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経済面・異世界の技術者、日本で成功できる説

 

★経済面・異世界の技術者、日本で成功できる説


安全保障面・装備面における対中世文明及び対魔法編でも紹介した様に、古代文明は我々、現代人が想像するよりも遥かに高度な文明と技術力を有していた。


現代の科学力をもってしても、古代文明が持っていた幾つかの技術の謎は解き明かせないレベルだ。

再現ができていない技術も数多い。


古代ローマは古代ローマ後に登場した新しい分野の技術や知識が無かっただけで、その他の技術や学問面では多くの面で現代文明と変わりない水準の高度な文明を築いていた。なんなら、一部の技術は現代文明よりも高度に進んでいた。

古代ギリシャは世界初のコンピューターを生み出し、さらには哲学や数学を含めた学問では現代でも通用するレベルだった。

古代エジプトは高度な建築学や全長100m越えの超巨大木造船を建造する技術を持っていた。


簡単に言うとこんな感じだ。

詳しくは安全保障面・装備面における対中世文明及び対魔法編を読んでほしい。ただ、そこで紹介している内容も古代文明もすごさをすべて説明している訳ではないので興味のある人は自分で調べてほしい。


さて、日本が異世界へと転移した場合、その転移先の異世界の文明度が古代から中世レベルであった場合の話をしよう。


古代と中世では技術や学問のレベルに明らかな差がある。

古代の方が高度な文明で、中世の方が下の文明だ。


しかし、どちらにしても、これらの文明度の世界の人間の内、技術者や学者がもしも日本に訪れた場合には、職に困らないどころかぼろ儲けができるかもしれない。そんな説の話を今回はしていこうと思う。


と、いうのもだ。

例えば、日本が異世界転移し、その世界の文明の中に地球の古代文明級の文明国が存在していた場合、その文明国では、地球における古代ローマや古代ギリシャ、古代エジプトの様に、高度な技術力や学問を持っている可能性が非常に高い。


現代地球では既に失われロストテクノロジーと化している技術や学問も含めてだ。


これらの高度な技術は現代日本においても通用する可能性が極めて高い。

どういう事かと言うと、例えば、古代ローマ、古代ギリシャ。古代エジプトに共通する高度な木材の加工技術を日本に持ち込んだとしよう。


実は現代日本では高度な木材加工技術が失われている。例えば、中世の木造帆船があるが、あれを現代日本では作る事は非常に困難だ。何故ならば、日本国内に職人が不足しているからである。


宮城県にサン・ファン・バウティスタ号という帆船の復元船がある。復元のネタ元となった船は江戸時代にヨーロッパまで日本の使節団を運んだ帆船だ。この船が老朽化問題が持ち上がり、当然、修繕や再建しようという動きがあった。復元船の建造自体は日本が行った経緯があった。しかし、いざ再建しようとしたものの、日本国内にこれを再建である職人がすでに不足しておりできず、再建を断念したという話がある。


この様に、現代日本では木材を加工する職人が不足している。木材の加工の仕事(船以外にも家具やその他もある)の需要自体は日本国内にあるのだが、職人のなり手が足りないのだそうだ。そこにさらに職人の高齢化が問題に拍車をかけている。


この状況の為、古代文明級の文明国から職人や技術者が日本に来た場合、こうした足りない職人の穴を生める事ができるだろう。人手不足なのだから当然と言えば当然である。


それどころか、日本には無い加工技術を持っている可能性が非常に高い。さらに言えば、古代文明級という事は一部の加工技術は現代文明を凌駕している可能性も当然存在する。そういった技術を持つ人間が日本に来た場合に重宝される可能性は非常に高いのではないか。


何せ、日本の技術者や職人も持っていない技術なのだから。


もしも古代エジプトレベルで造船能力のある国から来た人が居るのであれば、日本において超巨大木造船の造船方法や技術を伝授するという事もあり得るだろう。別にこの様な船を作らないとしても、ここで使われている技術は別の事に流用できる可能性がある。


今はたとえ話で木材を例に挙げたが、木材以外にも製鉄の分野や学問など、様々な分野で異世界の人材が重宝されるという展開はあり得るだろう。


もしかしたら、大学の講義で異世界の国から日本に来た古代ギリシャ風の哲学者が日本の学生に哲学の講義をする光景だってあるかもしれないし、ダマスカス鋼の様な特徴的な技術を持った人間が日本にやって来たのなら刃物などの製品を作って売って儲ける事だってあるかもしれない。古代ギリシャに居たようなアイデア豊かな設計技術者が日本に来たのならば、日本で機能的な家具や小物を作ってそれが売れるという事だってあるかもしれない。


古代ローマと似た様な文明の国があってそこから来たのなら、日本に対して優れた水力の利用方法を教えるという展開だってあり得るかもしれない。

古代ローマの水力技術は現代文明の水力技術を一部で凌駕している可能性が指摘されているのだ。


中世レベルの文明度の場合には、古代文明に比べれば、日本国内で重宝される人材というのは減ってはしまうだろうが、それでも木材の加工技術では日本では職人が足りない為に古代文明レベルの場合と同じく職人や技術者が日本国内で重宝される可能性は当然あるだろう。


それ以外でも学問はともかく、一部の技術では現代文明がとうに忘れてしまったロストテクノロジーだって当然ある可能性がある。そういった技術を持っている人間が日本に来れば、中世レベルの文明度であっても重宝される可能性はあるだろう。


基本的に、日本の様な現代科学文明国と、古代や中世レベルとの国同士の金儲けバトルでは、産業革命を果たし圧倒的な工業力を持つ日本の側に軍配があがる。


これは、日本の相手がどんな偉大な文明だとしても、それが古代ローマ級の国でも、古代ギリシャ級の国でも、古代エジプト級の国でも変わらない。


しかし、それでも全ての異世界人が日本の技術力や学問に屈服してしまうのかと言えば違うだろう。全体としては日本の側に軍配が上がるのだとしても、個別や個人という小さな視点で見れば、日本にやって来て逆に大成功するという異世界人も出てくる筈である。


基本は異世界人が日本に対して驚く事の方が多いだろうが、逆に日本の方も、異世界の技術や物や学問を見て、これはすごい!と驚く様な事も当然あり得るだろう。


また、異世界ファンタジーという事を考えれば、当然、魔法の存在も考えられる。

魔法を使った独自の技術なんかも、あったりすれば、そういった技術を扱う魔法使いであったり、技術者であったりも、日本で重宝される可能性もあるだろう。


魔法自体に関して言えば、この様な不思議現象は、ほぼ確実に異世界転移した日本の研究機関の研究の格好の標的となる筈なので、魔法使いやその関連の学者や技術者等が日本に来たのならば、大学や研究機関や企業などでの研究対象として魔法が研究される為に雇用され確実に稼げるだろう。


最後にここで一つ、古代ギリシャの先見性の凄さが良くわかる話を一つご紹介しようと思う。


現在、私たち現代文明はロボットを生み出し、このロボットが今後社会に及ぼす影響について議論している。しかし、驚くべき事にこのロボットに関する議論を最初にし始めたのは最近の事ではない。なんと、記録に残っているだけでも、紀元前4世紀、古代ギリシャのアリストテレスが、オートマタによって人間の奴隷を廃止できる可能性についての議論を行っていたのだ。なお、これ以降の時代には少なくとも千年間はこの様な先見性のある議論がされた記録は残っていない。ロボットが今後社会に及ぼす影響について話が再びされるようになったのは人類史上ではつい数世紀内の話なのである。

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