南アフリカ参考になる説・エネルギー面
★南アフリカ参考になる説・エネルギー面→南ア(´∀`)ノシ「やぁ」
異世界転移後の日本の石油関係のエネルギー事情を巡って、もしかしたら参考になるかもしれない国を見つけた。それは南アフリカ共和国である。
南アフリカ共和国はその名の通りアフリカの南部に位置する国でアフリカ最南端の国家だ。
この南アフリカはかなり黒い歴史が付きまとう国家で、独立後アパルトヘイトと呼ばれる人種差別政策を長年行っていた。このアパルトヘイトとは非白人を白人とは平等に扱わないとする差別政策の事だ。
この政策に対し、国際社会は当然非難していたが、当時の南アフリカ政府は一切止めようとしなかった為、国際社会は1979年から1986年にかけて南アフリカに対する経済制裁をスタートした。この経済制裁はアパルトヘイト政策が終了した1993年まで続いた。
今回、注目するのはこのアパルトヘイト政策を行い続けた結果、経済制裁を受けていた1979年から1993年までの期間である。
この間、南アフリカはイギリス連邦、EC(現在のEUの前身組織)、日本、アメリカなどから多くの制裁を受けたが、この項目の中に石油の禁輸処置があった。
この石油の禁輸処置に南アフリカ政府は当然の事ながら相当焦った。南アフリカでは石油は殆ど出ないからだ。当時、南アフリカはアフリカ有数の工業国として知られていた。工業は燃料が無ければ当然、成り立たない。
しかし、これに対して南アフリカ政府は、実はこれを見越してある準備をしていた。それが人造石油による石油の代替である。南アフリカ政府は1950年代の時点において、将来的に自身が石油禁輸などの処置を受ける可能性を考えていたそうである。その為、人造石油の研究を行っていた。
南アフリカはアフリカ最大の産炭国であった事から石炭には困らなかった。そこで石炭を石油に変えて使おうと思い至ったのである。
南アフリカ政府と南アフリカの石油会社は後にも先にも記録上、恐らくは世界最大規模となる人造石油プラントを建設した。これによって、1979年時点において、当時の南アフリカの国内の燃料消費のうち、ガソリンとディーゼルに限ってではあるが、30%から40%の需要を満たす事に成功したそうだ。
なお、これは1979年時点の話である。南アフリカの経済制裁の期間は1979年から1993年までであった事を考えると、この人造石油の提供規模はその後も新たなプラントが建設されている事から、提供規模は1979年時点よりも、恐らくは、さらに多くなっているだろう。
では、これを踏まえて経済制裁下の当時の南アフリカ国内の様子から燃料事情を見てみる。どうやら公共交通機関や行政機構の自動車などは問題なく動いていた様である。また一般人においても自動車を動かしていた。ただし、燃料代は諸外国に比べて高騰していた様である。
この事は、日本が異世界転移した後の日本における燃料事情を考察する上で非常に参考になりえるかもしれない。
異世界転移した日本も南アフリカと同じく、人造石油による燃料供給を目指すという可能性がある。
ただし、異世界転移した日本が、これをするかしないかは、日本における人造石油の製造コストしだいの話である為、その点は要注意だろう。もしかしたら、日本においては製造コストが高いと判断され、人造石油のプロジェクトは余り進められず、石炭自動車などの方に力が集中的に注力されるという可能性もあるかもしれない。人造石油はそもそも論として、精製コストが非常に高いという問題点がある。だから、大規模に行われた南アフリカにおいても燃料代は諸外国に比べて高かった。だが、製造コスト次第ではあるものの、異世界転移後の日本においても導入される可能性自体は当然あり得る訳だ。
では、南アフリカの経験から異世界転移後の日本における人造石油について考えてみよう。
異世界転移後の日本が燃料不足を解決する為に人造石油に手を出したと仮定する。
まず、だが、南アフリカと全く同じ事をして南アフリカと同程度の規模の需要を満たすレベルの燃料供給が人造石油によってできるのかについて。
つまりは南アフリカと同規模の人造石油プラントを建設し、それによって南アフリカと同規模の燃料需要を満たせるのかという事について。
これに関しては恐らくは不可能だと予測する。なぜならば、経済制裁期の南アフリカと現代日本を比べた場合、そもそも燃料の需要規模が全然違うからだ。
南アフリカの人口はそもそも当時も今も日本より少ない。また、当時は現在(現在の南アフリカ)ほどの数の自動車も走っていない。当然、現代日本ほどの数の自動車も走っていない。さらに南アフリカの人口の大半の黒人はアパルトヘイトによって非常に貧しい生活を強いられていた。当然の事ながらこれらの黒人の人々は自動車の所有率は白人に比べて非常に低かった。
つまり、南アフリカの石油需要は現代日本よりも規模が小さいのである。
これらを考えると、異世界転移した日本が人造石油によって日本国内の燃料需要の内、30%、40%の燃料需要を満たそうとすれば、南アフリカが建設した人造石油プラントよりも、遥かに、遥かに(大事な事なので2回いいました)大きい規模の人造石油プラントが必要だろう。
はたして、そこまでの規模のプラントの建設が異世界転移後の余裕の無い日本にできるかは怪しいかもしれない。
しかし、である。南アフリカが建造した規模の人造石油プラントでも、当時の南アフリカ国内の燃料需要の30%以上を少なくとも供給できたという事実は非常に大きいだろう。
当時の南アフリカの燃料需要の規模から考えて、南アフリカが建設した規模程の人造石油プラントであるならば、異世界転移後の日本でも頑張れば建設できる範囲かもしれない。
恐らくではあるが、当時の南アフリカの規模の人造石油プラントを異世界転移後の日本が建造に成功した場合、少なくとも自衛隊が使う分程度の充分な燃料は得られるかもしれない。また、もしかしたら行政機関の方にもまわす事ができるなんていう可能性もあり得るかもしれない。
今回の話しを踏まえて。もしかしたら、こんな燃料体制もあり得るかもしれない。
異世界転移後の日本において。
異世界で有力な油田を発見しさらに開発が完了するまでの間。
民間や地方行政では石炭や木炭や木、薪、コークス等を燃料とする自動車や、その他のエネルギー源を利用する自動車等の導入が進められ、一方で自衛隊や警察、行政の燃料は人造石油によって賄う。みたいな。こんな事になる可能性もあり得るかもしれない。
よし。それでは今回、注目するべき重要な点を最後にまとめよう。
それは南アフリカが経済制裁期に運用した人造石油プラントの規模とその生産量である。
今回の私の調べでは残念ながら、その詳細までは分からなかった。
だが、南アフリカが運用した人造石油プラントの詳細な数字が明らかになれば、人造石油プラントを建設して得られる人造石油の量が明らかになる訳だ。
果たして、どれだけの規模のプラントを建設すれば、どれだけの量の人造石油を得る事ができるのか。
これは異世界転移後の日本で人造石油を始めた場合には大いに参考になる可能性があるだろう。
ただ、異世界転移後の日本における、今回の説や人造石油を巡っては、どうしても避けて通れないネックとなるのが、やはり製造コストの問題の話だろう。
南アフリカは前述もした通り、アフリカ有数の産炭国であり、国内には安価な石炭が多かった。しかし、日本においては、どうかというと、はっきり言って恐らく微妙な所だろう。
石炭は日本にもかなりの量が埋蔵されているが、採掘にはかなりのコストがかかると予想される。何故ならば、日本国内の炭鉱の殆どは数十年間も放置され、坑道の老朽化や、そもそも人間が管理していない事から、崩落や崩壊が進んでいる大変、危険な状態である為、これを再び採掘可能な状態に持って行くには相当な時間と費用がかかる。さらには日本は数十年間も採掘を一部の鉱山を除いて殆ど行っていなかった為に技術者の数が日本全体で行われる炭鉱開発の規模に対して恐らくは不足してしまっているであろう事など、多くの問題がある。
この時点で日本においては南アフリカよりも採掘にコストがかかっている事は容易の想像がつく訳だ。問題は、すでにこれだけのコストがかかっている中、精製にさらにコストがかかる人造石油に政府が着手するのかという所だろう。
コストが高すぎる!として人造石油の方の開発には殆ど手をつけませんでしたと言われても、正直言ってあまり驚かない。
人造石油を大規模にやれば、確かに自衛隊の燃料を充分に賄う事くらいはできるだろうが、問題は、それによって作られる人造石油のコストが非常にお高いという所だろう。
こんなに高い人造石油を使うならば、それよりも石炭や木炭や木、薪、コークス等を燃料とする自動車や、その他のエネルギー源を利用する自動車等の導入を推進した方が良いという考え方も当然あるだろう。
やるかやらないか。これは非常に悩ましい難しい問題だ。
今回の説を書くにあたっては主に、みんな大好きウィキペディア大先生の記事の他、ワシントンポスト紙の1979年4月27日のCaryle Murphy記者による記事「To Cope With Embargoes, S.Afiea Converts Coal Into Oil」と、日本エネルギー経済研究所の他、その他、幾つかの南アフリカに関する英語資料を参考にした。
本来であれば、もっと正確性の高い資料を発見できれば良かったのだが、残念ながら、当時の南アフリカの詳細な資料を発見する事は今回はできなかった。いや、正確に言えばPDFではそれらしき資料はそれなりに見つける事ができたのだが、PDFでは私の使っている翻訳ソフトでは翻訳ができない為、実質、資料として使えなかった。
その為、翻訳ができるサイト上の情報で構成される為、さらには、情報がかなり断片的である為に、今回は説として投稿した。




