安全保障面・異世界転移後に破格の効果を持つ可能性のある武器
★安全保障面・異世界転移後に破格の効果を持つ可能性のある武器
まぁ、日本が異世界転移した異世界の文明度が魔法も含めてその脅威度が古代から中世程度しかない場合、日本が持っている現代武器はほぼ全てがチート級の超兵器になる訳ですが、その中でも今回は異世界勢に破格のダメージを与えうる超兵器を考えてみようと思います。
なお、ここにおける破格のダメージとは1度の攻撃時にどれだけのダメージを相手に与えられるかを基準とします。また、今回は核兵器は含みません。では始めます。
・クラスター爆弾
クラスター爆弾とは親爆弾の中に無数の子爆弾が内包された兵器の事です。一発のクラスター爆弾を投下すると半径数百メートルの範囲に渡って被害範囲を及ぼします。クラスター爆弾は異世界転移後、非常に高い効果を発揮する可能性があります。
日本が異世界転移した異世界の脅威度が古代から中世程度しかない場合、この世界での戦争の仕方は、恐らく、地球における古代から中世の戦いと同じ様なものとなるでしょう。
つまりは陣形を組んでの集団戦です。例えば、古代で言うならば、古代ギリシャのファランクスや古代ローマのテストゥドの様な陣形を採用しているかもしれませんし、中世から近代ヨーロッパのテルシオや方陣を採用しているかもしれません。
いずれにしても、大勢の集団が徒党を組んで戦っている事でしょう。
これは陸地だけに関わらず、海の上でもです。
例えば、よく日本が異世界転移するファンタジー作品では帆船がよく登場しますが、帆船に搭載されていた武器は歴史的にみて、ライフル砲が登場する以前は非常に戦闘距離が短かったという特徴があります。近世において、ライフル砲の登場以前、帆船同士による戦闘の平均的な距離は1000m以内です。有効射程距離が100mから200mしかないような大砲もありました。
この為、帆船で艦隊を組む場合、現在から見ると非常に密集した状態を形成していました。味方同士の帆船同士では味方艦と連携を取る為に非常に近い距離を航行していました。
以下の〈〉内のタイトルのサイトには1665年6月にウィレム・ヴァン・デ・ベルデという人物が当時、同行していたオランダ艦隊のスケッチが見られます。ローストフトの戦い (第二次英蘭戦争)の前に描かれたものと推測されています。これを見ると、非常に密集している事が良く分かります。なお、参考までに戦列艦の大きさは50m以内から大きい物でも70m以内の物が大半です。
〈 A Dutch Fleet Under Sail at Sea in a Light Breeze 〉
これら古代から中世の戦い方を踏まえるとクラスター爆弾の様な広域にダメージを与える兵器が現代ととは破格にならない程の効果的な効果を上げる可能性があります。
恐らく、クラスター爆弾を1発投下させただけで、かなりの数の帆船にダメージを与えられる筈です。なお、クラスター爆弾の攻撃範囲は直径で約400m近くあるとされています。また、クラスター爆弾について補足するとクラスター爆弾とは親爆弾の中に子爆弾が大量に入っており、親爆弾が空中で子爆弾をばら撒く事で1発で広域を空爆する事が可能な爆弾の事です。
クラスター爆弾には様々な種類が存在しており、子爆弾の中に複数の金属片や鉄球を含んでいて炸裂すると爆発と同時に、それらも周囲に物凄い速さで飛び散る物。これは対人や防弾性能の無い自動車などを標的とした物です。
あとは、焼夷弾をばら撒く物。こちらは日本にも馴染みが深く(悪い意味で)第二次世界大戦中にアメリカ軍が日本への空襲などでこのタイプをかなり使用しました。悪名高き東京大空襲では32万7000発の子爆弾がばら撒かれ東京を焦土へと変えました(あれもクラスター爆弾だったんですねぇ……もしかして世界で一番クラスター爆弾の死人が多いのって実は日本説あるのでは……?)。ただし、当時はまだ技術が未熟であった為に当時のアメリカ軍が使用したM69焼夷弾は1発当たり38発の子爆弾(焼夷弾)を内蔵してしていましたが、現代のクラスター爆弾の一般的なイメージからすると、かなり子爆弾の弾数が少なく感じるてしまうので、これをクラスター爆弾と言われると、え!これもクラスター爆弾だったの!?ってちょっと驚く人もいるかもしれませんが、列記としたクラスター爆弾の一種です。なお、現代のクラスター爆弾は、もちろんこの規模の物もあれば、数発から数百発レベルまで子爆弾を搭載する事も可能です。
最近では焼夷弾をばら撒くタイプのクラスター爆弾は、アゼルバイジャンがアルメニアに対して。ロシアがウクライナに対してクラスター型テルミット焼夷弾が使用された事がニュースになりましたね。
あとは、対戦車タイプの物。こちらは対装甲戦力を標的とした物です。アメリカ軍が現在保有している最新のこのタイプのクラスター爆弾の中には、なんと子爆弾に誘導性能がある物まで開発され配備されています(※クラスター爆弾はアメリカを含め中国、ロシア、北朝鮮、韓国、台湾などの国はクラスター爆弾禁止条約に入っていない為、現在でも保有、運用している)。
あとは、地雷を敷設するタイプの物。こちらは子爆弾が対人地雷、対戦車地雷となっていて地雷をばら撒く目的の物です。最近ではロシアがウクライナで使用しているみたいですね(非情な事に禁止条約批准国がクラスター爆弾を使用すれば条約違反ですが、ロシアの場合は元々条約を批准していない為、国際法的には合法的に使用しているというのがなんとも……ちなみにロシアは対人地雷を禁止する条約にも非加盟です。なお、こちらの禁止条約はアメリカ、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、韓国、イスラエル、エジプト、中東諸国などの国々も非加盟となっております)。
あとは、生物・化学兵器を搭載した物。こちらは、まぁ聞いてのお察しの通りの代物です。
あとは帯電防止という一風変わった代物。こちらは、導電性繊維を広域にばら撒き、高圧送電線や変電所に短絡を生じさせて、送電システムを混乱させる物です。コソボ紛争でアメリカが最初に使用しました。この時はセルビアの電力供給の70%を破壊したそうです。
あとはリーフレット配布の物。こちらは宣伝ビラをばら撒くタイプの物です。当然非殺傷ただしワンチャン落下してくる爆弾の部品が頭に直撃したら死ぬかもしれませんが。
と、この様にクラスター爆弾には様々な種類が存在しています。それでは対異世界勢力に対する効果をそれぞれの種類ごとに考えてみましょう。
対人や防弾性能の無い自動車を標的としたクラスター爆弾は陸戦において非常に高い効果を発揮するでしょう。例えば、敵の異世界の国の軍勢が自衛隊に対して攻撃を仕掛ける為に陣形を整えたタイミングなどで投下すれば、クラスター爆弾だけでも、あっという間に軍勢を機能不全~壊滅状態まで幅広いダメージを与えられるでしょう。間違いなくこれだけの密集している陣形でクラスター爆弾を使えばとんでもない人的被害がでるのは必至で、投下された異世界の軍隊は大混乱の状態に陥る可能性は非常に高いでしょう。上手くいけば戦車砲や小銃の弾を一発たりとも撃たずに戦いの決着をつかせる事も可能だと思われます。何故ならば、大混乱によって恐怖や混乱から脱走する兵士が続出し部隊を維持できなくなる可能性があるからです。
また、対人や防弾性能の無い自動車を標的としたクラスター爆弾を堅牢な石造りの城や城塞に対して投下しても、敵に対して恐怖を与え戦意や士気を低下させる戦術を取る事も可能でしょう。石造りの城や城塞への直接的なダメージには繋がらなくても大量の爆弾が降ってくるだけで相当な心理的な効果となります。なお、この様な心理的効果を狙ったクラスター爆弾による攻撃は現代でも行われています。
海上戦闘においても、相手が防弾性能がない木造船舶であれば、大きな被害を与える事ができるでしょう。ただし、このタイプのクラスター爆弾では恐らくクラスター爆弾の単純な破壊力だけでは沈める事は困難です。ですが、例えば何処かへの攻撃を仕掛けるために港から出撃しようとする艦隊や出撃後の艦隊に対して使用する事で多くの船の装備にダメージを与える事で、ダメージの影響から出撃を思いとどまらせる事もできると思われます。例えば、マストの帆がボロボロになったりしたら、帆船にとっては痛い損害になります。また甲板上にはマストや帆を操作するための様々なロープや道具が存在していますが、これらが破損しても手痛い損害になります。場合によっては航行不能になるでしょう。
次に焼夷弾をばら撒くタイプのクラスター爆弾について。焼夷弾をばら撒くタイプのクラスター爆弾は海上戦闘において破格の効果をもたらす可能性があります。焼夷弾は火災を発生させる事や相手を煙に巻く事が主な目的な兵器な訳ですが、第二次世界大戦から現代にかけての焼夷弾に使用されている燃料は水をかけても消火ができない物が使用されていたり、普通に発生するレベルの炎よりも超高温の炎を発生させる物です。相手が地球における古代から中世程度の防御力の木造帆船である場合、焼夷弾は非常に強力な兵器となります。発生する火災によって簡単に大ダメージを与えられるでしょう。その様な木造帆船が密集した艦隊を組んでいるのです。そこにクラスター爆弾化した焼夷弾を投下するのです。1発のクラスター爆弾だけで、複数の帆船に壊滅的なダメージを与える事が可能でしょう。
次に対戦車タイプの物について。対戦車タイプのクラスター爆弾は例えばですが、地上戦において、異世界勢が密集した陣形を組んでいる事を考えると、もしかしたら異世界勢にはゴーレムや大型の魔物を使った部隊も存在しているかもしれません。その中にはもしかしたら、機関銃の弾程度の攻撃は防げる程の防御能力を持っている魔物も存在しているかもしれません。その様な存在の部隊が居る場合、対戦車タイプのクラスター爆弾は大きな効果を発揮するでしょう。何故なら敵、装甲戦力とも言える部隊が密集している訳ですから、かなりのダメージを与えられるでしょう。また、目標に命中しなかった子爆弾も周囲に他の部隊も居るかもしれませんから敵にダメージを与えられる可能性があります。なお、アメリカが保有している様な子爆弾に誘導性能を持ったクラスター爆弾は異世界転移日本が金欠である事を考えると自衛隊への配備は難しいと思われます。なぜなら、日本は現在、クラスター爆弾の禁止条約に加盟している為、現在、自衛隊はクラスター爆弾を保有しておらず、従ってアメリカが保有している様なクラスター爆弾の誘導化技術を保有していない為です。この状況で誘導クラスター爆弾を製造する場合、在日米軍から技術が提供されようとも日本が自分で作ろうとも、かなりの開発予算がかかると予想される為です。また、古代から中世程度の戦術を取る相手に対して、ここまでの高度な誘導性能を持った兵器は過剰だと思われます。誘導性の無い無誘導のクラスター爆弾で充分でしょう。
また、対戦車タイプのクラスター爆弾はやろうと思えば、対要塞、対城にも使用できるでしょう。装甲戦力を撃破する為の兵器ですので石造りであろうとも、有効なダメージが与えられると思われます。
次に地雷を敷設するタイプの物。こちらは……正直、言うと日本が転移した異世界の脅威度が古代から中世程度である場合は使い道が余り見えません。このタイプのクラスター爆弾を使用する時は敵の侵攻を止めたいか、防衛腺の構築作業時が多い様に思うのですが、その様な状況は日本側がある種、追い詰められている状況だと思います。日本が古代から中世程度の脅威度の相手に対して追い詰められているという状況は正直言って想像がつきません。もちろん、局所的に部隊単位で窮地に陥る可能性はありますが、クラスター爆弾を使えるという事は航空機の支援圏内であるか、クラスター爆弾を発射するロケット砲があるという事です。それにも関わらず、他の攻撃支援ではなく地雷散布というのは、ちょっと状況がよく分かりません(航空機の支援圏内なら、そんなクラスター爆弾使ったり持ってくる余裕があるなら、ぱっぱと空爆なり、ロケット砲なら、そんなクラスター爆弾使ったり持ってくる余裕があるなら、通常攻撃した方が早い)。いや……まてよ?敵が魔物とかの大群で、BETAみたいに倒しても倒しても物量に任せて押し寄せてくるなら、有効かもしれない……。
次に生物・化学兵器を搭載した物ですが、こちらはまた、また後で詳しく触れましょう。軽く触れるなら、密集している敵部隊に対して広範囲に子爆弾に満載した生物・化学兵器を散布する事ができる事でしょうか。
帯電防止とリーフレットは……うん。恐らく異世界では戦闘の役にはたちませんね。ワンチャン、雷属性のドラゴンがいたら、帯電防止クラスター爆弾は何らかの影響を与える事はできるかもしれません。リーフレットは当然、ダメージを与える事はできませんが、使い道はあるでしょう。敵に対して降伏を呼びかけるとかetc。
・白リン弾
白リン弾とは手榴弾、砲弾、爆弾、煙幕などを目的として使用されている物です。白リン弾は第一次世界大戦後から使用される様になり、様々な用途で使用されました。今回は空中で炸裂するタイプについて考察していきます。現在、使用されている空中で炸裂するタイプの白リン弾は映像などを見ると一見、クラスター爆弾の様にも見えますが、クラスター爆弾ではありません。クラスター爆弾の定義の一つに子爆弾がある事があるのですが、白リン弾は上空で炸裂した時点で、そこから多数の降下物が落ちてくるのですが、この降下物には起爆装置が備えられていません。上空でばら撒かれた時点で降下物は発火し燃焼しながら落ちてくるのです。この起爆装置が無い事から白リン弾はクラスター爆弾には分類されないのです(※降下物に起爆装置が存在する物は白リン弾であってもクラスター爆弾)。
白リン弾は非常に高温で燃えます。また、長時間に渡って燃焼を続けるのが特徴です。消火には大量の水が必要だとされています。白リン弾は人体にふれた場合、非常に重篤な火傷を負わせたり、煙による被害など人体に様々な影響がある為、非人道的として非難されている事で有名ですが、近年ではアメリカ、イスラエルが中東で住宅街への空襲に使用したりしています。
以下の〈〉内のタイトルはYouTubeにある白リン弾の効果が非常に良くわかる動画のタイトル。動画の長さは約10分半程。ニュース映像の中に複数の白リン弾が使用されている映像が確認できます。またその人体への影響も分かります。ただし、見る時は注意して下さい。グロ注意!!
〈 イスラエルのガザでの白リン弾使用について (1) 〉
さて、ここまで書けばもしかしたらもう分かるかもしれません。そうです。
白リン弾もクラスター爆弾と同様に広い攻撃範囲があるのです。そして非常に高い燃焼性能があります。クラスター爆弾の有効性の所でも述べた通り、広域に被害を与えるという事は密集している敵に対して非常に有効だという事です。陸戦において密集した陣形を組んでいる敵に対しては非常に効果的でしょう。殺傷能力自体はクラスター爆弾に比べれば限定的ですが、白リン弾の恐るべき効果は燃焼以外にも煙があります。非常に高い発煙効果がある為、密集した陣形を取る敵に対して使用した場合、敵部隊は大混乱の状態となるでしょう。あちこちでは白リン弾の直撃を受けた兵士が燃えたり苦しんだりする様子がある筈です。そしてそれと同時に密集していた部隊を大量の煙が包むのです。
恐らく陣形は維持できなくなると思われます。ガスマスクなどを配備していればその限りではないかもしれませんが、古代から中世レベルの軍隊では対応は極めて困難です。落下した白リン弾や炎が燃え移った物の周囲に留まれば呼吸困難で死亡したり、意識を失ったりするでしょう。急いでその場から逃げようとする兵士達によって組織的統制を失えば、逃げようとして転んだりした兵士が踏みつけられる様な事故も発生するかもしれません。つまりですが、とてもではありませんが、陣形を組んででの戦闘態勢を継続する事は難しくなるでしょう。また、心理的な効果も図り知れません。士気低下の効果もあると思われます。
また、激しい燃焼を発生させている為、海戦においても有効です。クラスター爆弾と同様に敵の木造帆船が密集している所に投下し炸裂させれば攻撃範囲内の木造帆船に火災を発生させる事ができるでしょう。
・MOAB(大規模爆風爆弾兵器)
アメリカが発明した超クソデカ爆弾。大型輸送機から投下する兵器。アメリカの保有するこの爆弾の威力は広島型原爆の1000分の1。アメリカに対抗してロシアが作ったのがアメリカのと比較して威力が2~4倍とされる。あとは威力不明の物を中国が保有。MOABは通常兵器では核兵器に次ぐ威力があるとされています。
さて、これははっきりと言えば異世界勢に対しては完全にオーバーキル兵器です。強すぎます。強すぎて通常戦闘なんかじゃ、異世界転移金欠日本がおいそれとバンバン使える代物ではありません。ですがピンポイントに目的を絞って使うなら予算に見合った効果は発揮するかもしれません。
それは要塞や城塞に対する攻撃です。恐らくですが、MOABを古代や中世の時代レベルの要塞や城塞に投下した場合、文字通り吹き飛ぶものと推測されます。ただし、トルコのカッパドキアみたいに地下深くまで施設やトンネルが張り巡らされている場合は全ての破壊は不可能でしょうが、少なくとも地上施設には壊滅的なダメージを与えられる筈です。
なお、それでも普通の要塞や城塞程度が相手なら、これ使う位なら普通に榴弾砲使った方が絶対に良いです。ではなんでMOABを紹介したかというと、もしかしたら場合によっては日本が現在時点で持っている現代兵器をもってしても攻略に時間がかかる要塞が異世界にも存在する可能性があるからですね。
というのも、先ほど、チラッとトルコのカッパドキアと言いましたがトルコのカッパドキアを知らない人はぜひカッパドキアを調べてみて下さい。こんな壮大な物を古代の人間が作ったなんて信じられないですよホント。で、話を戻すんですが、この地球においてもカッパドキアという例がある訳ですよ。
と言う事はもしかしたら、異世界にもカッパドキアみたいな施設が存在するかもしれません、なんでしたらカッパドキアと軍事要塞を+αしたみたいなより高度な施設が存在するという可能性も当然あり得ます。
では、これをどうやって攻略するのかという話になる訳ですが、攻略はできます。既存の装備でもです。ですが、通常の要塞や城塞よりも攻略に時間がかかる訳です。また、恐らくですが投入する兵器の量も人員の数も物資の量も通常の要塞や城塞の攻略よりも多いでしょう。つまり、人、物、時間、そして当然、金がかかる訳です。それを考えると、MOABの様な兵器は時間短縮、他の兵器や物資の節約、投入人員の一定程度の縮小効果を起こし得ます。
通常であれば、数十発レベルの砲撃ダメージをMOABならば1発で地上部に露出した施設や地上付近の施設を瞬時に与えられる訳です。それを考えればMOABは予算に見合った効果と言えるかもしれません(なお、通常の要塞にバンバン使えるという意味ではない事には留意。あくまでも上記の様な特殊な要塞などが存在した場合などに限る。……実戦での使用用途狭すぎィ!)。
また、MOABを所有する事は敵に対する心理的な効果にもなるでしょう。例えば、相手に対して攻撃の予告をした上で、どこかの目標にMOABを投下し炸裂させ、その威力を見せつければ、敵に対して恐怖を与えられる効果も得られます。例えばどこかの要塞を試しにMOABで木っ端微塵に吹き飛ばして相手に対して、これ以上戦争したらこうなるよとか、そういう脅しの効果も得られるものと推測されます。懸命な判断力を持ったトップが居る国なら、これだけで降伏するでしょう。
さらに戦時でなくても現代の核兵器の様に戦争の抑止効果が得られる可能性もあります。例えば、日本と異世界の国との共同軍事演習だとか、あとは異世界の国の偉い人を招いて自衛隊の演習を見学させる訳です。この時に古代や中世の城や要塞に見立てた建物を演習場内に作っておいて、これをMOABで吹き飛ばせば、その光景を見た異世界の国の偉い人はどう思うでしょうか。恐らくですが、喧嘩売ると滅ぼされると思うでしょう。この為、演習程度で戦争の発生を抑止できる効果が得られるのであれば、MOABはその値段に見合った効果を発揮していると言えると思います。なぜならば、戦争がいざ始まってしまえば、殆どの場合、幾ら相手が文明の水準が劣る異世界勢であってもMOABのお値段なんて可愛く思える程の予算が吹き飛んでしまう事は容易に想像がついてしまうからです。
・化学兵器
化学兵器は……正直、言わなくてもそらそうでしょって読者の方々の顔がもう浮かぶので詳細は省きますが、ガスマスクや防護服を有していない異世界勢力に対して化学兵器は非常に効果的です。恐らくですが現代戦で化学兵器を使った場合よりも破格の戦果が得られるでしょう。何故ならば、現在はガスマスクや防護服は一定の資金力があれば用意できるからです。対して、文明度が中世から古代レベルの相手であれば、相手が幾ら金持ちであっても充分なガスマスクや防護服は用意する事が難しいので、対策のしようが殆ど無いという点において非常に使えるでしょう。
また、これに加えて前述でもしている通り、異世界勢力は密集している可能性があります。そう考えると化学兵器は使用すれば非常に破格の戦果を獲得できるでしょう。なお、致死性化学兵器は当然の戦果を挙げられると思いますが、非致死性の化学兵器に関しても戦果を挙げられる可能性があります。それは何かというと、例えば暴徒鎮圧用などに使用される催涙ガスなどです。古代から中世レベルの軍隊は陣形を組んでの集団戦をとっている可能性が非常に高い訳ですが、この兵士が集まっている状態の時に催涙ガスを充填した催涙弾を撃ちこめば、なんの対策をしていない異世界勢力は大混乱の状態に陥り得ます。指揮系統は麻痺ないしは容易に崩壊するでしょう。白リン弾の時と同じように、陣形を組んででの戦闘態勢を継続する事は難しくなるでしょう。また、心理的な効果も図り知れません。士気低下の効果もあると思われます。催涙ガスが白リン弾と違うのは催涙ガスを原因とした直接的な死者はほぼ居ないという点です。白リン弾では燃えたり一酸化炭素中毒であったりが発生する訳ですが、催涙ガスはこれよりは死者は少ないと思われます(なお、二次被害(混乱による事故)はカウントしていない)。
化学兵器は致死性、非致死性の物を問わず、双方が非常に破格の効果をもたらす可能性が高い訳ですが、化学兵器には実は今回、紹介してきた、いずれの兵器の中でも唯一の高い効果もあります。それは何かと言うとコストです。今回、紹介してきた兵器はどれも、もしも異世界勢に対して使用したら一般的な兵器類よりも効果がある可能性のある物を紹介してきた訳ですが、効果はあれどコストに関しては問題点のある物も多いです。MOABは一番良い例でしょう。MOABはほいほいと使用できる代物ではありません。クラスター爆弾に関しても今回紹介した中にはお値段が非常にお高いタイプの物も存在します。しかしです。化学兵器の製造コストは恐らくですが、今回紹介してきた兵器の中でも最も安いでしょう(※化学兵器の種類による。恐らく中には、めちゃくちゃ高い製造コストの化学兵器も存在する)。例えば催涙ガスは異世界勢に対して破格の効果があるにも関わらず、化学兵器の中でも非常に安価な部類です。致死性のタイプでも、塩素ガスなんかはその材料は化学的には洗剤の成分なので生産体制を整えれば、恐ろしい安価な価格で大量生産ができるでしょう。
つまりですが、まとめると化学兵器は致死性、非致死性を問わず、異世界勢に対しては非常に効果的な威力を発揮する可能性が高いにも関わらず、製造コストも非常に安いという訳です。貧者の核兵器とはよく言ったものですよホント。
・生物兵器
現代科学を持った現在の地球人類文明がコロナにこれだけ悩まされているだけでもう答え。古代から中世程度の文明度が相手であれば、その相手は細菌学やウイルス学、生物学などのしっかりとした知識を有していない可能性が高い(異世界と言う事を考えるとワンチャン魔法でなんとかなる可能性もある)。その様な相手に対して細菌やウイルスを兵器として使用したならば……もうどうなるかは完全にお察しでしょう。使用された勢力は自分達に何が起こっているのかすら分からずに壊滅する可能性があります。生物兵器の利点は伝染性の高いウイルスや細菌を兵器として利用したならば伝染性があるという事。伝染性の高い物ををばら撒けば、あとは細菌やウイルスの方が勝手に増殖して人にうつして広がってくれます。兵器には様々種類がありますけど、細菌やウイルスの兵器が齎す効果は様々な現代兵器よりも圧倒的になり得るでしょう。使用される細菌やウイルスの種類にもよりますが、場合によってはかつてスペイン人が天然痘で南米の文明を滅ぼした様に異世界人の文明ごと滅ぼしてしまう可能性すら生物兵器には存在しています。コワイ!




