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食料生産面・スリランカ参考になる説

 

挿絵(By みてみん)


★食料生産面・スリランカ参考になる説→デデドン!(絶望)


前々からたまに読者の皆さんからもご指摘があるんですけど、食料の生産について、異世界転移したら肥料ヤバくない?っていうご指摘があります。これについて今回、面白い資料を入手したので軽く考えていきましょう。


現代農業において農作物を生産する時、必ずと言って必要なのが肥料です。この肥料について、実は日本はその殆どを海外からの輸入に頼っているのです。この様な状況では当然、異世界転移を考えた場合には肥料ヤバくない?っていう指摘が出てくるのは当然の事だと思います。


ただ、今まで私がこの話に踏み込まなかったのには理由がありまして……正直、私自身、そこまで農業に詳しい訳ではないので、肥料が無くなったら間違いなく影響はでるんだろうけど、どこまで、どんな影響が出るのかは全然分からなかったので触れてこなかったんですね。


ですが、ここ最近、大きな動きがありました。それはなんと!スリランカの財政破綻です!ドドン!

もしかしたらスリランカの現在の状況は非常に異世界転移後の日本の農業を考える上では非常に参考になるかもしれないと思ったからですね!ドドン!


え?スリランカ?なんでスリランカ?なんで?って思われるかもしれません。ここ最近、スリランカが財政破綻したっていうニュースは確かに良く出てるけど、それがなんで異世界転移した日本に関係があるかもしれないのかと。


私はこんなニュースを目撃したのです。そのニュースはスリランカが財政破綻した要因を紹介している記事でした。そこには今や世界のトレンド、中国の債務の罠や、コロナによる観光産業の大打撃だとかが紹介されていたのですが……その中に、むむむ!っと興味を惹かれる内容があったのです。それがなんだったのかと言うと……。


スリランカ化学肥料の輸入禁止です!


スリランカは2020年時点では大量の化学肥料を輸入して農業を行っていました。しかし、こないだの革命で倒されたラジャパクサ政権は化学肥料の輸入を一斉に禁止し有機栽培を半ば強制する政策に舵を切ったそうです。しかし、この政策は移行期間も何の対策もないまま施行され、結果、スリランカの農業は2022年現在で2020年時点から考えれば壊滅レベルの大損害を受けてしまったようなのです。相当な損害が出ていたらしく、これが中国の債務の罠だとかコロナによる観光産業の大打撃と悪魔合体してスリランカの財政破綻の要因の一つとなった様なのです。


ちなみに有機栽培とは化学肥料、農薬、遺伝子組み換えなどを行わない農業の事です。


では、具体的にどの様な被害がでたのかを見て行きましょう。


2021年5月にこの政策が実行され、マハ季(スリランカの主要な米作期間の季節名)を終えた2022年3月。スリランカの農業生産量は激的に減少しました。作物によって20~70%の減少。スリランカの主食である米の生産量はマハ季の間に40~50%減少したと推計されているそうです。


この減少を受けて、スリランカは2022年の最初の3カ月で約300,000トンの米を輸入。2020年はトータルで米の輸入量が14,000トンで済んだそうですが、2022年にはたったの3カ月で約300,000トンを輸入する事態になったそうなのです。これは誰がどう比較しても圧倒的な輸入量の激増となります。


これは即ち、これまでは国内で調達できていた食料が輸入しなければならない事態に陥った事を意味しています。もちろん、この数字の全てが食糧不足によって発生した輸入の増加を示している訳ではないではないかもしれませんが(他の経済的要因も含まれる可能性がある)、ここまでの農業生産量の減少を見るに間違いなく、食料不足から海外に発注されている量は相当量あると考えられます。


これら減った原因の全てが有機栽培をやったからという事でも、もちろんないでしょう。何故ならスリランカは財政破綻前後で燃料価格が高騰し燃料も充分な供給量が得られなくなった為、自動車を満足に動かせない農家が多く居たとされているからです。その為、構図としては有機栽培の半ば強制化の影響+燃料不足=現在の食料生産量という感じに恐らくはなるでしょう。ですが、それでも、化学肥料の輸入禁止による有機栽培の半ば強制化の影響は燃料不足の分を差し引いても甚大だと考えられます。


スリランカではこの事態について、人災と言われている様です。


ま、まぁ、この結果を見れば当然と言えば当然ですねぇ……。

しかも革命により政権が変わった事で有機栽培を撤回する方針の様ですが、世界的な肥料の争奪戦と価格高騰が2022年現在、起きている為、スリランカはすぐには、まとまった量の肥料を買える状況にはなく、さらには財政破綻の影響で国庫には貯金が無い為、かなりヤバい状況になっている様です。


緊急対策として人や家畜の糞尿による肥料を使う意見も国内では出ているそうですが、衛生面の問題やなにより、今までやっていた農業規模を支えるだけの肥料を作るには最低でも1年以上はかかるとの指摘も出ているみたいです。


これらの事から来年には食料問題について、もっと大変な事態に直面するかもしれないとの指摘も出ている様です。


うーん、いやーこれはどうあがいても革命不可避。


コロナによる観光産業の打撃←分かる仕方ないね。

中国の債務の罠に引っかかる←千歩譲ればまだ分かる。

肥料の輸入禁止で農業壊滅←ギルティ。


しかも、有機栽培の半ば強制化を決める過程で政権は有機農業の義務化に否定的な国内の農業専門家や科学者を、有機農業へ移行を進める国の農業の管轄から排除して有機農業賛成派で固めてたとの事。しかも肥料や農薬を使った化学農業から有機栽培への移行期間も無しという驚愕の事実。


傍から見てるとすっごい農業実験ってな感じですね……なおその代償は革命だった模様。うーん、いやー、これはスリランカ人からしたらギルティ過ぎてもう草も生えないっすね……。


下の〈〉内のタイトルはアルジャジーラの記事と日本のネットメディアの記事のタイトルです。参考資料として貼っておきます。


〈 Sri Lanka faces ‘man-made’ food crisis as farmers stop planting 〉

〈 「国内の農業をすべて有機農業にする」というスリランカの壮大な計画はなぜ失敗してしまったのか? 〉


さて、ここまでスリランカの状況を見てきた訳ですが……はっきり言ってこの結果は私の予想を遥かに超える結果でした。


一概に全てを参考にできる訳ではありませんが、肥料の輸入禁止を実行してこれ程までに農業生産量が激減した事は異世界転移し肥料の輸入先を失った日本にはかなりの参考材料になると思います。


異世界転移日本も肥料の輸入が途絶えるし、しかもある日突然の異世界転移だった場合にはスリランカと同じく当然、移行期間もなにも無いからです。


もちろん、スリランカと日本とでは色々と違う点もあるでしょう。例えば、スリランカは石油備蓄があっという間に底をつきましたが、日本の場合はかなりの量の石油が備蓄されている為、適切な管理をすれば2年は確実にもちます。厳格な管理運用方法を行えば2年以降も石油は枯渇を防げる可能性はあるかもしれません。インフラもスリランカよりも整備されています。また、食料備蓄もスリランカよりはあるでしょう。


ですが、スリランカがたった1年でこの状態に陥った事は異世界転移後の日本の食糧生産事情を考える上では非常に重要な参考例となり得るでしょう。スリランカで起こった事を考えると日本の場合はスリランカよりも恵まれた面があるとはいえ、肥料が無ければ長期的には非常に困難な事態に直面してしまう事が考えられるからです。


異世界転移後、肥料はもしかしたら場合によっては石油よりも重大な問題になるかもしれません。個人的には石油と同等位には重大な問題に感じます。日本政府は異世界転移後、石油と同じ様にすぐにでも肥料の原材料を探さなければならなくなるのではないでしょうか。もしくは何とか既存の資源でやりくりして、その間に人や動物の排泄物で作る肥料の生産と流通のシステムとか、もしくは他の肥料の生産流通システムを構築しなければならないでしょう。


スリランカがたった1年でこうなった事を考えると、新しい肥料の原材料を探すにしても、人や動物の排泄物で肥料を作り流通させる新社会システムを作るにしても、他の肥料を生産し流通させる新社会システムを作るにしても、何をやるにしても、この問題に関しては政府には非常にスピーディーな対応が求められます。


★おまけ 希望の島?ラサ島


肥料の問題、結構やばそうって内容が今回の内容でしたが、肥料の重要な材料にリン鉱石というものが存在します。実はこのリン鉱石に限って言えば、実は日本にもリン鉱石が産出する鉱山が存在するのです。デデン!


その場所は……ジャジャジャン!ラサ島です!!


このラサ島、沖縄県にある島で、第二次世界大戦までリン鉱石の採掘を行っていました。現在は在日米軍の演習場となっていて採掘は行っていません。1979年の調査では約350万トンの埋蔵量があるとされています。まだ採掘をしてた当時の算出量は年間約18万2600トン。


現在の日本の年間リン鉱石の輸入量は77万トンなので単純計算で日本が年間で輸入する量の4年半分くらいはこの島にある計算になります。まぁ、リン鉱石の年間輸入量は77万トンだけど、日本の年間リン鉱石の需要の総量は616万トンだから全然足りないんですけども……。


ま、まぁ!ほら!全く無いわけじゃないですから!在日米軍から土地を返還してもらって鉱山を再開させるか、在日米軍と協力して開発を進めるかして鉱山を再開させなければいけないでしょう。


とりあえず、少しは国内でも取れるんで、これとあとは国内にある輸入済みの肥料でなんとかやりくりしながら、時間を稼いで、その稼いだ時間の間に、全国的に人間や動物の排泄物から肥料を作り流通させる仕組みや、もしくは他の肥料の生産と流通のシステムを構築するか、異世界の土地の探査を進めて有力な肥料の材料の産地を見つけて開発を行う必要があるでしょう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ラサ島!!これは、盲点でした!!! ボイジャーさん。やっぱりあなたは凄いや。目の付けどころが違う! 今回も楽しく読ませて貰いました! [気になる点] リクエストと言いますが、ネタ提供とも言…
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