インフラ面
★インフラ面→水道の水を安心して飲めるのはおしまい!?
異世界転移後、日本の経済は壊☆滅し、海外からの資源輸入の体制もこれまでの物は全て崩壊する。
日本政府は異世界転移後には海外からの資源輸入の体制や国内の工業産業体制を再構築しなければならない。
だが、従来の海外との取引が消滅した影響により転移初期には数多の企業が倒産するだろう。これは工業分野においてもだ。工業分野は一見、異世界転移したら国から産業の保護を受けるから大丈夫ではないかとも思うかもしれない。確かに国からの支援は行われるだろう。だが、その保護は完璧な保護にはなり得ないだろう。ハッキリ言って日本の全ての工業企業を守るだけの巨額の予算は政府には無いし全てを救えるだけの政策を作るにも時間が足りない。
企業によっては海外から材料や部品を仕入れている場合もあれば、海外と製品を取引している場合もある。また、様々な企業が参画している商品を売っている場合もある。これらは倒産の一因となるだろう。
様々な企業が参画している商品とは、どういう事かというと、簡単に説明すると例えばデスクトップPCを開けてみると、ネジを作っている企業、基盤を作っている企業、基盤の各パーツを作っている企業、冷却ファンを作っている企業等々etc、様々な企業の部品が合わさって生産されている。このどれか一つの部品でも生産や輸入が止まればこの製品の製造がストップする。
こういった製品の部品を作る企業の中には中小企業が多く含まれている。中小企業は資金繰りをかなりギリギリの所で行っている企業が多いのは有名な話だ。製品の製造がストップすれば、当然、その製品の販売で儲ける筈だった金を稼ぐことはできない。資金繰りが悪化する。
資金繰りが悪化して部品製造企業の1社が倒産したとしよう。例えばじゃあ、この倒産した企業はネジを作っている企業だと仮定しよう。すると、何が起こるか。この会社が倒産するとこの会社のネジの生産が当然止まる。すると、この会社で製造されていたネジを使用していた他の製品の製造に影響を及ぼす。倒産でなかったとしても生産を止めたり、製造量を減少させたりすれば、同様の影響を及ぼす。
最悪は、これが悪循環となる。影響を及ぼした所からまた、生産停止や企業の倒産が発生しそれからまた連鎖的に同じ事が起き得る。政府はなんとしてもこの連鎖を軽減しなければならないだろう。この連鎖を完全に止める事は不可能だろうが(何故なら海外が消滅しているから)、できる限り被害を軽減しなければならない。
こうして異世界転移の影響による日本の工業界の弱体化が発生する。製品の生産量は激減し物は不足する。
これは日本の社会を支えるインフラ面にも重大な影響を与える。なぜならば当然で、海外から鉄資源などを筆頭とした材料や製品が入らなくなるからだ。いくら日本にインフラ関連部品の製造工場があっても、それを生産する材料がなければ、話にならない。また、半導体の不足により給湯器やエアコンの製造に影響が出たのが記憶に新しいが、これと同じ様に海外から取引している部品などが不足してインフラ関連部品の製造に影響を与えるとか、国内の工業界の弱体化の影響により国内企業から仕入れていた部品も入りにくくなるという事態も起き得るだろう。これらが悪魔合体すると考えて良いだろう(原材料不足問題+エネルギー資源不足問題+海外市場との断絶問題=景気悪化問題(企業の倒産+製造量の減少+生産ラインの縮小もしくは消滅+リストラ等etc)=日本の工業能力の弱体化)。
転移初期から中期はまさに企業にとっては地獄の時期と言って良いだろう。だが、長期的に見ても影響は甚大だろう。
海外(異世界の地)からの資源供給が順調に軌道に乗り日本経済が回復傾向に入ったとしてもだ。倒産した企業が戻ってくる訳では無い。つまり、どういう事かというと、国内の産業の空洞化が起きているという事だ。
本当に国にとって最低限必要な物は維持されるだろう。先ほどパソコンを例に挙げたが、これはあくまで例え話だ。スマホやパソコンを含めたIT産業は少なくとも転移時点で日本国内にある技術力は維持される可能性は高いのではないかと思う。なぜならば、現代社会はコンピューターがなければ成立しえない。それ故に政府は恐らくピンポイントで支援を行う可能性が高いからだ。問題はそれ以外である。
例えばだ、資源も部品も限られる状況で、スマホとたまごっちの生産、国の生存にとって真に重要なのはどちらだろうか。スマホだろう。今のは極端な例だが、この様に必要な物は製造や開発を継続できるように支援が受けられる。一方で、必ずしも必要ではないと "判断" された物の製造や開発は支援を受けにくい。
では、たまごっちの場合、企業はたまごっちの製造を継続するだろうか。国の支援を受けられない可能性が高いと言う事は、自社で必要な物を調達しなければならない訳だが、材料が不足し部品も不足する状況では製造コストはとんでもない事になるだろう。そうなると製造自体を取りやめる可能性がでてくる。
製造を取りやめたとしよう。異世界転移後に一般人が新品の電子機器を満足に買える位までに経済、資源、生産体制の状況が良くなるには、最低でも10年以上の時間はかかる。その10年以上もの間、たまごっちの製造ラインは残っているだろうか?。
残っている可能性は非常に低いと言わざるを得ないだろう。何故ならば製品の製造ラインというものは、当然ながらその維持に費用がかかる。企業からすれば切り捨てても当然、おかしくはないのだ。すると、一般人が新品の電子機器を満足に買える位までに経済、資源、生産体制の状況が良くなったとしても、たまごっちの生産自体はすぐには開始できないという事である。
これが産業の空洞化の一例である。今は、たまごっちを例にしたが、これは何もたまごっちだけの話ではない。様々な業界の様々な製品で発生する可能性が高い問題である。これが国内の工業界の弱体化だ。
さて、ここまで長々と書いてきたが実はここまでは前述である。上記の内容を前提にここからは読んでもらいたい。
ここからが本題だが、異世界転移後の日本のインフラに関して解説する。
転移初期には資源不足とそれに伴う工業生産量、そして経済悪化による生産量の激減から、日本国内の既存インフラの通常の修繕や刷新がインフラの種類によっては進まなくなると予想させる。私の予想では電力や通信に関しては恐らく問題はないのではないかと思うが(※問題はないとは言っても、あくまで他の問題に比べたらまだマシ程度のレベル。完全に問題がない訳では無いが、電力インフラは恐らく全インフラの中でも国が最重要の位置において維持に奔走する可能性が高いと予想される為)、問題は道路、水道、下水道などの修繕に莫大な予算や資源がかかる物だ。
なぜ、道路、水道、下水道などを例に挙げたのかというと、これらは前例がある。それは世界中の国で社会問題の他、経済等が長期に悪化すると真っ先に影響が出やすいのがこれらのインフラの傾向があるからだ。
日本に住んでいると実感しにくいが、日本のこれらのインフラは世界でも上位に入れるほどしっかりと手入れされている。例えば台風や土砂崩れで交通不能になった道路は田舎でも日本においてはすぐに復活する例が多い。しかし、海外ではこれは非常に珍しい事だ。ある道路が使えなくなったりしたら数週間から数カ月は工事されないのもザラにあるし、数年なんて例もザラにある。
これは発展途上国だけの問題ではない。先進国の集まりである日本を除いたG7主要6か国でも起こっている事だ。G7に入っている様な先進国でこの様な事が起こってしまうのには経済というよりも社会的な問題が要因である事が多い。
例えば、ドイツはベルリン・ブランデンブルク国際空港の建設が設計ミス等複合的な原因が重なり全然完成せずに恐怖の建築現場などと言われたが、これはドイツの所謂ゼネコンがそれだけ弱体化してしまった事が一つの要因に上げられる。ドイツの場合、ゼネコンだけではなく、近年のドイツは例えばドイツ海軍が発注したフリゲート艦、バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲートが企業から引き渡された時にドイツ海軍が受け取りを拒否した話も有名だ。このフリゲート、完成したばかりなのに船が右に傾いていた他、搭載ソフトウエアにも多数のバグ、そして故障が確認され、ドイツ海軍がこんな船受け取れるか!と受け取りを拒否したのだ。なんと、こんなポンコツフリゲートを企業は引き渡し日までに何の改修もせずに4隻を全艦を完成させ海軍に引き渡そうとした。国防産業の状態はその国の社会がどうなっているかを写し出すある種の鏡だと言えるが、ドイツに関してはこのフリゲート以外にも様々な面でとんでもない問題が多発している為、これはある種、ドイツの抱える社会問題と言えるだろう。
財政面であればイタリアだろう。イタリアに関しては巨大な橋であるモランディ橋が崩落した痛ましい事件は有名だ。これは橋の老朽化とメンテナンスが原因であると当時報道された。イタリア政府は事故の原因についてEUの規則が招いたインフラ投資の不足が原因だとしている。イタリアでは当時、古代ローマの橋は崩れないのになんでほんの数十年前に作られた橋が崩れているのかと皮肉交じりの批判がされていた。
対して日本はというと日本のゼネコンの優秀さはかなり高く評価されている。迅速な工事ができるからだ。
以前、博多駅前道路陥没事故が起こったが、この事故は復旧の迅速さに世界各国から多くの反響があったのは非常に有名な話だ。この事故は事故発生後、数日で陥没箇所が塞がれたが、この僅か数日で工事を行えた事が外国からしたら驚くべき点だったのだ。
日本のゼネコンが優秀な傾向があるのには恐らく日本の政策的な影響が関係している。
日本は公共事業を非常に重視する国だ。例えば災害対策としての護岸工事、川の氾濫対策、土砂崩れ対策など、莫大な量の工事が昔から日夜行われている。
日本ほど海岸が防波堤やテトラポットなどのコンクリートで覆われた国も中々ないだろう。
日本の公共事業は海外からはかなり複雑な評価がされている。素晴らしいとの評価もあれば、環境破壊や税金の無駄遣いなどの辛辣な評価もある。
だが、その結果として日本の建築業界は経験が多くなっているのだ。なお、私は現状の公共事業の推進には賛成の立場だ。アメリカのハリケーンや海外の洪水の様子を見ていれば建設が間違いだとは私には思えない。東日本大震災における普代村の防潮堤の成功はその一番の例になり得るだろう。
この様に、日本のインフラは非常に優秀な訳だが、ここで異世界転移という事を考えると問題が発生する。果たして異世界転移後も既存のインフラをこれまで通りに維持できるのかという話だ。
資源も足りず、工業界の製造能力も低下する。経済も壊滅的な影響を受ける。こうした中で、これまで通りの機能を果たして維持できるのだろうか。ハッキリ言って不可能だと推測される。
というのも、現在でさえ、日本のインフラは老朽化の問題が叫ばれているのだ。国や自治体は修繕作業を進めているが、それは追いついていないのが現状だ。予算が全然足りていない事業も数多く存在する。イタリアの様に使用量の多い大型道路が崩落する様な事は現状では無いものの、地方部では老朽化や破損した小規模な橋が危険な状態にも関わらず、予算不足で放置されている事例もある程だ。さて、その様な状況で異世界転移したらどうなるだろうか。
転移初期は間違いなく、よっぽどの事が無い限り修繕作業は殆ど行われなくなるだろう。よっぽどとは水や電気の供給が完全停止するとかそういう事態だ(それでも転移前までよりも遥かに修理までに相当時間がかかるという可能性は大いにある)。
だが、異世界の地からの資源の供給が始まったとしても中期的から長期的にも影響が出続ける可能性は非常に高いと推測される。
というのも思い出してほしい。まず、日本の工業界では産業の空洞化が発生しているだろう。これらが工事に何らかの影響を及ぼす可能性は無いとは言い切れない。恐らくはあると言って良いはずだ。それはもしかしたら工事用機材の問題かもしれないし、インフラ設備に直接的もしくは間接的な問題かもしれないし、人的な問題かもしれない。そして、インフラの維持には莫大な予算がかかる。現状でさえ、工事も予算も追い付いていない状況だ。にも拘わらず転移によって経済が壊☆滅するのだ。
異世界転移後に資源が見つかり貿易が軌道に乗ったとしても異世界転移前の日本の景気には程遠い。
何が起こるだろうか。良ければイタリアと同質での問題に収まるだろう。イタリアと同質の問題とはそれすなわち、予算不足で修繕が進まないと言う状況だ。なお、恐らくは現代のイタリアで発生している問題よりも異世界転移した日本の方がこの問題は深刻である可能性は大いにある。大いにあるどころか大きいかもしれない。これは日本政府が異世界転移による経済悪化の被害をどれだけ軽減できるかまたはできないかによるだろう。
だが、最悪はドイツの様なもはや社会問題化した産業の問題と、予算不足の問題が悪魔合体する事になりかねないだろう。はっきり言ってこうなったら最悪の状況だ。日本においてもベルリン・ブランデンブルク国際空港の様な恐怖の建築現場の再現や、バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲートの様な出来事が発生してもおかしくはないし、それと同時にモランディ橋の崩落と似た様なことが起こってもおかしくはない。
もっとも、イタリアと同質の問題だけでも深刻な問題なのには変わりはないだろう。中長期的に見て、モランディ橋の崩落の様に日本においても橋が崩落するかもしれないし、それは橋だけでなくトンネルやダムや土砂崩れ防止用のコンクリート壁やビル等の建物かもしれない。日本には長大な高速道路網や鉄道網など様々ある。老朽化によって高速道路の高架橋やトンネルが崩落する様な事態が発生するかもしれない。経済の悪化によって建物の補修や建て替えにも影響があるだろう。その為、建造物の老朽化も問題となる。
危険は上下水道にも忍び寄ってくる。世界を見てみると、財政の悪化によって上下水道の整備が滞った国や自治体、社会問題などの諸問題によって上下水道の整備が滞った国や自治体などでは、水道水に異臭の問題や変色等の問題が発生したり、異臭や変色で済めばまだ良い方で、雑菌や化学汚染物質に汚染されてしまったという例もある。
アメリカでは近年、水道水を経由して人喰いバクテリアと呼ばれるネグレリア・フォーレリに感染し命を落とした人の事例が報告されている。このバクテリアは世界中の池や川に生息しているバクテリアで日本にも当然生息しているバクテリアだ。このバクテリアは感染するとその死亡率は97%にも達する非常に恐ろしいバクテリアだ。アメリカでは毎年3人の感染が報告されるが、浄水された水からの感染が確認されたとして2020年、フロリア州政府はブラゾリア郡に災害宣言を発出し、住民に飲用、入浴、調理に水道水を使わないよう勧告。その後勧告は解除されたが、水道水は煮沸してから使用するよう呼び掛ける自体にまで陥っている。
アメリカでは災害認定にまで至っているが、これでもアメリカはまだ世界から見れば遥かにマシの部類である。国によっては水道から出る水は川の水を綺麗な水で足して二で割った位にまで微細生物などで汚染された水を使っている所も多く存在している。当然、ネグレリア・フォーレリが潜んでいてもおかしくはないし、ネグレリア・フォーレリでなくても、そのまま飲めば食中毒を起こす危険性がある。その為、多くの国の水道水は飲む前には必ず、煮沸消毒を行うのだ。
異世界転移後の日本においても、水道設備の老朽化によって水道水が汚染され、そのままでは飲めなくなる可能性は非常にあり得る可能性だと言えるだろう。異世界転移が発生してから十年後にはもしかしたら水は飲む前に煮沸消毒するというのが当たり前になっているかもしれない。
★番外編(工事中)




