様子は「Tessarakonteres」で検索してもらえばその驚異の姿をその目で見る事ができるだろう。


これはある意味、現代人からしたら驚きではないだろうか。重機や精密な計測器や便利な工具などが存在しない古代の人々が主に木材でこの様な巨大船を建造したのである。産業革命により大型の船が作られる様になる遥か以前に古代の人々はそれを成し遂げているのだ。


さて、である。これが私達の地球における巨大ガレー船な訳だが、これらが示す事は、地球における古代ギリシャや古代エジプトに相当する技術力を持っている場合、この様な巨大船を建造する事が可能だという事なのである。異世界が地球における中世や古代レベルの技術力を有していた場合、この様な巨大船を建造できる可能性は非常にあり得ると言えるだろう。


検索して想像図を見た人、もしくは最初から知っている人ならば、思わないだろうか。これらの巨大船はドラゴンやワイバーンや巨鳥等の航空戦力が存在しない地球で作られたのである。これがもしも、最初からドラゴンやワイバーンや巨鳥等の航空戦力が存在している国(古代から中世レベルの文明のファンタジー国家)だったら、できると考えるのではないか。そう、航空戦力を運用可能な船の建造を、だ。


というのもだ、先ほど紹介したヘレポリスを載せたガレー船やテサラコンテレスは、双胴船を採用している。そして最も注目するべき点はテサラコンテレスの構造である。テサラコンテレスは全長130mにも及ぶ長い2隻のガレー船の間を幅の広い甲板で繋いでいる構造である。この甲板に航空戦力を載せればそれはもう空母と呼べるだろう。


また、ヘレポリスを載せたガレー船に関しても、もしもドラゴンやワイバーンや巨鳥等の生物が垂直離着陸ないし鳥の様な飛び方が可能な場合、ヘレポリス位のサイズの巨大な鳩小屋の様な獣舎を搭載すれば出撃時に扉を開けて放つ様にしてもそれはもう空母となる。


この上記の様な空母を建造した場合の問題は純粋な技術力でここまで建造可能ではあるが、遠洋航海が難しいという事である。実際、巨大なヘレポリスを載せたガレー船で遠洋航海をする事は自殺行為であると言えるし(この船の場合、双胴船とは言え、船の全長は通常のガレー船の水準だった)、テサラコンテレスは巨大なヘレポリスを載せたガレー船よりは遥かに安全ではあったが、この船は航海は殆どしていなかったと記録されている。もはや、海に浮いた建物同然の扱いを受けていたとも。なぜならば、小回りが全然利かないので実戦には不向きと考えられた他、4千人もの膨大な数の乗員を必要としたらだ(参考までに戦艦大和の乗組員の人数が3332人)。古代エジプトからしたら、相当な運用コストだっただろう。


だが、巨大なヘレポリスを載せたガレー船はともかく、テサラコンテレスを基準として話すと、近接での戦闘には参加せず航空戦力の展開を目的とするのであれば、建造し運用するメリットはあると言えるかもしれない。また、ここまでの巨大船でなくても、通常サイズのガレー船をテサラコンテレスの広い甲板の様に広い甲板同士で繋げば建造コストを抑えつつ空母化する事ができる。


ガレー船でなくても良いかもしれない。ガレー船の空母としての利用の利点は帆やそのロープの少なさだ。通常のガレオン船や戦列艦の様な帆船では帆やロープが着艦や発艦時に邪魔になる可能性がある。だが、古代ギリシャのヘレポリスを載せたガレー船の様な形態の船から発艦するのであれば恐らく問題は無いだろうし、テサラコンテレスもその広い甲板を使う事で問題を解決できるだろう。


だが、ここで新たに注目するべき点はテサラコンテレスの広い甲板だ。


私は船の専門家ではない為、今から言う様な船が実現可能なのかは分からないが、テサラコンテレスは2隻のガレー船を主体に使っている訳だが、この2隻のガレー船をガレオン船や戦列艦の様な帆船に置き換える事ができるかもしれない。もしも技術的にそれが可能な場合、ガレー船よりも運用コストが低く、より遠洋航海に向いた空母の建造が可能になるかもしれない。


帆やロープの問題はテサラコンテレスよりは強いかもれないが、垂直離着陸ないし鳥の様な飛び方ができるでのあれば、ここまで広い甲板を有していればある程度は問題を無視できるだろう。安全な航空戦力の運用が可能なのではないだろうか。


ちなみに、ヨーロッパにおける中世頃の木造帆船でも歴史上を見れば100mを越える巨大木造帆船が作られたとされる説が唱えられている例は存在する。中国は明の時代に、鄭和が宝船という帆船を旗艦に艦隊を引き連れて中国から東南アジアやアフリカ東海岸までに至る大遠征を成功させている(南海大遠征)が、この宝船の明の公式記録ではマストの数は9本、全長150mあったとされ、現在提唱されているこの船の大きさに関する学説では小さい説でも50m。だが、発掘調査等によって154~170mあった可能性が高いという試算を出し明の記録には信憑性が高いという様な説もある。あとは東南アジアのドゥマク王国という国がDjongという巨大木造船を建造していたらしく、ただ、こちらは如何せん、情報源がややこしい資料しか見つからなかった為、あやふやで申し訳ないのだが、Djongの全長は採用する学説によっては最低でも40mから最大で180mとなるそうだ。この様なアジアにおける歴史上の巨大船もテサラコンテレス式の空母の建造に応用できるかもしれない。


または、ガレオン船や戦列艦やアジアの帆船の様な帆船の側面に飛行甲板となる甲板をテラスの様に設置し、その飛行甲板を支える為に飛行甲板の下に浮きや船を設置するという様な手もあるかもしれない。ちょうど、雰囲気としてはアウトリガーカヌーの様な感じだろうか。カヌー本体が帆船でアウトリガーの部分が甲板とその甲板を支える部分のイメージだ。


または、これも以前、安全保障面・装備面における対中世文明及び対魔法編でも紹介したが、古代エジプトのオベリスク輸送船も参考になるかもしれない。


古代エジプトのオベリスク輸送船の全長はどの学説を採用するかで長さが変わるが、短くても50m。長いと驚異の300mあったなんていう説も存在している。300mなんてあり得ないでしょとも初めてこれを知った時は思ったが、テサラコンテレスの話を聞けば、それは違うと一概には捨てきれないだろう。


このオベリスク輸送船は正確にはハトシェプスト女王のオベリスク輸送船と呼ばれる。この輸送船は全長57.3m、重さ320トンもの巨大なオベリスクを同時に2本、輸送したとされる。この船は現代で言うバージ船だと考えられていて、バージ船とは河川や運河などの内陸水路や港湾内で貨物を運搬する為の船の事だ。ハトシェプスト女王のオベリスク輸送船は記録によると凡そ30隻もの船に牽引されて運用されていたそうだ。


この船の形式を空母に応用できるかもしれない。

例えばオベリスク輸送船級の大きさの巨大船を建造し、この巨大船は飛行甲板を有する。この巨大船自体には自走能力は限定的だが移動の際には他に帆船を用意し牽引してもらって運用する。の様な。


他には上記で紹介した例の要素を複合的に組み込んでも空母は作れるだろう。


一応、ここまで私が思いつく範囲内で過去に実在した巨大船を例に古代の技術力でも作れる空母という物を想像してきたが、異世界と言う事を考えると、もしかしたら、私や地球人には思いつかない帆船や船が異世界には存在して、それらの技術を結集して空母として運用している可能性もあるかもしれない。


例えば地球ではついぞ古代や中世の時代には登場しなかったが、コンクリート船が存在している可能性もある。コンクリートは実は古代の時代には既に発見されて利用がされていて、最も古い例では現代より数えて9千年前には中東の現在のイスラエルで。そして古代エジプトや古代ギリシャでも。5千年前には中国で、の様に地球上の広域で利用されていた。古代ローマは建造物の建設に非常に多用している。なお、これは余談だが古代ローマで利用されたコンクリートはローマン・コンクリートと呼ばれ、現代のコンクリートよりも遥かに耐久性に優れた古代ローマ驚異のメカニズムの産物である。コンクリート船は私達の世界においては近代になってようやく生まれたが、コンクリートが古代の時代にも存在している以上、異世界においてもコンクリートが存在し、それどころかコンクリートで船を造れることを私達の世界よりも先に発見している可能性も充分にある。そうだとすれば、コンクリート船を使ってなんらかの空母の船体を建造しているという可能性もあると言えるだろう。そしてその移動手段には異世界驚異のメカニズムで……の様な。


とまぁ、とりあえずではあるが、運用する航空戦力さえ存在すれば、地球における古代から中世の技術力でも恐らくは空母能力を持った船舶の建造が可能であるという事は分かってもらえたのではないだろうか(建造後に安定して運用できるかどうかはともかく)。


今回は地球にも過去に存在した実例を例に魔法を用いなくても、古代から中世レベルの技術水準が存在するのであれば、空母の様な船舶を建造可能ではないかという内容を解説した。


だが、今の解説は全て、魔法を排除した純粋な技術的な話である。

ここにファンタジー世界であるという要素が加わると、もしかしたらもっと上記よりも実用的な空母が存在している可能性もあるだろう。


例えば、テサラコンテレスの様な空母が存在していたとして、船を操舵する為の無数のオールを魔法で動かしているから人員はそこまで大勢は要らないだとか。帆船の帆を風の魔法とかを使って風を発生させて船の速力をコントロールができるだとか。ヘレポリスの様な巨大構造物を船の上に載せて倒れない様に船に当たる波だとか風の強さを軽減できる魔法があるだとかetc……。


ファンタジー世界の有り様次第で空母の様相もかなり様変わりするだろう。


魔法などで何とかならない世界ならば、その世界の空母は船の安定性に不安がある為、外洋ではなく沿岸での活動を想定した戦力として運用されているかもしれないし。安定性はあって外洋で運用されていたとしても、船としての機動性が壊滅的かもしれない。


一方で魔法でどうにかなるのであれば、外洋でもなんなく運用でき、なんなら地球の空母と変わらぬ水準での運用ができている空母だって存在しているかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] はぇ〜ガレー船でもやろうと思えばやれるのですね。 今まで戦列艦レベルじゃないときついだろうな〜という自分の考えは改める事になりました。 ていうか古代文明の造船技術化け物すぎん?100m越え…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ