経済面・GAFAMの未来
★経済面・GAFAMの未来→生き残れるのか!?サバイバルが今、始まる!!!!
(FがMになっちゃった)
GAFAM。
知らない人向けに詳しく解説すると、この単語は全世界を支配すると言っても過言はない超巨大企業を指す言葉である。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの5社の事だ。
恐らく、私のGGIKKを読んでいるような人ならば、これらの5社の名前は、ほぼ全員が知っている企業ではないだろうか。
これら5社は全世界のIT産業や物流などに多大な影響を与えており、中でもITに関して言えば世界を支配していると言っても過言は無い。GAFAMの内、GAFAだけでも、今年(2021年)、株式市場の時価総額で日本株全体を上回る結果が記録され歴史的な記録にもなっている。
PCやスマホを使っている人間ならば、誰しもがこの5社の影響を何かしら受けた物を使っている筈だ。
これら5社の影響をまったく受けていないPCやスマホは、かなりマイナーな製品ぐらいしかないだろう。もしくはPC黎明時代の超古いPC機器ぐらいだ。
GAFAMの影響は当然、日本も無縁ではない。
それどころか、現在の日本社会はこの5社によって成り立っていると言っても過言はないだろう。
誰もがアップルかマイクロソフトのOSが入ったPCやスマホを使い、使われるソフトウェアの多くもアップルやマイクロソフトが関わり、通販を利用すれば楽天(※楽天は日本企業)かアマゾンを利用し、そしてSNSを利用する。今はそういう世の中だ。
日本を含めて世界の現在進行形の世の中はこの5社の技術が無ければ成り立っていないだろう。
では、ここの問題である。
もしも日本が異世界転移した場合、この5社はどうなるだろうか?
幾ら世界を支配する超巨大企業と言っても、日本が異世界転移すれば、日本国内のこれら5社の事業は、本社のある地球と永遠に分断される訳であって、多くの部門が地球の本社から切り離される事によって孤立する。
その様な状況では、企業として成り立たずに、成すすべもなく全て倒産してしまうのではないか?
この様な疑問が発生するだろう。
今回はこの疑問の答えに迫るべく、日本が異世界転移した後のGAFAMの未来について見て行こうと思う。
結論から言おう。
1社を除いてGAFAMが異世界転移後に倒産する可能性は限りなく低いだろう。0に近いと言っても良い。よっぽど下手な経営をしなければ、倒産はしない筈だ。なぜなのか?それでは1社ごとその理由を解説する。
・グーグル
みんな大好きグーグル先生。そのグーグルは果たして異世界転移後、どうなるだろうか?グーグルは恐らく異世界転移によって非常に大きな打撃を受けるだろう。海外にある本社やその他の研究組織との繋がりが断たれるからだ。新商品は恐らく生み出せないし、新たな技術開発も非常に難しいだろう。普通のそんじょそこらの企業だったらこの時点で詰んでいた。しかし、グーグルはそんじょそこらの一般企業ではない。グーグルは既に日本国内に莫大かつ重要な資産を幾つも抱えている。例えば、日本国内の数箇所にデーターセンターが存在し(正確な個数不明。少なくとも東京と大阪の2箇所が稼動中。千葉に新設)稼動が判明している2箇所のデーターセンターはグーグルクラウドプラットホームというグーグルが提供している様々なITサービスの根幹を担っている。例を挙げるなら、コンピューティング、ストレージとデーターベース、ネットワーキング、ビッグデータ、人工知能、管理ツール、IDやセキュリティ、モノのインターネット、APIプラットフォーム等。大規模なデーターセンターが日本国内に存在する為、グーグルは異世界転移後も、サービス体制を異世界転移後の地球から分断された日本に最適化された新たな体制に再構築する事で多くのITサービスを提供する事が可能だろう。もちろん、サービスの提供を継続できない事業も多いだろうが。また、グーグルが開発し提供している世に溢れる数多のソフトウェアやアプリケーションも存在する。これらを販売したり提供する事で継続的に収入も得られる。そして、なによりグーグルが所有している数多くの知的財産も収入になるだろう。例えば、日本企業や政府が何かのシステムや物を作る時にグーグルが特許を持っている技術を使う等した時に契約によってロイヤリティを得られるだろう。つまり、話を総合すれば、グーグルには異世界転移後でも金を稼ぐ手段は多くあるという事だ。
・アップル
みんな大好きアップル。日本人スマホユーザーの多くが愛するアップル。そのアップルは果たして異世界転移後、どうなるだろうか?アップルもグーグルと同じ様に、恐らく異世界転移によって非常に大きな打撃を受けるだろう。海外にある本社やその他の研究組織との繋がりが断たれるからだ。しかし、アップルが受ける打撃はグーグルの比ではない。何故ならば、アップルは電子機器メーカーだからだ。グーグルは電子上のサービスを提供しているのに対して、アップルは物理的な商品を販売して生計を立てている。アイフォン、マック(※ハンバーガーではない)、アップルウォッチ等々etc。異世界転移後、これらの新商品の販売は在庫が切れればもう販売できなくなるだろう。さらに言えば、アップルの本社や海外工場と寸断される訳であって、アップルの優秀な技術スタッフも日本に居る訳ではない。アップルの新商品開発や研究の拠点は本社のあるアメリカだったりその他の海外であるからだ。これでは新商品の開発も供給すらも非常に困難だ。異世界転移前の様な従来通りのアップルの新商品を販売して利益を得るというビジネススタイルは異世界転移後は崩壊したと言って良いだろう。では、アップルはここまでなのか?と思いもするが、実はそうではない。
アップルは実は、日本国内にアップル製品のパーツを供給している工場が100を簡単に超えるレベルで存在するのである。面白いデータがある。アップルはアップル製品に部品を供給している各国の企業リストとしてサプライヤーリストを公開しているが、その内、20%近くが実は日本にあるのだ。この供給量は2020年時点でアップル製品への部品供給国別ランキングで第3位に相当する。つまり、アップルの部品は日本国内でも資源さえあれば生産可能なのである。もちろん全てが調達できる訳ではないだろうが、新たな調達先を見つける事ができれば、生産は決して夢物語ではないだろう。これは異世界転移から時間が経過し日本経済が回復していけば、いずれはかつてのアップル製品を再び生産する事も可能だという事だ。異世界転移後の日本では恐らくかなりの長期間に渡ってスマホやPCなどのIT機材はなかなか進化しないと予想される(理由は後で解説)。その為、異世界転移時の既存の設計のスマホやIT機器でも売れるという可能性はあるだろう。また、長期的と書いたが、もしかしたら、転移からそれなりの時間が経過した後であるならば、アップル・ジャパンの企業努力によって優秀な技術者を獲得し新商品を開発し生産する事も可能かもしれない。
ただ、今解説したのは新規生産の話だ。異世界転移した当初は当然の事ながら新商品の生産は不可能だろう。当然の事ながら、日本経済が回復し新規の生産ができる様になるまで何とか別で稼がなければ、ならない訳だ。では何があるかと考えれば、恐らくだが、民間や法人や企業向けに故障したアップル製品の修理業が可能ではないだろうか。工場があるのもそうだが、何故ならば、日本はスマホシェアの過半数をアップル製のスマホが占めているからだ。市場にはアップル製のスマホや部品が既に溢れている。異世界転移後でもこれらの部品を収拾すれば修理業は充分に成り立つだろう。また、次の話だが、これらの物理的商品での商売以外でも、グーグルと同じく、アップルが開発し提供している世に溢れる数多のソフトウェアやアプリケーションも収入源となるだろう。アップルのソフトウェアやアプリケーションはその界隈では非常に評価が高い物が多い事で有名だ。これらを販売したり提供する事で継続的に収入が得られられるだろう。そして、こちらもグーグルと同じくアップルが所有している数多くの知的財産も収入になるだろう。
なお、これはおまけ情報だが、アップルの公式ページによると、アップルの日本国内の全ての事業によってアップルは日本に対して80万人の雇用を生み出しているそうだ。すっご……。
・フェイスブック
みんな大好きSNS!その筆頭格の一つ!フェイスブック!フェイスブックが滅びるなんて事はありえない!………………とは、いかないかもしれないんだよなぁ……残念なの事に、ね。
残念ながらここで真打登場です。各社の紹介前に1社を除いてGAFAMが異世界転移後に倒産する可能性は限りなく低いだろうと書いたが……はい、残念ながら、その1社を除いての1社とはフェイスブックの事です。どういう事なのか説明します。
フェイスブックは2021年9月時点で世界第6位の時価総額ランキングの超巨大IT企業だ。フェイスブックのサービスを利用する人口は28.53億人にも達する。誰も無視する事ができない超巨大企業だ。そんな企業ならば、一見すると、異世界転移後の日本でも充分生き残れる様にも感じる。しかし、実際はフェイスブックにとっては非情な現実だ。
フェイスブックはそのSNSサービスの根幹であるデーターセンターを日本に置いていないのだ。もしかしたら、一般公開していない非公式なデーターセンターを置いている可能性はもちろんあるにはあるが、恐らくあってもフェイスブック(SNS)を提供する物ではないだろう。恐らくは別の用途の物だ。何故ならば、フェイスブックのデーターセンターはアメリカ本土や欧州に集中している。英語でも調べてみたがフェイスブックのデーターセンターについて、日本のにの字も出てこなかった。それどころかアジア初のフェイスブックのデーターセンターとしてシンガポールに設置という話題が日本語でも英語でも紹介されていた。このアジア初という文句が事実であれば、フェイスブックのサービスを提供しているデーターセンターは日本には存在していない事を示している。
これは異世界転移後のフェイスブックについて非常に重大な事実だ。何故ならば、データーセンターが無いという事はフェイスブックの重要な収入源であるSNSのサービスが継続不能の状態となるからである。では、データーセンターを日本国内で確保すれば良いじゃないと思う人も居るかもしれないが、前回、情報インフラ面・SNS編でも解説した様にサーバーの確保問題によって、新たな巨大サーバーの確保は大変困難だ。つまり、フェイスブックはサービスの再開は非常に難しいという事なのである。
日本国内に一般非公開のデーターセンターが存在する場合、それを利用するデジタルサービスの提供は可能だ。また、グーグルやアップルの様に、フェイスブックが開発し提供しているソフトウェアやアプリケーションも存在するだろう。これらを販売したり提供したりする事による継続的な収入も恐らくは得られる。ただし、フェイスブックが開発しているソフトウェアやアプリケーションは恐らくそこまで一般的ではないのではないだろうか?もしかしたら私が知らないだけかもしれないが、軽くフェイスブックが開発したソフトやアプリでグーグル検索をかけてみたが、見つからなかった。これを踏まえると、ソフトウェアやアプリケーションによる収入は限定的かもしれない。あとは、フェイスブックが所有している数多くの知的財産は収入になるだろう。
正直言って全体的な総評としては、異世界転移後のフェイスブックの全体の売り上げはかなり壊滅的と言わざるを得ないのではないだろうか。日本国内にデーターセンターや工場が無かった事がかなり致命的と言える。間違いなく、フェイスブックはGAFAMの中では最大のダメージを受ける企業となるだろう。
・アマゾン
みんな大好きアマゾン!アマゾンが無いと生きていけないという人は世の中非常に多い筈!私もそんな世の中の人間の一人です。そんなアマゾンが無い生活なんて考えられない!という人を増やしてきたアマゾンは異世界転移後にどうなるだろうか。アマゾンは世界的な通販企業として有名だ。実際、私も通販を利用している。だが、異世界転移後、アマゾンの通販業は大きな打撃を受けるだろう。異世界転移の影響によって転移から何年間かは、新商品という物が市場から圧倒的に不足する事になるからだ。国内で大量生産が可能な製品(紙製品や木製品など)以外の新商品は市場からほぼ消えると考えて良い。新商品が無ければ通販の新商品販売は成り立たない。これはアマゾンにとって大きな打撃となるのは間違いないだろう。また、これまで輸入していた海外商品も無くなる。これも大きな打撃なのは間違い無しだ。しかし、通販の需要という事だけを考えれば、それ自体が完全に無いかと聞かれれば、それは違うだろう。異世界転移後、日本国内では中古品市場がかつて無い程のレベルで活性化する事が予想される(何故かは後で解説する)。つまり、アマゾンは中古品も扱っている為、もしも日本国内の交通において、トラックによる運送業に通販業者もこれまで通り参画する事が仮にできている様なら、中古品販売によって利益を上げられるだろう。この場合、異世界転移前と比べて通販業による減収は避けられないが、それでも、かなり大きな収入を得る事は可能だ。
だが、状況次第では通販が成り立たなくなるという可能性もある。例えば、石油節約の政策が超ハードモードに行われた場合、運送業に通販は参入できなくなるという可能性もある。つまりは運送業者のトラックに商品を乗せられなくなる。こうなれば、通販は成り立たない。アマゾン万事休すか?と思うかもしれない。だが、実はそうではない。アマゾンに対して一般的には通販会社というイメージを持っている人はかなり多いだろう。しかし、実はアマゾンは通販以外にも様々な事業を展開しているのだ。
個人的に調べてきた感想だが、アマゾンは恐らくGAFAMの中では最も日本市場に対して野心的な投資をしている超巨大企業だ。正直、驚愕するレベルである。これはGGIKKとは関係ないが、断言しよう。アマゾンは近い将来、日本社会にとってより無くてはならない企業となるだろう。2020年、アマゾンはアマゾン・ジャパンの売上だけで、2兆1600億円に達した。楽天などはアマゾンと競っているが、通販市場はアマゾンの独走状態となりつつある。さらに言えば、これから後述する様々なサービスを含めさらに新たに開発したサービスなども次々と展開している。アマゾンはこれからも巨大化していき日本国内でその存在感を高めて行くだろう。
話をGGIKKした日本に戻そう。
アマゾンは、通販以外にも様々なサービスをこの日本国内で展開している。特にIT分野での存在感が非常に大きい。例えば、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)。AWSはクラウドサービスプラットフォームで、ビジネスのスケールや成長をサポートする処理能力、データベースストレージ、その他の機能を提供しているサービスだ。これは以前にも軽く紹介した事があるが、このサービスは日本国内で数十万件を超える顧客が存在し、それどころか、この顧客の中には2020年に日本政府すらも加わっている。コロナによって露呈した日本の遅れたデジタル化を進める為に、各省長間を横断するやり取りを管理するプラットホームとしてアマゾンを政府共通プラットホームとして採用したのだ。
ここからは、恐らく聞き馴染みのあるサービスが登場する。アマゾンプライムビデオ。ネット上で、映画・ドラマ・アニメを月額500円で見放題というサービスだ。このアマゾンプライムビデオ、その利用者数は日本国内での定額制有料動画サービスの中では断トツの1位を獲得している。その規模は2019年の時点で509万人、2位はネトフリの愛称でも呼ばれるネットフリックスで171万人だ。2位と比べても大差で顧客を獲得している事が分かるだろう。それどころか、すごいのはこの数字がコロナ前のものだという事だ。まだ2020年の日本国内の詳細な増加数の数字は出てきていないが、全世界での数字は既に明らかになっている。2020年、コロナによる巣篭もり需要の拡大によって全世界でアマゾンプライムビデオの利用者数はなんと、5000万人も急増したそうだ。恐らく、日本国内においても爆発的に利用者数がビックリするレベルで急増しているであろう事は想像に難くない。
そして、アマゾンプライムミュージック。アマゾンプライムの会員(有料)ならば100万曲以上の曲が聞き放題というサービスだ。2020年、日本国内の定額制音楽配信サービス利用者数は2390万人に達した。正確な利用者数は不明だが、2020年のICT総研による調査によって、アンケート調査の結果、利用者数のトップはアマゾンプライムミュージックという結果を獲得している。
これに類似したサービスとしてアマゾンミュージックアンリミテッドがある。こちらは月額780円または年額7800円、アマゾンのプライム会員でない人は月額980円で新曲から名盤まで6500万曲以上の曲が聴き放題のサービスだ。こちらも正確な利用者数は不明だが、こちらも先程のICT総研による調査によってアンケート調査の結果、利用者数で、5位という結果が出ている。
次はKindleストアだ。これは電子書籍ストアの事で、インプレス総合研究所による電子書籍ビジネス調査報告書2021によると、2020年度の日本の電子書籍の市場規模は、2019年度の3750億円から4821億円の増加だったそうだ。Kindleストア自体の正確な売上や利用者数は不明だったが、この内、利用されている電子ストアのサービス及びアプリの利用率では、Kindleストアが26.2%は2位の規模で、1位はLINEマンガの27.8%だった。なお、Kindleストアは2019年までは1位を獲得していたそうだ。また、アマゾンはKindle Unlimitedという月額980円で和書12万冊、洋書120万冊以上の本が読み放題のサービスも展開している。こちらもそれなりの利用者を獲得しているそうだ。
これらの映画、アニメ、ドラマ、番組、音楽、書籍のデジタルサービスは異世界転移後、旅行などができなくなり、家で過ごす時間が多くなると予想される異世界転移後の日本では、非常に重宝されるだろう。
そして「アレクサ!電気消して」のフレーズで超有名なアレクサもある。ちなみにアレクサは日本全体で20万人程が利用しているそうだ。
はっきり言って通販業をやりながら、ここまで巨大なITサービスを展開してかつ成功している事に凄さを覚える。だが、思うかもしれない。いくらデジタルサービスをここまで展開しているとはいえ、グーグルやアップルやフェイスブックが辿った様に異世界転移したら多くのサービスの提供継続はできないのではないかと。
だが、先にも言った通り、アマゾンは他のGAFAMの面々とは違い、日本市場への力の入れようが全然違うのである。と、いうのもだ。アマゾンはなんと、日本国内において、7箇所から10箇所にも及ぶ巨大データーセンターを幾つも運用しているのである。データーセンターの詳細な利用方法は明らかにされていないが、確実なのはAWSは日本国内で運用されているという事だ。これはアマゾンも情報を出しているので確実だ。
アマゾンのデーターセンターがどれだけ巨大かが良く分かる話がある。日本国内でアマゾンが運用しているデーターセンターの消費電力はなんと、原発1基分に相当するのだ。これを聞けばどれだけ巨大なデーターセンターか想像ができるだろう。
これらデーターセンターは情報管理の側面も恐らくは持っているとされる。以前、ラインが韓国のサーバーに日本国民の身分証や銀行口座情報等の個人情報を保管し、さらにそれを中国にあるラインの提携会社から見れる様になっていた事が明らかになって大問題となった事があったが、アマゾンはラインよりも危機管理がしっかりとしており、各国に専用のサーバーを設置して管理している為、ラインの様な問題は起こっていないという訳だ。さすがは世界を支配する企業の一角であると言えるだろう。だが、単なる危機管理だけがデーターセンターの目的でも無いはずだ。ここまで大量にデーターセンターを設置するという事はそれだけ企業的な野心を持ってこれを運用しているという事を示している。
アマゾンが日本で運用している巨大データーセンターの数は7箇所から10箇所。アマゾンの通販の巨大物流センターの数は日本全国に27箇所だ。いずれも巨大な施設で、使われてる技術も他の日本国内のそこらの企業では中々お目にかかれない様な数多くの最新鋭技術が使われている。
これだけを聞いても、アマゾンがどれだけ日本市場に力を入れているかが分かるだろう。
アマゾンは恐らくGAFAMの中では最も日本市場に対して野心的な投資をしている超巨大企業だと先程言ったが、これはこれらのデーターセンターや物流センターの存在から言える事なのだ。ここまで、多くのデーターセンターや施設を運用している企業は恐らくGAFAMの中ではアマゾンが国内で唯一だろう。だから、私はGAFAMの中では野心的な投資をしていると考えているのだ。
これらの施設の存在によって恐らくはアマゾンは現在提供しているサービスの殆どを異世界転移後でも継続が可能だろう。特にデーターセンターの存在が非常に大きい。AWSはこれまで通りのサービス提供は恐らくはでき、それ以外のサービスも日本国内のサーバーを利用している物はできるだろう。これだけの規模のデーターセンターである。恐らくはAWS以外の用途にも利用されていると考えるのが自然だ。また、サービスの提供継続が不可能なサービスが存在したとしても、上手くデーターセンターを活用する事で再開できる可能性の余地も残されているだろう。
ちなみにこれはおまけ話だが、今年(2021年)にアマゾンは国内のデーターセンターと物流センターで使われる電力の一部について、三菱商事と契約し2023年までにかけて順次稼働する国内450カ所以上の太陽光発電施設で発電して使う事になったそうだが、これは大手電力会社を介さない日本初大型契約として話題になっていて、さらには、将来的にはアマゾンが日本国内において電力事業にも着手する可能性があるとの指摘もされているそうだ。もしこれが本当にそうなったとしたら、アマゾンは日本国内でますます巨大になっていく事だろう。10年後、20年後のGGIKKではアマゾンはもっと化物みたいな企業になっているかもしれない。
・マイクロソフト
みんな大好きウィンドウズ!OSと言えばウィンドウズ!でおなじみのマイクロソフト。そのマイクロソフトは異世界転移後にどうなるだろうか。マイクロソフトは恐らく異世界転移によって非常に大きな打撃を受けるだろう。そしてその打撃規模は恐らくだが、グーグルと似たものになるかもしれない。マイクロソフトもグーグルと同じく、ITに特化した企業だ。特にソフトウェア面が非常に強い。しかし、異世界転移によって海外にある本社やその他の研究組織との繋がりが断たれる。新商品は恐らく生み出せないし、新たな技術開発も非常に難しい状況へと追い込まれるだろう。また、マイクロソフトは自社ブランドのPCやタブレットや端末等も販売しているが、これらも生産拠点は海外である為、日本国内での販売継続は非常に困難だだろう。
だが、マイクロソフトはフェイスブックとは違い、なんならグーグルよりも、もしかしたら良い立場かもしれない。何故ならば、IT企業にとって何よりも重要なデーターセンターを日本国内に所有しているからである。フェイスブックは異世界転移後、国内にデーターセンターを設置していなかった事が災いして存続の危機に直面するが、マイクロソフトは、日本国内に複数のデーターセンターを運用している。詳細な数は不明だが、分かってるだけでも、東京、埼玉、大阪にデーターセンターが分布しているそうだ。この判明しているデーターセンターはマイクロソフトが提供しているAzureというアマゾンのAWSと同系統のクラウドサービスに使用されているとされる。AzureはMM総研による国内クラウドサービス需要動向調査というアンケート調査によると国内シェアではAWSに次いで市場2位の利用者が居るそうだ。マイクロソフトは恐らくグーグルよりも多くのデーターセンターを国内で運用している可能性が高いのではないかと思っている。もしかしたらアマゾンの規模にも匹敵する可能性もあるかもしれない。データーセンターが存在するという事はマイクロソフトが提供するデジタルサービスを提供できるという事だ。
そしてなにより、こうしたクラウドサービス以外にもマイクロソフトには非常に強い優位性がある。それはウィンドウズなどのOSソフトウェアの存在だ。知っての通り、世の中全てのコンピューターの中にはOSソフトが組み込まれている。そしてそのOSソフトの内、特にPCで支配的な圧倒的シェアを誇るのがマイクロソフトが提供するウィンドウズシリーズだ。世に溢れるPCの内、アップルのマックか、マイナーなPC以外のOSは全てウィンドウズが無ければ起動する事すらできないと言っても過言はない。これらのOSソフトは異世界転移後でも日本国内において支配的なシェアのまま推移するだろう。何故ならば、理由は2つある。まず、第1に日本はウィンドウズ10が登場するまで、それまでウィンドウズ7や8が既に登場していたにも関わらず、2015年の国内OSのシェアでウィンドウズXPが18.93%も存在した世界的に見てOSの更新が遅い実績を残した国だからである(悪い意味で)。第2に異世界転移によって科学の進歩があらゆる面で停滞か鈍化する事が予想される為だ。この為、恐らくだが、もしも現時点で日本が異世界転移した場合、科学の進歩が停滞もしくは鈍化する事を考えると、現在広く使われているウィンドウズ10は、10年どころか20年単位、下手すると半世紀近くにも渡って日本国内で働き続けるかもしれない。もっと恐ろしい事を考えれば最悪100年間なんて可能性ももしかしたらあり得るだろう。これらの理由から異世界転移後もマイクロソフトは日本社会にとって無くてはならないOSソフトウェアを販売し続ける事によって相当な収入を得られ続けるだろう。
とりあえず、以上が、GAFAMの5社ごとの解説である。
まぁ、1社を除けば潰れる心配は恐らくは無いだろう。これら5社全てが潰れるとしたら、それこそ日本が内戦になったり、パンデミックが起きたりそういうヤバイ状態になった時ではないだろうか。
では、次にこれらGAFAMの異世界転移後の日本社会における影響力について考えてみよう。
現時点ではGAFAの4社だけでも株式市場の時価総額で日本株全体を上回る結果となっているが、果たして異世界転移後はどうなるだろうか。
これについても、まず結論から言おう。
ここまで読めばもう予想がついている人も居るかもしれないが、結論から言って影響力は確実に低下するだろう。1社にいたっては存続の危機に陥っている事からも予想は簡単だ。
だが、各社ごとに評価は異なる。細かく見ていこう。
・グーグル
グーグルは異世界転移後も確実に存続する。よっぽど下手な経営さえしなければ十分に生き残れるスペックを持っていると言えるだろう。しかし、影響力という話になると大幅に低下すると言わざるを得ない。まず、グーグルが提供している重要なサービスの幾つかが停止する可能性がある。その最大がユーチューブだ。ユーチューブはどこにデーターを保管しているかは不明だが、恐らくは海外に保管されている可能性が高い。もしそうだとすると、ユーチューブは異世界転移後に使用する事ができなくなるだろう。それ以外にもグーグルの原動力でもある新技術の開発も海外にある本社やその他の研究組織との繋がりが断たれる為に、非常に難しくなるだろう。この影響は恐らく非常に大きい。恐らく、異世界転移後のグーグルはサービスの提供が継続可能なサービスの提供維持に努め、また、既存のソフトウェアやアプリケーションの販売。グーグルがこれまでに開発した技術の知的財産の管理に努める経営状態となるだろう。この体制が落ち着いた後には、新しい技術を開発する為のエンジニアチーム等も発足されるだろうが、一から体制を再構築しなければならない訳で、開発施設も満足な施設や設備も恐らくは存在しない事を考えると、グーグルにとっては相当な足枷となるだろう。恐らく、その足枷によって、新しい技術やサービスの開発面では他の大企業の方が圧倒的に有利になる筈だ。なお、ちなみに検索エンジンのグーグル先生は異世界転移後も恐らくは生き残れるだう。何故ならば、日本企業による検索エンジンで有名な物は殆ど存在しないからだ。グーグルは会社としての影響力が低下する事は免れないが、知名度自体はグーグル先生が生き残る事によって低下する事は殆ど無いだろう。恐らく、グーグルが日本社会に与える影響力は日本の中堅IT企業レベルで収まるのではないだろうか。異世界転移前のグーグルは国内ではNTTと同等かもしくはそれ以上の影響力があるが、異世界転移後はNTTよりも下の影響力に落ちるかもしれない。
・アップル
アップルも異世界転移後も確実に存続する。よっぽど下手な経営さえしなければ十分に生き残れるスペックを持っていると言えるだろう。アップルに関しては、その影響力には2つの段階の変動があるのではないかと考えている。それは、異世界転移によって資源が不足している期間と、異世界転移からある程度の時間が経過し資源の調達が安定した期間の2つの段階だ。前者をフェーズ1、後者をフェーズ2として解説する。
フェーズ1は異世界転移初期の頃だ。異世界転移の影響によって日本国内の資源が不足している頃である。フェーズ1ではアップルは恐らく、中古部品をかき集めてのアップル製品の修理業。アップルが提供するソフトウェアやアプリケーションの販売。アップルの知的財産の管理に努めるだろう。この段階では恐らく、アップルの影響力は非常に下がっていると評価できるだろう。政府に重要な電子機器メーカーとして認められた企業は恐らく日本政府から多くの支援を受けつつ現代文明を崩壊させない様に生産体制の再構築が行われ、民間には出回る事は殆どないだろうが、ある程度の新規生産の製品を作れるだろうが、アップルはこうした政府からの受注を受けられない可能性が非常に高いのではないかと考えている。というのも、アップル製品はご存知の通り、コストが非常に高い。例えばスマホのアンドロイドが安くて1万円から2万円で概ね調達できるのに対して、アイフォンは5万円以上する場合が非常に多い。これはアップルのPCなどでも全般的に言える事だ。異世界転移後の切羽詰った日本政府が価格の高いアップル製品を導入する可能性は低いだろう。また、既存で使われている政府や自治体の公共のPCやスマホ、電子機器などもアップル製は殆ど導入されていないと考えるのが自然だ。値段が高い為だ。この状況を考えても、あえて異世界転移後の切羽詰った日本の状態でこれまで使っていた物からアップル製品に切り替えるメリットが見出せない。よって政府からの受注が受けにくいのではないかという予想が成り立つ訳だ。政府からの受注が受けられない、もしくは、受けても規模が小さければ、それだけ電子機器メーカーとしての影響力が低下する事を意味している。なぜならば、フェーズ1の時期の日本では資源不足によって一般への電子機器の新規生産の製品の流通は恐らくほぼ0に近くなると予想がされる為だ。例え、アップルがめちゃくちゃ頑張ってこの時期に新規生産の製品の生産体制を整えたとしても資源が無い為に作りだす事ができないのである。
だが、状況が変わる可能性があるのがフェーズ2の時期だ。フェーズ2の時期に入ると日本は資源が調達が安定し始めた頃な訳だが、この頃になれば、生産体制さえ整えていれば、新規生産の製品の販売が可能になる。アップルは異世界転移によって、本国や海外のエンジニアチームと寸断されてしまい新規での技術開発は非常に困難なものになるだろうが、異世界転移する前に開発したアップル製品の製造を開始すればある程度の顧客を獲得できるだろう。フェーズ2の時期、日本国内の市場ではこれまで新品の電子機器が買えなくてずっと中古品を使っていた人々の購買意欲がまさに爆発すると予想される。ずっと何年も古い物を使い続けていれば当然といえば当然だろう。
そして、アップルが製品の販売を再開していた場合、日本市場では、とくに異世界転移前の日本を知る世代の人々の頭の中には、かつて、異世界転移前に自分達がこぞって買っていたアップル製品の記憶が蘇るかもしれない。アップル製品は現代ではある種のステータスとも言える状況だからだ。つまりブランド力がある。今の現時点でアップルの新製品が出たら飛びつくようにアップルストアや近くの電気製品店に行って買っている様な人にとっては、異世界転移後のアップル製品の復活は歓喜の状況かもしれない。
それでも、異世界転移前のアップルのシェアを維持する事は到底できないだろうが、それでもそれなりのシェアを獲得できる可能性が充分にあるだろう。ここで儲ける事ができれば、新商品の開発資金も多く貯める事ができる。アップルは上手く経営を進めていければ、異世界転移前の影響力には程には遠く及ばないにしても、充分に大手電子機器メーカーの一角としてその地位を確立できるだろう。ただ、もしかしたら、異世界転移後の日本は経済が転移前と比べて雲泥の差で悪いので、現在の様な一般庶民が多く買える様なメーカーではなく、ある種の高級な電子機器メーカーの立場となる可能性もあるかもしれない。ただし、これらの話は日本がフェーズ2に入る事ができたらという条件付きの話である。もしもフェーズ2に入れなかったら、フェーズ2の話はゴミ箱行きとなるので注意。また、アップルが生産体制を整えられなくても当然、フェーズ2の話しはゴミ箱行きとなるので注意。
・フェイスブック
フェイスブックは恐らく、その影響力は異世界転移後、皆無に近くなるだろう。なぜならば、理由は先に述べた様に日本国内にSNSフェイスブックのサービスの根幹となるデーターセンターが存在しないからだ。SNSフェイスブックにより収入の大半を得ているフェイスブックがその収入を得られなくなるというのは大打撃どころの話ではない。もはや企業としての存続の危機だ。先にも述べた様にもしかしたら、一般公開していないデーターセンターが日本国内に存在する可能性はあるが、それはSNSフェイスブックのサービスを提供しているものでは無いだろう。
何故なら、フェイスブックが公開しているSNSフェイスブックを運用しているデーターセンターの姿を見てみれば分かるが、これだけの規模の物が日本国内に存在していれば、もう話題になっている筈だからである。日本のSNSフェイスブックの利用者数は2600万人。さらに、フェイスブックのデーターセンターに収容されるデーターは何も日本だけでなく、様々な地域の人々からも収容されている事を考えると、SNSフェイスブックを運用するデーターセンターが存在した場合、その消費電力はアマゾンの国内サーバーに匹敵するか、もしくはその比では無いだろう。その様な巨大施設が日本国内に存在していた場合、話題になっていない方がおかしい。アマゾンはデーターセンターの情報を積極的に公開していないにも関わらず、データーセンターの場所が漏れているのだ。これらの事から、フェイスブックが日本国内に例えデーターセンターを運用していたとしても、それはSNSフェイスブックを運用出来る程の規模の物ではないと想像できる訳だ。また、前述でも書いたがシンガポールにアジア初のデーターセンターを設置という文言が本当の事だった場合、これはフェイスブックのデーターセンターが日本国内には存在しない事を意味している。
SNSも提供できず、データーセンターも無い。もしくはあっても用途は別。これではフェイスブックは大ダメージだ。一般公開されていないデーターセンターがある場合は、それを利用しているサービスは提供できるだろうが。それ以外では、継続が可能な業務はフェイスブックが転移までに開発した既存のソフトウェアやアプリケーションの販売。フェイスブックがこれまでに開発した技術の知的財産の管理に努める程度しかないだろう。
もはや、かつて世界を支配した超巨大IT企業の面影も無くなるのではないだろうか。恐らく多くの従業員がリストラされ会社を存続する為に会社のスリム化が行われるだろう。もはや、フェイスブックはかつてのフェイスブックの栄光を象徴する知的財産を管理する管理会社レベルにまで落ちるかもしれない。なお、会社のスリム化に失敗した場合は……もう分かるね?はい、倒産でございます……。
異世界転移後には悲惨な状態となる可能性の高いフェイスブック。これでもしも奇跡の大復活を遂げられるとしたら、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグが異世界転移時に日本に旅行にでも来ていて、異世界転移に巻き込まれるぐらいのシナリオかもしれない……。
世界的IT企業CEOの俺が日本旅行に行ったら日本が異世界転移した件。
みたいな?これだけで小説できそう。
・アマゾン
アマゾンは恐らく、GAFAMの中で唯一、日本国内での影響力の低下が少ない企業だろう。それどころかフェーズ2の段階に日本経済が入れば、異世界転移前の状態に近い影響力にも回復できるかもしれない。その理由は前述した様々なアマゾンの設備が日本国内に存在しているからだ。異世界転移前のアマゾンによる日本市場に対する野心的な投資が異世界転移後に生かされた格好だ。例えるなら、フル装備でアマゾンは異世界転移した。アマゾンもこんな事の為に投資した訳ではないだろうが(十中八九)、結果的にアマゾンは異世界転移に耐える事ができ、さらにはそれどころか、影響力の低下も非常に軽微に治められるだろう。アマゾンのライバル企業は日本の国内市場においては楽天が有名だが、恐らく、アマゾンは異世界転移後も楽天と日本国内の市場バトルを繰り広げているのではないだろうか。楽天もアマゾンと同じくフェーズ1の段階ではアマゾンとほぼ同じ経済的デバフ効果を受ける状況には変わりなく、フェーズ2の段階に入れば、アマゾンと同じく利益が上がるだろうという事が予想がつく。この事を考えれば、両社は異世界転移後も国内市場において良いライバル関係の企業で居続けるだろう。ただ、アマゾンが異世界転移前と同じ完全な影響力を保てるかと言えばそれは違うだろう。アマゾンは確かに国内の設備によってその影響力の大半は維持されるだろうが、転移前の様にアマゾン本社や海外のアマゾンからの莫大な投資や技術開発はされなくなる為、あくまでも日本市場での売上内でしか投資や開発は困難となるだろう。よって異世界転移前と比べればその影響力は低下すると評価できる訳だ。まぁ、それでも残った影響力だけでも化物級なのには変わりないですがね。だって殆どの外国企業の影響力が大幅に下がる中、アマゾンだけは正直、勝ち組な訳で、しかもその影響力は日本の大手企業ともこれまで通りに市場バトルで対等に戦えるレベル。ひぇ……。
ま、まぁ、私たちのアマゾンは不滅だ!って事で!ね?
・マイクロソフト
マイクロソフトの影響力はGAFAMの中では、アマゾンと同等か、それよりもちょい下レベルの影響力と評価できるかもしれない。異世界転移後、企業の規模的に考えれば、アマゾンの方が圧倒的に大きいかもしれないが、マイクロソフト製のOSやソフトウェアやアプリケーションが日本社会に与える影響力をかみすると、これは高く評価できるだろう。異世界転移後に何処かの日本企業がウィンドウズ10を超える様な高性能のOSソフトを開発したりすれば話は別かもしれないが、残念ながらその様なOSが登場する可能性はかなり低いだろう。
何故ならば、OSの開発経験が無いからだ。OSはマイクロソフトが支配的な地位を既に確立しており、かつてのバブル景気時代には日本企業も独自のOSを作ってはいたが、それもウィンドウズによって駆逐された。現在、日本企業でOSを開発している企業はよっぽどマイナーか、何かに特化した特殊な物しか作ってはいないだろう。ウィンドウズによってOS市場を制圧された事によって日本企業はOSの開発をする事がほぼ無くなった。何故ならば、勝負しても勝てないからである。殆どのPCがウィンドウズを運用する為に設計される様になり、他のOSが入り込める余地は無くなった。ウィンドウズ以外ではマックOSもである。この状況では他の企業が入り込むのは難しい。これに入り込むには、自社で独自のPCを開発し、独自のOSを作らなければならない。
つまりアップルのマックの様なPCを1から作らねばならないのだ。なお、マイクロソフトやアップルが、この支配的な市場で20年以上も、さらにお互いに切磋琢磨して市場バトルを繰り広げて、多くのOSに必需な技術に関しての特許(知的財産)を大量に獲得している状況でだ。日本企業が独自のOSで動く独自のPCを作る場合、これらのマイクロソフトやアップルの知的財産に抵触しない様に作らなければならない。そんな状況で異世界転移後に日本企業がウィンドウズ10を超える高性能なOSを開発できるだろうが?そして開発したとしてそれを日本中に普及させる事ができるだろうか?既にウィンドウズとマックが支配するこの日本市場で。20年以上前にOS作りをやめて20年以上の技術的ブランクがある状態で。PCに使われる部品の工場の製造規格もウィンドウズやマックで使われるPC用だ。私は不可能ではないかと推測する。よって、ウィンドウズは異世界転移後も、非常に長い長期間に渡って日本のOS市場を支配し続けるという予想が成り立つ訳だ。
異世界転移後もウィンドウズが使われ続けるという事は、それだけマイクロソフトの日本社会への影響力があると評価できるという訳である。また、長期的という事を考えるとその間に既存OSやソフトウェア、アプリケーションなどの販売で利益を上げながら、時間をかけて開発体制を再構築する事も可能かもしれない。もし、それができた場合、マイクロソフトの影響力は異世界転移前とほぼ同レベルと評価できるまでに回復するという可能性もあり得るだろう。
★おまけ 異世界転移後の国内IT事情を予想する。
異世界転移後の科学技術でも解説した様に、日本の科学技術の進歩の度合いは異世界転移後、停滞もしくは鈍化するだろう。そしてそれが恐らくトップ10に入るレベルで顕著な影響が出るのはIT産業だと私は予想する。なぜならば、電子機器に使われる部品の多くが生産を海外の工場で行っているからだ。さらにコンピューター機器にとってなによりも重要な半導体は日本企業が海外企業との市場競争バトルで敗北した事で今や風前の灯の状況にもなっている。こうした現状を踏まえると、異世界転移後、日本が現代文明を維持するには国内の生産体制を1から見直し再構築しなくてはならない。つまりは今まで海外の工場で作っていた部品を日本で作り、風前の灯の半導体は生産体制を強化しなくてはならないだろう。
政府機関や公的機関が使用する程度の必要最低限量のコンピューター機器の生産体制の構築は恐らくは1、2年から数年程度でもできるだろう。異世界転移で日本も必死だからだ。もしくは1年以内にもできるという可能性もあるかもしれない。しかし、これが一般社会への供給という話になると話が全く変わってくる。当然の事ながら、政府機関や公的機関が利用しているコンピューター機器の数よりも、民間に出回っているコンピューター機器の方が圧倒的に膨大で市場には需要がある。つまりは、それだけの需要に答えられるだけの量産ができる生産体制を構築しなければならない。
その様な生産体制をすぐに構築できるのか?恐らくは不可能だ。何故ならば、それらの施設や設備を準備するのも大変だが、異世界転移後、日本はあらゆる資源が不足し国外からの供給を目指す事になる訳だが、その資源を発見するまでにかかる時間や、採掘体制の構築、日本への供給体制の構築など、時間のかかる作業を沢山しなければならないなど、非常に多くの足枷がある。その事を考えると、異世界転移後に一般人が新品の電子機器を満足に買える位までに経済、資源、生産体制の状況が良くなるには、最低でも10年の時間が必要だろう。もしくはそれ以上の可能性もある。
つまりはである。最低でも10年間かもしくはそれ以上もの時間の間、日本では技術の進歩とかよりも、異世界転移前に作れていた物をまた作れる体制にする事に対して時間や金や知恵がかけられるのである。
なぜなのか?答えは単純かつ明快だ。この体制ができなければ、日本の科学技術の水準が低下してしまうからである。つまりは日本の文明度が後退する。それだけは何としても避けなくてはならない訳だ。
大半の力が既存技術による生産体制の構築に費やされるだろう。
より良い物を作る事よりも、今ある物を守るという事だ。
新たな生産体制が整っていない状況で新技術の開発にかけられる力など非常に限られている。
かけられるリソースは有限なのだ。新技術の開発は多くの計画が後回しか、停滞、鈍化するだろう。
この、異世界転移前に作れていた物をまた作れる体制にする事は、IT技術にとって非常に大きな影響を与えるだろう。最低でも10年以上もの間、新型のコンピューター機器が登場しないという事は、転移時点の規格の物が生産され続ける事を意味しているからだ。PCもスマホもタブレットもだ。
さらに言えば、資源不足によって一般国民は新品の電子機器などは滅多に手に入らない物と化している可能性が非常に高い。多くの一般国民は異世界転移時点で国内で流通していた中古品を修理し使い続けている事だろう。新品が手に入っている一般人がいるとすれば、それは、倍率の非常に高い抽選販売などによる非常に狭き門を潜り抜けた人しかいないだろう。
この様な状況下ではOS、ソフトウェア、アプリケーションソフトウェアは進歩する事は殆どないだろう。何故なら、例え作れたとしても、多くの利用者が持っている機器で利用が出来ない可能性が非常に高いからだ。企業としての利益にもならない。
話をまとめると異世界転移後の日本では、多くのOS、ソフトウェア、アプリケーションの新開発が停滞及び鈍化し、10年以上もの長期間に渡って異世界転移時の規格の物が使われ続ける可能性が高いという事だ。
超分かりやすく言えば、今使われているレベルの性能のOS、ソフトウェア、アプリケーションが非常に長い期間に渡って使われ続けるという事だ。新しいOS、ソフトウェア、アプリケーションが登場する様になるのは、一般人への新規生産の電子機器が充分に市場に流通出来る様になってからだろう。
そして、その時期の新技術開発すらも、日本単独でやらなければ、ならない為に、新技術の開発に力を入れる様になっても異世界転移後の科学技術での解説の様に、鈍化や停滞は起きるだろう。研究が進まないとは言わないが、ようは研究ペースがゆっくりになるという事だ。
また、上記の理由とは別に日本人の悪い特性もある。
マイクロソフトの解説でも触れたが、日本はウィンドウズ10が登場するまで、それまでウィンドウズ7や8が既に登場していたにも関わらず、2015年の国内OSのシェアでウィンドウズXPが18.93%も存在した世界的に見てOSの更新が遅い実績を残した国であるという事。
これはなにもXPだけの話ではない。
これはそれだけ新しい物を導入しようというという社会的な風土が低い事を示している。
実際、私たちはコロナで身を持って知った筈だ。
日本は世界第三位の経済大国であり先進国であり主要先進国の1つであるにも関わらず、他の先進国に比べてデジタル化が全然進んでおらず、他の先進国が数日でできた国民への現金振り込みが何ヶ月もかかる大混乱。テレワークも進まない。判子を押さないといけいない。アメリカでは既に博物館で展示されているレベルのFAXが現役などなどetc。
今まで、変化を拒んできた日本の社会そのものが、これまでのツケを払わされたのだ。
だが、この新しい物を導入しようという社会的風土が低い現状はコロナで治っただろうか?
多少は改善されたと言えるだろう。しかし完全に治ったとは言い難い。今でも自分の働く職場などが、旧態依然としていて困っているという人は日本中にごまんと居る。
未だに判子とか言っている職場も存在する。FAXだってそうだ。
この社会風土の存在を考えた場合。日本は異世界転移すると最低でも10年間は技術的な進歩が殆ど起こらず技術が停滞する事を考えると、この技術的な進歩の停滞と日本の社会風土が悪魔合体して、フェーズ1からフェーズ2の段階に入ったにも関わらず、人々が今ある物に慣れきってしまい、満足しさらには変化を恐れる事で、新技術の積極的な導入のスピードがゆっくりになってしまう可能性があるのではないか。
そうなれば、古い規格の物がそれだけ長く使われるという事である。
ウィンドウズXPはマイクロソフトによるサポートの終了とウィンドウズ10への半ば強制的なアップデートによって日本市場からも駆逐された。言わば日本の外部からの干渉によって日本社会が変わったと言えるだろう。だが、異世界転移後はこの様な外的要因による日本社会への干渉は殆ど無いのだ。
あるのは変化を拒む傾向にある日本の社会。
つまりは何を言いたいのかといえば、例えば異世界転移から数十年後、もしかしたらウィンドウズ10が現代の日本におけるFAXの様な存在になってしまう可能性があるのではないかという事である。
…………。
私としては後半のウィンドウズ10がFAXの様な存在となる様な異世界転移後の日本社会は正直、そうはならないでくれって思う。この点はできれば私の予想が外れていてほしい。でも、現実を考えるとどうしてもこういう最悪の予想が出てきてしまう……。
★おまけ 異世界転移後の通販事情を予想する。
通販の需要自体はフェーズ1でもフェーズ2の段階でもあるだろう。フェーズ1の段階では中古品市場だ。フェーズ1の日本では資源不足によって新品の製品が殆ど流通しなくなるが、国内の中古品市場は非常に活性化する事が予想される。理由は新品の製品が殆ど流通しなくなるからだ。新たな物を買うには中古品しか手はない。さらに経済の悪化によって手元の品を売りたいという人も急増するだろう。
フェーズ2の段階は既に日本経済が回復時期に入った頃だ。新たに製造された製品が流通する様になれば、当然の事ながら通販の需要は完全復活しているだろう。
だが、ここまでの話はあくまでも需要の二文字の話である。フェーズ2はともかく、フェーズ1の段階で通販業は継続可能だろうか?恐らくだが、最低でも異世界転移前の様な宅配サービスは不可能だろう。なぜならば、これには幾つか理由があるが、例えば、政府による石油の節約政策の影響だ。これは政府による石油の節約政策がどこまで厳しいかによるだろう。民間への燃料制限の内、大手運送業者が影響を受けていない様な燃料の供給制限だったならば、これから後で解説する理由の影響によって完全とは言えないものの、それでもまだ通販はまだ可能だろう。しかし、大手運送業者にまで燃料の供給制限の影響が出た場合には、通販業の継続は困難となる。大手運送業者にまで燃料の供給制限の影響が出た状況というのは、大手運送業者がトラックで運ぶ荷物を必要最低限に抑える事を意味しているからだ。次の理由だが、GPSの喪失である。異世界転移した場合、GPSは使用不能の状況となるだろう。現代人がGPS無しで宅配物を個人宅まで運ぶというのは非常に困難だ。
もしも、政府の石油節約政策が、大手運送業者が影響を受けていない燃料の供給制限であった場合、通販業が続けられた場合の通販はどうなるだろうか。恐らくだが、これまで通りの自宅までの配送というのはほぼ無くなるのではないだろうか。理由はGPSが無く、個人宅への宅配が困難となるからだ。私の勝手な予想ではあるが、恐らくは各地に通販の荷物の集積所みたいな物を設置し、購入者はそこに荷物を取りに行くという方式に変わる可能性が高いのではないだろうか。
では次にフェーズ1の状況にも関わらず、政府が大手運送業者に燃料の供給制限をかけない様な状況があり得るのかを解説する。
結論から言えばあり得なくはないというのが私の結論である。どういう事かというと、国内の資源の有効活用や、国民生活の保護の観点からだ。国内には無数の中古品が溢れているが、その殆どは個人宅や倉庫等にしまわれていたりしているのが殆どだろう。それを何もかも足りない国内市場を少しでも潤す為に、通販業などを活用して上手く回す為に、物流の根幹である大手運送業者には制限をなるべく与えないというのは手っ取り早いという訳だ。また、近所に中古品販売店が無くて中古品を売りたくても売れないという人も居るだろうし、そういった人々を取り込める手段として通販は有効だと思われる訳だ。運送業者は言わば、国家の赤血球と言えるだろう。
それ以外にも国民生活の保護の観点で言うと、先にも少し出てきた様に、世の中には近所に中古品販売店など無いという地域も存在する。そういった人々が物を購入できる様にする意味合いもあるだろう。
通販が例えGPSを喪失した影響で集積所までの運送になったとしても、通販が稼動さえしていれば、それは国内の物流網がそれだけ活性化しているという事である。国内の中古品資源を有効に回す助けとなるだろう。
これは、石油資源の節約と中古品資源の有効活用。
このせめぎ合いだとう訳だ。石油を徹底的に節約すれば、それだけ石油に関しては色々と時間を稼ぐ事ができるが、国内の中古品資源の有効活用や国民生活といった面では悪影響となる訳だ。
例えば悪影響の一例として有得る話としては、通販が利用できない様な石油節約政策を政府が実施している場合、国内の物流はそれだけ非活性化している訳だが、その状況での中古品市場を考えると、どこどこの地域では何々の部品が多く売ってるのに、どこどこの地域では何々の部品は全然売っていないみたいな品物の地域格差みたいな問題が発生する様な可能性もあるだろう。通販によるお取り寄せが難しいからだ。
石油資源の節約と中古品資源の有効活用。
これは非常に難しい問題だろう。何故ならばどちらにも正当性があるからだ。
RPGゲームで例えるなら、HPを強化するか、スタミナを強化するかで迷うみたいな感じかもしれない。
政府が一般の自動車への燃料供給を完全に停止したのだから、公共性の高い大手運送業者は、国内の中古品資源の有効活用や国民生活への影響を考えて、そちらへの燃料供給には制限を与えないと判断すれば、大手運送業者には燃料がなるべく安定供給されるだろうし。
政府が、いや、中古品資源の有効活用や国民生活も大事だが、石油が無くなったらおしまいだ。少しでも節約をしなければ……と考えれば、大手運送業者への燃料供給も供給は最小限になるだろうし。
今、言った2つの判断の中間ぐらいの判断を政府がする事もあるかもしれないし。
これは非常に政府の頭を悩ます難問の一つとなるだろう。
果たして、異世界転移後の日本政府は大手運送業者への燃料供給をどの様に考えるのか。非常に難しい難問だ。




