安全保障面・魔物を考えてみよう!
★安全保障面・魔物を考えてみよう!→ドーモ、ゴブリンです!イヤーッ!!アイエエエエエエエ!?ゴブリン!?ゴブリンナンデ!?
異世界ものと言えば魔物ですよね。魔物、モンスター、魔獣など色んな呼び方がありますが、やはり異世界ものと言えばこういった存在を真っ先に思い浮かぶ人も居るのではないかなと思います。
今回はこうした魔物について考えていきたいと思います。
一言に言って魔物と言っても色んな定義や存在があると思いますので一概には言えないので今回はよく、冒険者ギルドとかが存在してそこに所属している冒険者が魔物を狩っている様な世界の魔物を想定して考えてみたいと思います。
でもその定義にしたって上から下まで無数に違いがあったりします。主に強さとかです。だって作品によっては絶対日本が異世界転移しても勝てないやんっていう魔物がうじゃうじゃいる作品だってある訳ですよ。ちょっとそれはGGIKKの考察対象とするのはあれかなと思ったので、今回は日本異世界転移の世界観にも合いやすいと私が勝手に思った作品の世界観を参考に考えてみたいと思います。
その作品とはゴブリンスレイヤーという作品です。
ゴブリンスレイヤーをなぜ、選んだのか説明しますと、まずリアリティがあると単純に思ったからです。ただし、今回は勇者とか魔王の存在は除外して考えていきます。一番重要なのは生態系とその人間社会の関わりの話です。
まず、ゴブリンスレイヤーの世界の生態系を見ていきますと、普通に魔物が暮らしている訳です。それも私達にとっての野生動物と同じ位には。ただ、作品を見ている限りでは、もしかしたら普通の動物よりは生息数は若干目劣りする印象?くらいかもしれません。まぁそれでも微々たる違いでしかありませんが。町の下水道にも魔物が住み着くくらいにはそこら中に居る様です。
魔物は家畜やもしくは人間そのものに対して被害を与えています。作中の描写から、それは最悪、村や街が無くなるくらいの被害を出しているものもあると推測します。人的被害は当たり前で、死人は日常的。危険度は普通の動物よりは明らかに遥かに高い。
魔物の強さに関しては一部を除けば殆どの場合は現代兵器でも十分に通用するレベルといった印象です。
それに対して人間側の社会(他種族の社会も含む)はどの様にして、それら魔物と関わっているかと言うと住民による自己防衛の他、冒険者ギルドと呼ばれる組織が各地に存在し、その組織に魔物の被害に合っている人々が依頼を出して、その依頼に対して冒険者ギルドに登録している冒険者と呼ばれる人々が依頼者からの金銭を報酬に魔物を退治するという社会です。なお、冒険者は受ける依頼を基本的には自分で選ぶ事ができます。
この様な世界観はGGIKKを考えるには非常に重要なキーとなります。それは避けては通れない程です。今、上げた世界観の内、魔物がいて冒険者ギルドがあるみたいな世界観は多くの作品で見受けられます。日本が異世界転移する作品でも見受けられます。ですから考察は避けては通れない訳です。
実はこれかなり深刻な問題なのです。何が深刻かって生態系がです。
もしかしたら異世界転移後、日本が何処かの異世界の国と戦争をする事が起きるかもしれません。そうした時に戦争終了後にもしかしたら領土割譲をし異世界の地に日本の新な領土ができるかもしれません。
ですが、考えても見てください。こんなとんでもない生態系の場所で日本のこれまでの国内法が通じるのかという話です。例えば日本国内では厳しい銃刀法が存在し銃器や刃物類の所持が規制されています。この仕組みを異世界のこんな生態系の土地に持っていく事は可能でしょうか?私は恐らく無理だと思います。だって餌を欲するライオンの前に一般人を丸腰で立たせる様なものだからです。
もしも、銃刀法をこの様な異世界の地でも維持をするならば、その地に住んでいる経済活動住民の絶対的な安全が担保されていなければなりません。国が主導して自衛隊や警察、もしくは民間軍事会社を活用し絶対に1匹たりとも魔物を人間の居住エリアに入れない仕組みを構築しなければならないでしょう。
恐らくその様な体制を組もうと思えば古代ギリシャのポリスの様に居住エリアの周囲を全て覆った城塞都市の建設が不可避となるでしょう。そしてその城塞の周囲には常に武装要員(自衛隊や警察、もしくは民間軍事会社)が配備されるのです。居住エリアに加えて住民が経済活動を行うエリアも全て守護する必要があります。道路、鉄道、畑、工場、鉱山、油田などなどetc……。
この様な事は現実的でしょうか?私ははっきり言って現実的では無いと思います。
もちろん領土を獲得した最初の頃はまだそれでも良いかもしれません。ですが中長期的には無理だと思います。その地域の経済形態がどの様なものかは分かりませんが一般人の経済活動する領域を全て守るというのは現実的ではありません。一体全体、幾らお金がかかるの?って話です。お金だけではありません。人や資材もです。コストがかかりすぎです。
精々できる範囲は居住地を壁で覆って警備を配置して守る事や最重要な経済施設(工業団地、鉱山、油田施設など重要性が高く、立地的にも警備がしやすい施設)の警備くらいでしょう。それ以外は恐らくはコストがかかり過ぎて困難です。だって例えば町の外へ住民が移動や外出する度に自衛隊だったり警察だったりが警護してたらとんでもないコストでしょう。なお、前提として異世界転移日本は金欠なのを忘れてはいけません。
ですが、銃刀法を維持するならば、幾らコストがかかろうとも、やらなければなりません。なにせ住民から自己防衛する手段を国が奪っているのですから、国が保証をしなければならないのです。国が全てを主導して住民の安全を担保しなければならないのです。
となるとですが、私はこの様な危険な生物が闊歩している様な異世界の地に日本が新な領土を得た場合には銃刀法を緩和して住民が自己防衛できる手段を与えた方が、コストがかからなくなると思いますし合理的だと思います。
住民に自己防衛の手段を与えれば、民間が土地を自由に開発できますし(銃刀法を維持した場合は、国が許可した地域しか原則、住民は居住できないし開発できない。なぜならそれ以外の地域は危ないから。国が許可した所しか開発できないという事は民間が何か良い開発を始めようと思っても一々、国土交通省だとか防衛省だとか警察庁に開発のお伺いを立てなければならない為、開発するまでにとんでもない時間がかかる)国が負う責任を軽くする事ができます。これならば、国は精々、住民が多く住んでいる地域だけの防衛に専念だけすれば良くなるでしょう。民間に殆どを丸投げできます。
銃刀法が緩和され魔物に襲われた場合には自己防衛が基本となれば、住民の自己責任として処理できるのです。つまりは魔物の扱いが日本国内の野生動物と同じ分類として扱われる様にするという事です。これはどういう事かと言うと現在の日本には野生の動物による被害を直接的に補償するような法律は存在しません。これは野生動物に襲われて発生した被害は襲われた人のある種、自己責任という扱いになっているという事です(※例外ももちろんあります)。魔物もこういう扱いにすれば良いわけです。
そうすれば地域経済的にも国の財政的にもお金に優しい統治が可能となります。
ただし、問題点があるとすれば、銃火器がこの新たに獲得した日本領土内において、蔓延する可能性があります。そうなれば、犯罪が横行する可能性もありますし、犯罪が横行するという事は銃火器を違法に日本国外へと持ち出して異世界の他国に密売するという事態が発生する可能性も高まります。
非常に難しい問題でしょう。
銃火器の所持を禁止の方向へと傾け過ぎれば、開発の遅延と政府の財政の圧迫を招きかねなくなり、一方で銃火器の所持の容認すれば犯罪が発生する可能性が高まるという訳です。どちらにせよジレンマと言えるかもしれません。
間をとって民間軍事会社や民間警備会社を使うという手ももちろんあるでしょう。
異世界の地で事業を行う企業側に対して自己防衛を促し民間軍事会社や民間警備会社を雇わせ自衛してもらうという手段です。つまりは企業側に責任を集中させるという事です。ですが、この場合はあらゆる道徳的責任や法的な責任などが企業側に集中します。これは企業側にとって多くの負担が集中するという事です。
例えば、労働者災害補償保険(労災)を定めた法律では、労災の対象は、労働者が業務を原因として被った負傷・疾病・または死亡した場合と、労働者が通勤により被った負傷・疾病・障害又は死亡が対象となりますが、労災は発生すると場合によっては企業側に従業員への補償金の支払い負担が求められる事があります。
この内、通勤に関して日本国内であれば、これは問題はありませんが、魔物が闊歩する地域では訳が違います。労災認定される事案が発生するリスク(魔物に襲われ怪我や死亡が発生する事案が発生する可能性)が非常に高いのです。また、企業側はよく労災認定を嫌がる(労災隠し)という話が半ば常識としてありますが、この原因は労災が発生すると、企業側にとって幾つか嫌な事が発生する可能性があるからだとされています。例を挙げると労災保険料が上昇する可能性や、労働基準監督署の調査が入る可能性、労災の事実が社内外に広まり企業の信用を落とす可能性、裁判沙汰になってしまう可能性などです(※なお、裁判沙汰に関しては当然の事ながら労災隠ししても、どうあがいても裁判になる可能性あり、労災隠しはダメ!絶対!なぜなら犯罪だから!)。安全な日本国内でさえも、労災隠しを行っている企業が横行している現状で、労災発生リスクが日本本土以上に高い異世界の地に行くのは、企業側からみても嫌だと思う企業も多いでしょう。
さらに労災が発生しない様に従業員を徹底して守ろうとしたら、民間軍事会社や民間警備会社を使って通勤を含めて厳重な警備をしなければなりません。これは企業にとって非常に重いコストがかかります。
また、法的責任だけでなく、そもそも民間軍事会社、民間警備会社を使うという手には財政的な問題もあります。異世界の地の開発に参画できるのは民間警備会社や民間軍事会社を雇う事ができるだけの余裕がある企業だけという事になるのです。これは明らかな問題でしょう。
またまた、では対策として、法的責任と企業のコスト負担を抑える為に政府が労災の範囲基準から異世界の地に限定して通勤を除外する処置などをとったとしましょう。こうすれば、企業側の負担は大幅に軽減されます。しかし、そうすると今度は、誰が通勤中の従業員を守らなきゃあかんねん!という話になります。なお、この場合は魔物だけでなく、交通事故や怪我なども含みます。間をとって嵐や交通事故など魔物以外を原因とするものは労災に含めて魔物に襲われた事案に関しては労災の対象外とするという方法もありますが、これもツッコミ処満載で、じゃあ、誰が魔物から通勤中の人を守るねん!という話になります。なぜなら、国も責任放棄して企業も責任放棄して国民に負担を集めていますが、身を守る手段を国民の側は持っていません。
まさかゴブリン相手に熊よけ鈴とか熊よけスプレーで対抗せよと!?って話になります。
となると間を取るという選択肢にも問題点があります。間違いなく企業側、労働者側から国に対してクレームの荒しとなるでしょう。俺ら(企業)だけに責任負わせようとすんな!と。なお、そうした声を抑える為に国が万が一、労災や訴訟が起きた場合に企業側の負担を負担するという手段を取る事もできますが、この場合でも批判を受けざるを得ないでしょう。
どういう事かというと、この場合かなり中途半端な自己責任体制となる訳です。何故なら構図としては国が責任を殆ど放棄して企業に対して人身の安全の責任を丸投げしている状態だから。国は訴訟とかはうちに任せて良いよ~とは言う訳ですが、その一方で魔物対策の警備は実費でよろ~と言っている訳です。企業側からすれば、はぁ?国は俺らの事守ってくれないの!?俺らが実費で警備しろってどういう事!?ってなる訳です。
なお、先ほどの政府が労災の範囲基準から異世界の地に限定して通勤を除外する処置や、魔物に襲われた事案に関しては労災の対象外という処置は論外です。これは企業は良いかもしれませんが労働者側からのクレームが確実です。
こうした企業側や労働者側からの不満は最悪の場合、コロナで政府が様々な批判から方針転換をする様な事態が続出した様に、企業の不満の声が出る→メディアにそれが取り上げられる→国民の間でも政府への批判の声が高まる→政権支持率低下→政府「やべっ!?方針転換!」っていう事態に陥る可能性もあります。異世界転移後の日本は問題が山積しすぎてて国内メディアは常に政府を叩いている様な状態となっている可能性が非常に高いです。2020年や2021年の様に。そんな所にこの様な企業の不満の話はメディアにとって格好の追加燃料でしょう。
さて、ここまでの話をまとめてみましょう。まとめると、つまりですが、結局、今回の問題、どの様な手段を選ぼうが問題は絶対に出るという事です。
なお、その上で私個人のこの問題に関する考えを述べさせてもらうとですが、異世界の魔物が闊歩する土地を手に入れた場合の最善策ですが、私個人としてはこの新領土に限定して銃刀法を大幅に緩和。銃火器を含めて武器の所持を認め、労災は魔物事案に関しては条件次第では労災の適応範囲外にし、自己責任の元、魔物に対しては基本は自己防衛を基本とした社会にした方が良いと思います。
(※条件次第では労災の適応範囲外とは、例えば、企業の中には自分の会社で従業員を送迎する様な企業もあるかと思いますが、こういう自分で送迎する様な状況は従業員が完全に企業の管理下に入っていると言える為、労災に適応されるとか。一方で歩きや自転車や自家用車、公共交通機関を利用しての "自力" での通勤をする場合には魔物は適応範囲外みたいな感じの事)
その上で都市などの人口密集地域に関しては国がその周囲に壁を建設するなどして武装組織(自衛隊や警察、もしくは国が雇った民間軍事会社)を駐留させそこは防衛するという、言わば街は国が。その外は基本は自己責任で。武器の流出問題などに関しては仕方ないので国境の警備を強化して、できる限り対応する。といった感じにした方が良いのではないかと思います。
通勤を労災の範囲から除外する行為には実は実例があります。アメリカにも労災の制度はありますが、アメリカでは通勤は労災に含まれませんので実例と言えるでしょう。ただし、日本ではこれを丸ごとする事は難しいでしょう。アメリカよりも日本の方が労災の制度が既に充実しているからです。現在のレベルから一気に、通勤を労災の範囲から除外するというのは労働者側から見て猛批判が起きる可能性が非常に高いです(台風出勤なんていう狂気の沙汰が普通に世間にある状態でこんな事したら企業側が労働者を酷使する可能性が浮上する)。ですが、銃火器の所持を認めた上で一部(魔物を労災から除外)であれば、一応は自衛手段が確保されているので、まだ、受け入れる余地はあると思われます。ギリギリですが(ただし、本当にギリギリなので法案を通す時に政府はよっぽど神経をすり減らして細心の注意を払って行わなければいけない。ちょっとでも世論を逆なでする様な事をやったり言ったりしたら、間違いなく爆発して法案が通らない)。
ちなみに、この魔物に対しては自己責任の社会となった場合、銃火器が一般人に販売される様になる為、アメリカの様に銃産業が日本において本格的に産声をあげる事に繋がるかもしれません。大小様々な銃火器メーカーが誕生するなんていう事も充分に考えられるでしょう。
今回の話は簡単にまとめると責任、財政、経済、法治、世論の5つに集約できると思います。
国が責任を全部背負えば、法治と世論は問題ありませんが、異世界転移金欠日本の財政と経済に悪影響となります。
国が責任を全て国民に丸投げすれば、財政、経済にとっての利点が生まれますが、その代わり法治(治安など)に問題が生じる可能性が出てきます。世論に関してはもちろん国民への責任丸投げですので批判が出てくる可能性はありますが、野生動物の対処と同じ事や銃火器の所持を認めている事をしっかりとロジックの説明をすれば次の企業に責任を丸投げするよりは炎上への対処はまだある方だと思われます。
責任を企業に丸投げすれば、上記に比べれば効果は落ちますが財政、経済にとって利点が生まれます。法治もしっかりとした管理をすれば問題ないでしょう。ですが、責任が企業に集中し過ぎている為、確実に企業側から不満が噴出するでしょう。場合によっては労働者からも不満が噴出します。世論はこうした企業や労働者からの批判の様子が報道される事によって政権にとって大きなマイナス要素となる事が予想されます(企業は公的機関ではなく民間組織である為)。
今回の話の簡単なまとめはここで終わりですが、ここまで書いてて思った事があります。それは公共交通機関すっごく事業大変そうっていう事です。公共交通機関は乗客を安全に送り届けする義務があります。これは魔物に襲われたとしてもです。もちろん乗る前に公共交通機関が乗客に安全は保障しませんみたいな宣誓書にサインを求めてサインした人だけを乗せるのであれば問題はないでしょうが、現実はそうはいかないでしょう。ですが、普通に運行する場合、魔物に襲撃されるリスクがある訳です。もしも魔物に襲われ死人が出てしまった場合、公共交通機関を運行する企業には乗客を守る責任がありますので損害賠償とか大きな問題になる可能性が非常に高いです。そう考えると、バス会社とかは異世界の地ではバス自体を武装させて運行するか、護衛を常につけて運行しなければならないでしょう。恐らくですが異世界の地で経営をするリスクで一番訴訟リスクが高い職種は公共交通機関系かもしません。
多くの企業が異世界の地に進出する意志を示しても、最悪の場合、JRだとかバス会社とかだけは最後まで進出するのが嫌すぎて進出しなくて政府が頭を抱える様な事もあるかもしれません。公共交通機関が無ければ、現地の開発には大きな影響がでます。この場合、政府は自分で異世界の地で公共交通機関を運行する新たな企業を設立しなければならなくなるでしょう。
※なお、今回の解説はまるで地球人だけを対象にしている様に聞こえるかもしれませんが、日本の領土となった異世界の土地に住む異世界人が居る場合はそれも含みます。異世界人の場合は例えば冒険者を生業にしている人々や、魔物が居る環境を考えると一般人も何かしらの護身用具を持っている可能性が高いですが、この武器の扱いをどうするのかという話でもあります。また、住民の安全はどうするのかという話でもあります。もしも武器を取り上げるのであれば、政府は当然、住民の安全の保障策を取らなければなりません。
★おまけ 国家財政の視点から見てみる冒険者ギルトと冒険者
さて、ここからはちょっとおまけ的な話になりますが、冒険者ギルドと冒険者について経済的にちょっと考えていきたいと思います。
よく異世界ファンタジー作品で耳にタコができるくらい出てくるこの組織と存在。テレビとか見ててまた冒険者ギルドかよ~って思う人も居るとは思います。
ですが、実はこの冒険者ギルドと冒険者という存在は経済的に非常に合理的な存在なのです。もしも魔物が存在する世界ならば、この様な組織があってもおかしくはないと思える位には。どういう事なのか見てみましょう。
大前提として魔物がそこら中に居るわけですが、これを国家が軍によって民を守ろうとすると強大な常備軍が必要となり、さらに常に警戒をし続けなければなりません。これはかなりの国家財政的なコストが生じます。
また、魔物の襲撃が常にある様なら問題ありませんが、襲撃の数が少ない時もあるでしょう。兵士の一人々には賃金が支払われている訳ですが、襲撃の数が少ない時の場合、襲撃が無いにも関わらず国は賃金を払い続ける必要があります。賃金だけではありません。国全体をカバーする為に大量に集められたその兵士達が使う武器や道具の維持や管理にも膨大なお金がかかります。
ですが、これを民営化。つまりは冒険者ギルドや冒険者に任せれば、国は国防費を大幅に削減する事ができるのです。魔物の討伐は依頼という形で行われる様になり、必要に応じて依頼金を用意しそのお金で集まった冒険者に討伐してもらえば、上記にある様な襲撃が無いにも関わらず国が兵士を雇い続け賃金を払い続けるという無駄金を削減できます。しかもその依頼料金も大半は住民が自発的に冒険者へと依頼に出す為、国は自分で冒険者に依頼を出さない限り出費する必要がありません。軍は魔物の対処を国民と冒険者にほぼ丸投げする事ができるので、軍隊の兵士の数を少なくする事ができるでしょう。軍全体の総数が減れば武器や道具の維持や管理の費用も削減が可能になるのです。
そう考えると冒険者や冒険者の寄り合い所の様な冒険者ギルドの様な存在は魔物が闊歩する世界においては非常に合理的な仕組みだと言えます。




